ちゅーボド

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新聞記者が本気で考えた新聞記者のボードゲームができるまで 『新聞王:THE SCOOP WARS』デザイナーズノート #2 適度なインタラクション
2026/5/8 16:41
ブログ

2.適度なインタラクション

新聞王:THE SCOOP WARS』(以下『新聞王』)のデザイナーズノート第2回です。
前回に引き続き、『新聞王』の核となっている以下の4点について、1つずつご紹介していきます。

  1. 軽すぎず重すぎず、単純すぎず複雑すぎない、ちょうどいいプレイ感
  2. 他プレイヤーを直接攻撃はしないがソリティア感もない、適度なインタラクション
  3. メインのメカニクスは、バッティングとエリアマジョリティ(サブは、ドラフトとセットコレクション
  4. テーマは新聞記者や新聞業界、取材競争

このうち今回は、「2」の「適度なインタラクション」という難題について。

インタラクション、と一口に言ってもいろいろな種類があると思いますが、人と人が対面で遊ぶボードゲームの醍醐味であることは間違いないでしょう。

ただ近年のゲームでは、あからさまな直接攻撃はあまり好まれないようです。

『新聞王』の制作においても当初から、直接攻撃はテーマ的にそぐわない気がしていました(新聞社同士が競うのはあくまで情報の速さや確かさで、他社を攻撃するわけではないので)。

一匹狼は ずらして牙をむく

そこで考えた解決法が、攻撃的なカードの能力を「基本的には他プレイヤーへの攻撃を意図するものだが、空振りするかもしれない。場合によってはむしろ自分自身の首を絞めるかもしれない」ように、あからさまに直接的なものから「ずらす」ことでした。

それを具現化したのが、能力を持つ記者カード2枚のうちの1枚「一匹狼」です。

「一匹狼」の能力は、各プレイヤーが場に配置した記者カードを公開し、バッティングしたカードを捨て札にした後、「場に残った最も高い数字のカードを捨て札にする」というものです。

 

自分より強いカードを無効化する、いわばジョーカー的な切り札なのですが、「最も高い数字」が一匹狼の「6」だった場合、自分自身が捨て札になってしまう諸刃の剣でもあります。

一匹狼が捨て札になる場面をゲームの世界観に合わせて表現するなら、狙っていた標的が現れずにその場から速やかに撤退するイメージ。

一匹狼はクールに去るぜ」といったところでしょうか。

出したら攻撃が確実に成功するというわけではなく、逆に自分に被害が及ぶリスクさえある。なので、狙い通りに他プレイヤーのカードを捨て札にできたとしても、反撃不能な相手を理不尽に攻撃したという印象は薄まるはずです。

むしろ「リスクを承知で上手いプレイングをされた結果」という納得感が、相手方にも持たれるのではないでしょうか。

また、同じ場に3人以上のプレイヤーのカードがあった場合、意図した標的とは異なるプレイヤーのカードを捨て札にすることもありえます。

一匹狼を出す方も出された方も想定していなかった結果になる偶然性と、そうなったときの意外性は双方に「お前かよ!」という盛り上がりをもたらし、『新聞王』の大きな魅力の1つになりました(一匹狼同士がバッティングして、能力を発動する前に捨て札になるなんてことも、当然起こり得ます)。

前回のデザイナーズノートになぞらえて付け加えるなら、一匹狼が持つ「6」という1~10の中での中央寄りの数字も、自分自身が捨て札になるリスクがそれなりにある「ちょうどいい」落としどころにできたと思います。

2段階の発想で生まれた2段階バッティング

『新聞王』でインタラクションを楽しめるもう1つの要素は、バッティングに並ぶメインのメカニクス、エリアマジョリティです。

場所ごとに場に残った記者カードを累積させていき、その最終的な枚数を競うというもので、ゲームの中盤~終盤にかけて、どの場所で優位を築くかの駆け引きが激しくなっていきます。

ただしゲーム終了時に同数のプレイヤーは、マジョリティ争いから脱落。上位勢の脱落で思わぬ第三者が棚ぼたで大量点を得ることもあります

ゲーム終了時に競う場所ごとの得点は、ランダムにセットアップします(写真はイメージ)

ラウンドごとの得点争いの都度、同じ数字のカードが脱落するのに加え、最後にもう一度枚数のバッティングをチェックする。

このゲームの売りの「2段階バッティング」です。

『新聞王』の初期段階は、単純にラウンドごとの得点を競い合うだけのゲームでした。

しかしそれだけではゲーム全体を貫く柱のようなものに欠けると思い導入したのが、1ラウンド目から始まり、最後の5ラウンド目で決着がつくエリアマジョリティ争いです。

それも初期のデザインでは上位3人に得点を振り分ける形をとっていましたが、同枚数の場合は足して2で割るなどの計算が必要な面倒さがありました(さらに各プレイヤーの得点を記録するボードなども用意しないといけません)。

その解決策として「同枚数は脱落する」という、やや厳しいアイデアを取り入れてみたという流れです。

この2段階バッティングの採用により、必ず単独1位が決まって得点処理がシンプルになると同時に、プレイヤーも緊張感を持ちつつ戦略的な枚数調整を楽しめるという一石二鳥のブラッシュアップを実現できました。

つまり2段階バッティングそれ自体も、「ゲームを貫く柱としてのエリアマジョリティの導入→得点計算のスマートさを実現すると同時に順位決めにゲーム性を持たせるための枚数バッティングの採用」という2段階の発想から生まれたということです。

単独1位以外が脱落するルールの厳しさは否めませんが、それと引き換えに分かりやすさとゲームとしての「尖り」を得られるメリットの方が大きい。最終的には、そう判断しました。

弱いカードにも活躍の場を

エリアマジョリティを導入したことで得られた副産物は、ほかにもありました。

それは、数字の小さいカードにも新たな使い道が生まれたこと。

数字の小さいカードはラウンドごとの得点争いに勝つのは難しいですが(決して不可能でもありませんが)、バッティングさえしなければ場の累積枚数に貢献できます。

数字が小さくても勝てそうなときは勝負をかけるもよし、その場その場の得点のために無理に勝負を挑むよりは、最終局面を見据えて争いを避けるもよし

プレイヤーそれぞれの好みや状況判断による選択肢の幅を、より広げることができました。

エースは2つの顔を持つ

さらに駆け引きを深めるのに役立ったのが、能力を持つもう1人の記者「エース」の存在です。

エースの能力は「累積枚数2枚分として数える」というもの。

エースを含めた複数枚の同場所配置を最終ラウンドに敢行すれば、マジョリティで劣勢の場所でも大逆転する可能性が見えてきます。

能力に加えて「10」という最強の数字さえ持っているエースは一見、どんな場面でも欠点がなさそうに見えますが、一匹狼の餌食になりやすいという弱さも併せ持っています(繰り返しになりますが、一匹狼は最も数字が大きいカードを捨て札にします)。

制作初期段階のエースは文字通り「無敵」(エース同士ならバッティングすら無効にするルールもテストしていました)でしたが、アンチとなる一匹狼を作ったことで、どのタイミングでどの場所に投入するか、戦略性を深められたのではないかと思います。

光と影のようなエースと一匹狼の攻防。そして、地味ながら1枚も欠かすことができない、その他の記者たち。

彼らが繰り広げる、あからさまな直接攻撃を伴わないマジョリティ争いは、冷徹にルールに則りつつも熱い戦いとなるように仕上げられたと思います。

 

それでは、今回はこの辺で。

次回は「3」のメカニクスについてですが、メインのバッティングとエリアマジョリティについては今回書いたので、残るドラフトとセットコレクションをどう取り入れていったかを紹介したいと思います。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

詳しいルールを知りたくなった方は、説明書を公開中ですので、ぜひご覧ください。

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