ちゅーボド

名古屋の社内ボードゲーム同好会活動から生まれたゲーム制作サークルが、ゲムマに初出展! 初のオリジナルボードゲーム『新聞王 :THE SCOOP WARS』(名古屋ボードゲーム楽市「フレッシュドラゴン大賞2026」推薦賞受賞)と『名前のないレストラン』を頒布します。両タイトルとも、ゲムマ公式サイトとGoogleフォームで予約受付中。【土曜-H14】でお待ちしています。

新聞記者が本気で考えた新聞記者のボードゲームができるまで 『新聞王:THE SCOOP WARS』デザイナーズノート #1 ちょうどいいプレイ感
2026/5/4 3:57
ブログ

はじめに

『新聞王:THE SCOOP WARS』(以下『新聞王』)は、各プレイヤーが新聞社の編集長となり、新聞業界の覇権を争う対戦ゲームです。

…と書くと、重量級ゲームのようなイメージを持たれるかもしれませんが、手番にすることは手札からカードを1枚出すだけです。

メインのメカニクスは、バッティングとエリアマジョリティ。シンプル×シンプルで軽めのプレイ感ながらも、中量級ゲームの遊び応えを得られる作品になったと自負しています。

作者である私は20年ほど前からボードゲームにハマって友人らと遊んできましたが、制作に挑戦するのは今回が初めて。

試行錯誤と紆余曲折をなんとか乗り越えて完成させた初作品で、今年の名古屋ボードゲーム楽市で「フレッシュドラゴン大賞」の推薦賞をいただくこともできました。

私自身が四半世紀身を置く新聞業界をテーマにした、とても思い入れのあるこのゲームが一体、どんな魅力を持っているのか、どんな意図を込めて作ったのか。作者の視点でご紹介できればと筆を執った次第です。

気軽にお付き合いいただき、新人制作者の作品に興味を持っていただければ(そしてぜひ手に取っていただければ!)本当にうれしいです。

『新聞王』って…

まずは『新聞王』というゲームの要諦、どんな体験ができるのか。大きくまとめると、以下の4点になります。

  1. 軽すぎず重すぎず、単純すぎず複雑すぎない、ちょうどいいプレイ感
  2. 他プレイヤーを直接攻撃はしないがソリティア感もない、適度なインタラクション
  3. メインのメカニクスは、バッティングエリアマジョリティ(サブは、ドラフトセットコレクション)
  4. テーマは、新聞記者や新聞業界、取材競争

ゲーム制作の出発点の王道だと思いますが、これらは全部、私自身こんなゲームが好きで、自分が欲しいし遊びたい、というものでもあります。

私自身、年齢のせいか最近は重ゲーをやるのに若干の気合が必要になってきました。かといって軽ゲーでは物足りない…。そんなわがままなあなたにもおススメです(笑)

既存のゲームで全ての項目に該当するものはあまり思い浮かばないのですが、自分の理想も込みであえて挙げるなら「サンファン」や「エスノス」といったところが近いかもしれません。

ともかく、ここからがデザイナーズノートとしての本題。各点について以下、順に説明していきたいと思います。

1.ちょうどいいプレイ感

◇選択を広げ、絞る

手番にすることはできるだけシンプルに、1アクションで。ということは、ほかの要素が固まる前から決めていた、自分のゲームの「第一条件」でした。

なので手札からカードを1枚、裏向きに出すだけ。

ゲームを通して、手番にすることはこれだけ。これだけです、基本的には。

というのも、シンプルを極めた「ハゲタカのえじき」のようなバッティングゲームは本当にそれで終わりですが(だからこそ面白いのですが)、中量級ゲーム好きとしては少しひねりを入れたいという欲が抑えられず…

最終的に、カードを出す場所を4択(3人プレイの場合は3択)にするという要素を採用することにしました。

もう少し具体的にいうと、毎ラウンド、1~5点の得点カードがランダムに置かれる4つの場所から1つを選んで、カードを出す(4つの場所でそれぞれ「ハゲタカのえじき」のような数字比べをする)ということです。

ゲームの主役である「記者カード」は全プレイヤー共通の11種類1枚ずつありますが、手札は最大5枚。

5枚から1枚を4つの場所のいずれかに出すので、20パターンからの選択になります(※手札はゲーム中に減っていくので、あくまで最大値です)。

写真は場のイメージ。この中から、基本的には高得点の場所を選んで裏向きに記者カードを出すことになりますが、実際はそうとは限りません

20パターンというとだいぶ多い印象もありますが、狙う場所や使いたいカードなどによって選択肢は自ずと絞られます。

こういった調整の結果、やることはシンプルながら単に勢いで出してしまうことのない、軽すぎず重すぎの「ちょうどいい」悩ましさをプレイヤーが感じられるようにできました。

また、全プレイヤーが一斉にカードを出すのではなく、スタートプレイヤーから順に1枚ずつ出すのを2巡(最終ラウンドは3巡)する形にしたことで、「あの人があそこに出したから自分はあっちにしよう」といった駆け引きも生じるように。

それに付随して、ゲームの核であるバッティングが起こる確率も「ちょうどよく」なりました(各プレイヤー1枚だけだと、配置場所が分散した場合、非常に淡白になってしまいます)。

◇煩雑な処理を削る

続いては、カードの能力についてです。

制作初期では作者のエゴで各記者に能力を持たせていましたが、やはりどうしてもそれぞれの処理が煩雑でテンポが悪くなってしまうのでグッとこらえて、調整段階で削ることに。

記者カード11種類のうち、特別な能力を持つのは2枚だけに厳選しました。

写真は能力を持つ記者カード「エース」「一匹狼」と、カード一覧を載せたサマリーカード

これによって配置し終わった後の処理(バッティングしたカードを捨て札に→場に残ったカードの能力の発動)がとても明快になり、狙い通りテンポが向上。

サクサクとゲームを進められる一方で、切り札感のある能力を持つカードの発動やバッティングによる盛り上がりが、「ちょうどいい」頻度で得られるようになりました。

◇ゲーム全体の流れをつくる

ゲーム全体を5ラウンドで必ず終了としたことは、約30分というプレイ時間や収束性、見通しの良さ的に「ちょうどいい」仕上がりにつながりました。

ゲームそのものだけでなく、それとリンクする場の雰囲気的にも、盛り上がりの曲線が序盤から中盤にかけてだんだん上がっていって、最後にピークが来るという理想的な流れを実現できたと思います。

終盤が作業にならず、誰にも逆転のチャンスがあるというのは、やはり面白いゲームに欠かせない要素ではないでしょうか(もちろん、序盤の一手一手も最終局面への布石という意味で決しておろそかにはできませんが)。

この点を実現できたことでも、大きな手応えを感じられました。

では今回はこの辺で。次回は2点目の「適度なインタラクション」についてご紹介しようと思います。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

詳しいルールを知りたくなった方は、説明書を公開中ですので、ぜひご覧ください。

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