Play With Us Design @PWUDesign
Play With Us Design は、台湾発のボードゲームブランドです。 「一緒に遊ぶ時間を、もう一度大切にしたい」という思いから、 小さく持ち運びやすく、気軽に遊べて、何度も楽しめるゲームをつくっています。 手に取ったときの質感や、遊んだあとに残るちょっとした会話も、 ゲームの大切な一部だと考えています。 今回のゲームマーケット2026春では、 新作『リーブス』『エーブス』『ウップス!』を中心に、 いくつかの作品をお持ちします。 エリア55でお待ちしています。 気になる作品がありましたら、ぜひお気軽にお立ち寄りください。
- 面白いのに、なぜなかなか出版できなかったのか? 『リーブス(Leaves)』の原型『八歩』
- 2026/5/2 5:04
面白いのに、なぜなかなか出版できなかったのか
『リーブス(Leaves)』の原型『八歩』
文/Shi Chen 編集/Amoon
『リーブス(Leaves)』は、静かで、ミニマルで、どこか禅のような雰囲気を持つ抽象カードゲームです。
けれど、このゲームが「落ち葉」の姿になるまでには、ひとつの季節どころではなく、いくつもの季節を越える時間がありました。
このゲームの最初のアイデアが生まれたのは、たしか2018年前後だったと思います。
当時のタイトルは『八歩』。基本的な遊び方は、今の『リーブス』とそれほど大きく変わっていません。
最初の『八歩』は、9枚のカードを使い、8回の移動でそれらをひとつの山にまとめるゲームでした。
そのため、私はこのゲームを『八歩(Eight Moves)』と呼んでいました。『Nine Tiles』への小さなオマージュでもあります。
『リーブス』というテーマが決まるまで、私たちの中ではずっと『八歩』という名前で呼ばれていました。
このアイデアをチームに持ち込んだとき、最初に使ったのは『SET』のカードでした。
実は、『SET』の一部のカードを使うだけで、このゲームの原型をそのまま試すことができます。場に9枚のカードを並べ、共通する要素を手がかりに、カードを一枚ずつ重ねていく。最後にすべてのカードがひとつの山になれば成功です。
遊んだ感覚としては、『SET』『Nine Tiles』『Ricochet Robots』に少し近いところがあります。
ちなみに、この3作はどれも私がとても好きなゲームです。
プレイヤーは、カードの図形や要素をすばやく見比べ、頭の中で「どの順番なら重ねられるか」を組み立てていきます。
ただ、この特徴は同時に、ゲームを商品化するときの大きな難しさにもなりました。
なぜなら、このゲームの中心には「要素を正確に見分けること」があるからです。
つまり、美術が強く出すぎると、プレイヤーは問題を解いているのではなく、絵柄と格闘することになってしまいます。
当時、編集長のDrayと話していたとき、私は『八歩』を『SET』や『Nine Tiles』のような、純粋な抽象ゲームとして考えていました。
世界観やキャラクターを大きく乗せるのではなく、ルールそのものの面白さで遊んでもらうゲームです。
しかし、そこで現実的な問題が出てきました。
ルールはシンプル。
コンポーネントもシンプル。
しかも、美術は目立ちすぎてはいけない。
では、そんなゲームを、どうすればたくさんの新作の中で見つけてもらえるのか。
当時の市場で、強いテーマや派手なビジュアルを持たない抽象ゲームを出して、本当にプレイヤーに届くのか。
似たような悩みは、過去に『ソーラウィン』を開発していたときにもありました。
議論を重ねるうちに、私たちは少しずつ気づいていきました。もし美術をここまで削ぎ落とし、ルールもコンポーネントもシンプルなままにするなら、このゲームはこれまでの Play With Us Design のラインナップにそのまま入れるのではなく、まったく別の見せ方を考える必要があるのではないか、と。
簡単に言えば、『八歩』は面白い。
でも、そのまま商品化するには、まだ形が見えていませんでした。
私たちがこのゲームを気に入っていなかったわけではありません。
むしろその逆です。だからこそ、「これならプレイヤーに伝わる」「市場の中でも見つけてもらえる」「そして、自分たちも納得できる」と思える姿を、まだ探し続ける必要がありました。
作者紹介
Shi Chen(チェン.シー)
Play With Us Design のゲームデザイナー。2010年にボードゲームと出会い、2015年に仲間とともに Play With Us Design を立ち上げ、ゲームデザインと出版の道へ。好きなゲームジャンルはデッキ構築。運の要素が強すぎるゲームは少し苦手。現在の目標は、より多様なタイプの作品を生み出していくこと。
