Play With Us Design

Play With Us Design は、台湾発のボードゲームブランドです。 「一緒に遊ぶ時間を、もう一度大切にしたい」という思いから、 小さく持ち運びやすく、気軽に遊べて、何度も楽しめるゲームをつくっています。 手に取ったときの質感や、遊んだあとに残るちょっとした会話も、 ゲームの大切な一部だと考えています。 今回のゲームマーケット2026春では、 新作『リーブス』『エーブス』『ウップス!』を中心に、 いくつかの作品をお持ちします。 エリア55でお待ちしています。 気になる作品がありましたら、ぜひお気軽にお立ち寄りください。

足せば足すほど、面白くなるのか? 足し算のデザインで迷子になった『リーブス』
2026/5/2 5:15
ブログ

足せば足すほど、面白くなるのか?

足し算のデザインで迷子になった『リーブス』

文/Shi Chen 編集/Amoon

『リーブス(Leaves)』は、静かで、ミニマルで、すっきりとした抽象カードゲームです。

けれど、最初から今のように軽やかなゲームだったわけではありません。

前回お話ししたように、『リーブス』の原型である『八歩』は、とてもシンプルなルールを持つ、純粋な抽象ゲームでした。

ただ、シンプルだからこそ、私たちはすぐにひとつの現実的な問題にぶつかりました。

「このゲームは、少し軽すぎるのではないか?」

『八歩』の遊び方は、9枚のカードを場に並べ、共通する要素を持つカード同士を重ねていき、最終的にすべてをひとつの山にする、というものでした。

この部分は、現在の『リーブス』にもかなり近いものです。

私は、このシンプルで澄んだルールがとても好きでした。

チーム内でも「これは面白い」という手応えはありました。けれど同時に、「このままでは商品として弱いのではないか」という不安もありました。

そこで私たちは、この中心となるカードを重ねる仕組みを、もっと大きなゲームの中の「アクション」として組み込むことを試しました。

この段階では、編集の許恪がたくさんの案や面白い設定を出してくれました。

簡単に言うと、プレイヤーは9枚のカードをひとつの山にまとめることに成功すると、その中の1枚を獲得できます。

そして、そのカードを資源として集め、勝利条件の達成を目指す、という構造です。

たとえるなら、『パズル&ドラゴンズ』のパズル部分に少し近いかもしれません。

パズルそのものが中心の操作ではありますが、パズルをする目的はコンボを生み出し、その結果としてキャラクターが攻撃することにあります。

当時の私たちは、『八歩』のカードを重ねる仕組みにも、同じような役割を持たせようとしていました。

つまり、それ自体がゲームのすべてではなく、資源を生み出し、次の行動につなげるための中心的なアクションにしようとしたのです。

この方向性にすれば、たしかにゲームはより豊かになります。

目標も増やせますし、戦略の幅も広げられます。

ちなみに、このバージョンではスチームパンクのテーマを使っていました。

『蒐霊祭』のイラストを担当してくださったイラストレーターさんに美術設定もお願いしていて、これがまた、とても格好よかったのです。

私たちはこのバージョンを、およそ2か月ほど調整しながらテストしました。

ステージを作り、勝利条件を調整し、資源をどう獲得し、どう変換するかを考え続けました。

けれど、時間をかければかけるほど、ゲーム全体の感触は少しずつ重たくなっていきました。

本来の中心だった「カードを重ねて解く」部分が、資源を得るための手段になったことで、ゲーム全体がどこか頭でっかちになってしまったのです。

もちろん、『八歩』本来のパズル部分にはしっかりとした手応えがあります。

また、資源を集めたり交換したりしながら勝利目標を目指す遊びにも、魅力があります。

ただ、私にとっては、そのふたつが一緒になったとき、前者がそこにある必然性が少し弱く感じられました。

もっと簡単に言うと、後から足したゲーム部分は、別の中心メカニクスで資源を得る形にしたほうが、きっともっと自然で、もっと面白くなる。

そう感じたのです。

だからこそ、『八歩』を大きなシステムの中に組み込むよりも、もともとの純粋な仕組みをそのまま残し、プレイヤーにいちばん澄んだ形で体験してもらうほうが、このゲームには合っているのではないか。

この考えは、少しずつチーム内でも共有されていきました。

しかし、そうなると最初の問題に戻ってきます。

重くしないなら、このゲームをどうやって商品として出せばいいのか。

私たちはまた、迷路の入口に戻ってきてしまいました。


作者紹介

Shi Chen(チェン.シー)

Play With Us Design のゲームデザイナー。2010年にボードゲームと出会い、2015年に仲間とともに Play With Us Design を立ち上げ、ゲームデザインと出版の道へ。好きなゲームジャンルはデッキ構築。運の要素が強すぎるゲームは少し苦手。現在の目標は、より多様なタイプの作品を生み出していくこと。