按理具庵

「あんりぐあん」 と読みます。駆け出しの発明家が勢いで一人起業してしまった会社です。
陰陽五行プレイングカードFESCA(フェスカ)をトランプの再発明として創作し、Amazonやイエローサブマリン等にて販売中です。
しなり折りカード立てが第一発明品で、これを応用した紙製ミープルやチェス・将棋駒に展開中です。

FESCA(フェスカ)のトリテを考える(その2)
2020/7/24 10:59
ブログ

ゲーム名:FESCAダブルリード6Sトリテ(略称:ダブリド・シックス)
創作レベル:★★(2.2)
概要:ダブルリードと云う独自ルールを採用した6スートの切り札無しのトリテ
ルール説明:
 標準的なマストフォローのトリテに従うが、後述するダブルリードの規則によりトリックの勝者を決める。

 陰陽は第六の陰陽スートとして扱う。
 空無はZATとして扱い、リードで13,フォローで0とする。
 太極は陰陽スートのZAT扱いとする。

 5~7人制を推奨とし、以下のカード編成を用いる。
  5人:13x5=65枚(Z,1~10,太極抜き)
  6人:13x6=78枚(Z,1~12)
  7人:11x7=77枚(Z,1~12,太極抜き)

 最も多くのトリックを取った人をゲームの勝者とする。最多トリック数が同じ人が居たら、その中で最後にトリックを取った人を勝ちとする。

ルール解説:
 ダブルリードとは、通常のリードに加えて第2のリードを認め、第1と第2のどちらかのスートをフォローしなければならないと云うルールです。
 最初の(第1)リードスートをフォローしなければならない基本ルールは同じですが、手札に同じスートが無い場合に、他のスートを第2リードとして出すことができます。第2リードが出されたら、以降の人は第1または第2のリードスートのどちらかのスートを手札から出さなければなりません。もし手札に無ければその他のスート札を出しますが、そのトリックを降りたことになり勝負には加われません。
 2つのリードスートのどちらが強いかは多数決で決めます。すなわち場に出された同スートの枚数が多い方を勝ちとします。勝った方のスートの中でランクが最も高い札を出した人がそのトリックの勝者となり、そのトリックを取ると共に次のトリックのリード権を得ます。場に出された2つのリードスートの枚数が同じ場合は、FESCAのスート強弱の規則(相生先負/相克先勝)に従って勝ちスートを決めます。第六スートの陰陽スートは他の五行スートに常に勝ちます。

 例えば5人プレイで、
〔木Z、木5、金Z、金2、金12〕の順に出されたとすると、木Z(※ZはZATの意味で木の空無札)はリードですから木13の扱いで、普通なら勝利確定なのですが、金スートが第2リードとなって枚数で逆転されて多数決(木2枚<金3枚)で木スートは負けです。金スート内の勝負では、金Zも一応リード(第2リード)ですから金13となって金12より強くてトリックの勝利者になります。
〔火5、水3、金9、水7、火4〕の順に出されたとすると、火が第1リードスート、水が第2リードスートとなります。金9はフォローできずに負けが確定します。次いで水と火が1枚ずつ出て、どちらも2枚で同数なので多数決で決着できずに、火と水の相克関係の強弱を判定して「水は火に勝ち」、水スートで最も高いランクの水7を出した人がトリックの勝者と決まります。

 



ゲーム名:FESCAダブルリード・ワイルド・トリテ(略称:ダブリド・ワイルド)
創作レベル:★★★(2.7)
概要:ダブルリード6Sトリテにワイルドカード要素を取り入れたトリテ
ルール説明:
 基本ルール(カード編成、ゲームの勝利者、ダブルリードなど)はダブルリード6Sトリテに従う。
 陰陽札は直前に出された札のスートに化ける特殊なスートワイルド札とする。
 空無札は見習いランク化け札(ミミック・ランクワイルド)とする。
 太極札は陰陽の空無扱いとするので、直前スート化けの見習いランク化け札とする。
 陰陽札は「ゆるい」化け札とする。すなわち手札にフォローできる他の札を残していても、陰陽札をスートワイルドとして出せる。

ルール解説:
 陰陽を第六スートではなくスートワイルド(SW)として使用するため実質的には5スートのトリテとなります。ただし後述する特殊な状況下では陰陽スートとして扱うこともあります。
 見習いランク化け札とは、場に出ている他のランクの何れかにのみ化けられるという制限付きの化け札(ワイルドカード)です。ただしFESCAのワイルドカードの基本原則の「本物には化けられない」に従います。すなわちスート・ランクが共に同じになる札が場に出ていると、その札には化けられないので、他のランクに化けなければならないのです。もし化けられるランクが何もない場合はランク0の扱いとなります。
 同様に直前スート化けの陰陽札(last suit wildcard)においても、場にスート・ランクが同じになる札が出るとスート化けが解除されて無効スートの扱いとなります。
 また直前スート化けは連鎖が可能であり、前の人が陰陽札を出していれば、その化けたスートに化ける陰陽札を出すことができます。ただし本物が場に出されて化けが解除されると、化け解除も連鎖して後から出した陰陽札も無効化されます。
 最初の(第1)リードの陰陽札は、最後に出された札のスートに化けることとします。
陰陽札が最初に出された場合は、これを第1リードであるが不確定の陰陽スートの扱いとします。もし陰陽札を持っていればフォローして出さなければならないのですが、無ければ第2リードとして他のスートを出せます。第2リードに続く陰陽札はスートワイルドとして扱われるので、第1リードの陰陽スートをフォローすることにはなりません。トリックの最後の人が札を出したとき第1リードのスートが確定され、多数決とスート強弱によりトリック勝者を決めます。ただし全員が陰陽札を出した場合は、第1リードスートを陰陽スートと確定させて、これを有効スートとみなして最も高いランクの陰陽札を出した人がトリックの勝者になります。

具体例を挙げて説明すると、例えば7人プレイで、
〔金4,SW5,水7,SW8,SW9,SW10,水8〕
と出された場合は、どうなるでしょうか。
最後の水8が出される前はSWの連鎖により、
〔金4,金5,水7,水8,水9,水10,--〕
とみなされ、金2枚の水3枚で水10(SW10)が勝ちとなるはずですが、最後に本物の水8が出されたことで、化けの水8(SW8)が解除され無効スート(XX)となります。これに続くSWも連鎖解除されて、
〔金4,金5,水7,XX8,XX9,XX10,水8〕
となり、金2枚と水2枚の同数で、金と水の相生関係の強弱は相生先負で金が負けとなり、水8がトリックの勝者となります。

補足ルール:
 トリックの勝者を決めるだけでなく、順位を決める必要がある場合は、第1リードスート、第2リードスートに続き、他のフォローできなかった人の順位も決める必要がありますが、これらはまとめて無効スート扱いとして単純にランクの高い順に順位を決めことにします。ただし同一ランクが複数ある場合は、第1リードと第2リードの相関係の強逆順に従って決めます。無効スートの中の陰陽スート(化け解除された陰陽)は最弱スートの扱いとなります。
 例えば第1と第2が水と金なら相生関係ですから、相生先負の順位から、水>金>(土>火>木>陰陽)となります。繰り返しになりますが、無効スートはまとめて先ずランク順で判定して、さらに同ランクの中での順位を決めるときに、このスート強弱関係を使うことになります。

 


 

解説:
 ダブルリードと名付けた、このゲームシステムの元ネタ(発想の基)が「ゲーマーじゃんけん」であることにお気づきでしょうか?
 もちろんシステムが似ているというだけで細かく見れば全く違っています。「じゃんけん」は3竦み(すくみ)ですがFESCAは5竦み構造ですし、ゲーマーじゃんけんは少数勝ちですがダブルリードは有効2種の多数勝ちです。
 類似点は、スート種別ごとの出現個数によって勝ちスートを決めて、同数の場合にはスート強弱関係を使って勝ちスートを決めることです。

 このダブルリードを考えるきっかけは、トリテについて書かれていて久々に読み返してみたゲムマの重鎮の草場さんの以下のブログです。
   私はいかにしてイコサカードを作ったか
 めっちゃ要約すると「多人数でトリテするにも4スートが良い。」ということです。
 「FESCAは(5+1)スートなので、そもそもトリテには不向きなのか。タロットは4スートと切り札スートで実質5スート構成で成立しているのに、なぜ4スートというトランプの呪縛に縛られなければならないのか。本当に5スート以上のトリテが良くないというのなら、現行のトリテの基本ルールに適してないだけであって、5スート以上でも面白くなる多人数制のトリテルールを創ってしまえばよいのではないか。」という自己問答により、独自ルールを模索することになりました。
 前回の「FESCA(フェスカ)のトリテを考える」で提案した「切り札が途中で切り替わるキリキリトリテ」や「場の相状態で切り札スートが動的に決まる天敵トリテ」など、FESCAのスートの相順序や強弱関係の特徴を活かしたトリテでしたが、今回の「2つのリードスートがあるダブルリードトリテ」も同じくFESCAのスート相関係という特徴を基に考え出したものです。ただし前回のは、元々あるリードスートと切り札スートの2者の関係は常に切り札スートの方が強い固定関係があり、従来のトリテの基本ルールに沿った範囲の改変ルールでした。これに対して、今回のダブルリードはトリテの常識を外れた第2リードを認めてしまい、2者の強弱を多数決とスート関係を基に決めるという点が斬新であり、これは多スート多人数トリテの新規ルールと見なせる独創的なアイデアではないでしょうか。
 4スートのトランプでは絶対に出てこない発想だと思うのですが、5スート以上のトリテ・カードゲームはそこそこの数が世に出ていますので、もしかしたら同じアイデアのゲームが在ったりするかもしれません。ご存知の方はTwitterのDMで連絡ください。

 ちなみに草場さんブログの中で述べられている「今回のゲームマーケットでもスートを増やした陰陽五行カードを見かけた。」って、これFESCAのことです。覚えていただいてたのは嬉しいのですが、「FESCAは単にスートを増やしただけのカードセットではないですよ」と言いたいです。
 


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