四等星 @reibodoge
ゲーム概要
- 19世紀英国の熱狂の切手オークションを題材にしたゲームです。
- あなたは賢いので、ゲームに勝つために最適な落札価格がきっとわかるでしょう。
- でもあなたの提示する落札価格はダイスで決まるので、その賢さは役に立ちません。決められるのは、何個のダイスを振るか、までです。
プレイ人数 | 3〜4人 | プレイ時間 | 30〜45分 |
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対象年齢 | 10歳〜 | 価格 | 3,500円 |
発売時期 | 2021秋 | 予約 | 不可 |
ゲームデザイン | mor! | イラスト・DTP | mor! |
ゲーム詳細
こんにちは。今度の新作は、オークションの値付けを運任せにダイスを振って決めると言う一見馬鹿げたゲームですが、値付けの最適解問題に挑んだ真面目な作品です。どうぞよろしくお願いいたします。切手をイメージしたカードを競りで集める、セットコレクションとマジョリティのゲームです。
内容物:
・カード 63枚
・ダイス 88個
・説明書(以下のURLからご覧になれます)
https://drive.google.com/drive/folders/1PuF5wKtTdkKw2Lr-Yv1RIVgYV880RO_D?usp=sharing
テーマ解説
1840年5月6日、イギリスにて、世界初となる切手が発行されました。先払いの制度により郵便配達人は郵送代金回収の手間と現金輸送の危険から解放され、1ペニー切手の安価さは高額だった郵便を庶民の暮らしの一部へと変えました。
時は経ち、いつしか当時の切手は高価な蒐集品としてオークションを賑わせるようになります。このゲームは、1870年代のイギリスで郵便を通じて行われた切手オークションの方法、二位価格封印入札(後のヴィックリーオークション)を題材としたオークションゲームです。二位価格封印入札においては、全員が落札希望額を郵便で送り、最も高額を提示した者が二番目に高額だった提示額で商品を競り落とします。すなわち、必ず提示した額よりも安く競り落とすことができるのです!
この極めて理性的な仕組みである二位価格封印入札ですが、残念ながらあなたは切手が欲しすぎてもう狂っているのでダイスを振って入札額を決めます。いくつのダイスを振るかまでは決められますが、その出目は天のみぞ知ります……落札したければ、沢山のダイスを振れば良いだけです。
システム解説
二位価格封印入札は、非常に興味深いオークションの仕組みです。落札した場合は必ず自分のつけた額よりも安く商品が手に入るため、入札者たちは自分が適正だと思う額を、実際にはもっと安く手に入るかもしれないという少しの期待を込めて、強気に提示することができます。ですがこの入札には最適解があり、ロジカルに得点を競うゲームのシステムとして扱うと全員が同じ値付けをしてしまう危険性があります。
そこで、このゲームにはウォーゲームやTRPGで育てられてきたダイスの発想を輸入しようと考えました。ダイスは運任せのドラマチックなランダマイザーとして扱われがちですが、大量に、そして何度も振った場合、その平均値は期待値へと収束していきます。6面ダイスを1回だけ振った場合、1が出るか6が出るか、全く予想ができません。ですが1000回振った場合、誰が振っても合計値は3500にとても近くなると予想ができます。
このゲームでは、プレイヤーに大量の(と言っても21個ですが)ダイスを与え、何度も振らせることにしました。二位入札のシステムにより、競り落とすプレイヤーは3~4人が振った大量のダイスの各合計値の、さらに中間の結果を落札額として支払います。その値はダイスと言うランダマイザーを用いていながら、それでも全員の相場観の重心とも言える値に近いものになると考えました。
プレイヤーが決められるのはダイスの個数までなので、入札額にはダイス目の揺らぎが介在し、最適な値付けで最高の利益を出すことは許されません。しかし、本当に欲しいカードを目の前にした時には思い出して下さい。プレイヤーが一度に沢山のダイスを振るほど、結果は期待値に近くなりますので、その全ての目が6になるようなことはほぼあり得ません。むしろ沢山のダイスを振る大勝負の時ほど、ダイス目の暴走を過度に恐れる必要は無くなってくるのです。冷静に計算し、十分な数のダイスを振りましょう。
ゲーム体験
https://twitter.com/mori_boardgame