按理具庵

トランプで転倍トリテ

¥0

FESCA転倍トリテをトランプでも楽しめるようにしました。

ゲーム概要

  • マストフォローの標準的なトリックテイキング(トリテ)のルールに従います。
  • 取得トリック数ではなく、獲得したカードを点数化して競います。
  • A札と絵札(J,Q,K)の得点計算に特徴があります。
プレイ人数 3〜5人 プレイ時間15〜60分
対象年齢10歳〜 価格0円
発売時期2021春 予約 不可
ゲームデザインフェスカ・つじむら イラスト・DTP

ゲーム詳細

ジョーカーの取り扱いを変えて楽しむ様々な変種について検討が間に合いませんでした。基本ルールのみの暫定版ですが公開しておきます。当然ですが印刷物の頒布はありません。

ゲームの元となったFESCA転倍トリテは、2020秋の「FESCAトリテの詰め合わせ」に含まれています。こちらは再販と頒布しますので、よろしくお願いします。なお、FESCAゲームをトランプでも楽しむアイデアの元となったFESCAの「陰陽寮の呪符と護符」とトランプの「出る杭は打たれろ!(デルロ)」も合わせて無料頒布します。

A札を横向きに置くことで、スート毎の基礎点をマイナスに変換する札とみなして計算しています。

対消滅した札は無効札として、まとめて横向きにしています。

マイナス値の掛け算があるので推奨年齢の10才は無理があるかと思いますが、偶数と奇数の概念は習っているはずなので黒絵札の枚数が奇数なら減点になると解釈してもらいたいです。

 

解説

獲得したカードを点数化して競うトリックテイキングは多々ありますので、点数計算の方法が、このゲームの全てと言っても構わないと思います。

元となったFESCAの陰陽札からプラス・マイナスの符号の得点札とするアイデアが生まれました。転倍点をその積(乗算値)とすることでハイリスク・ハイリターンのハラハラドキドキの賭博的な面白さが生まれました。札の独占により転倍点が肥大化しないように制限するための対消滅のアイデアが重要であり秀逸です。トリックを取り過ぎると得点が減ってしまう面白い仕組みが、この対消滅という単純ルールで実現できているのです。

転倍札の白と黒(プラスとマイナス)をトランプにどう対応付けるかを考えた場合、スートの黒と赤の2色の絵札に割り付けるのは、必然の変換手法と思われます。FESCA版では陰陽札は固定の切り札扱いでしたが、トランプでは単なる高位札ですから、切り札あり・切り札なしのどちらのルールでも楽しめると思います。

空無札をA札に対応付け、太極札をジョーカーに対応付けるのも、また必然です。ただしジョーカーの扱いには大いに悩むことになりました。太極札は陰陽スートのZAT扱いでスートが確定していたのですが、ジョーカーは1枚だけの特殊スートとするかスートワイルドとするか、そもそもスート無しの特殊機能札とするか設計の自由度が高すぎます。既に5種ほどのアイデアがあります。ゲームとして破綻していないか、楽しいかなど試してみなければ分からないですが、追って公開していくつもりです。


追記(2021.04.13)

ジョーカーの扱い

■点数計算の扱い
(a)絵札の0点として扱う。転倍点は絵札点の積(乗算値)なので必然的に0点になる。
(b)消滅対(対消滅するもう片方のこと)として扱う。
・A札の1枚と対消滅する。A罰点が減る効果がある。
・対消滅するA札が1枚も無ければ、絵札全部と対消滅する。転倍点は0点になる。
・絵札が1枚も無ければ、数札全部と対消滅する。基礎点は0点になる。A札も絵札もないはずなので総得失点は0点になる。
(c)任意の札に化けられるワイルドカードとして扱う。ただし自分の持っている札の何れかには化けられない。
・赤絵札に化けて転倍点を倍にする。
・黒絵札に化けて転倍点をプラスに転換する。倍にもなる。
・絵札に化けて対消滅して、大きなマイナス点を回避する。
(d)未使用の伏せ札との交換札として扱う。(運による逆転要素として)
ゲーム開始時に絵札とA札を集めた中から伏せ札を選んでおくと、大逆転の可能性が増えて場が盛り上がる。
(e)総得失点の符号を反転させる特殊符号札として扱う。

■トリックでの扱い
(1)ジョーカーと云う特殊スートで、ランク0とする。
リードで出すと誰もフォローできないので、必ずトリックに勝つ。
フォローではリードスートが手札になければ出せるが、無効スートなので必ず負ける。
★ジョーカーを2枚使う場合
ジョーカーがリードで出されたら、もう1枚のジョーカーを持っている人はジョーカースートをフォローして必ず出さなければならない。ただしランクは0なので同じランクの勝負となる。この場合は「後出しを勝ち」と決めてフォローした側を勝ちとする。
フォローはジョーカーが1枚のときと同じで、手札にリードスートがなければいつでも出せる。
(2)(使用条件が)ゆるいスートワイルド、リードで0,フォローで15とする。
ゆるいスートワイルドとは、手札にある内は自分の好きなスートと見做してよいと云うことである。すなわちリードスートが手札に無くてジョーカーを持っている場合、そのジョーカーをリードスートと見做して出してもよいし、他のスートと見做して出さなくてもよい。
フォローで場に出されたときは、リードスートの15として扱う。リードスートの最高ランクで最強であるが、切り札ありのルールでは普通に切り札に負ける。
リードではスートを自由に指定して出せる。ただしランクが0なのでフォローする人が居れば負ける。
(3)(使用条件が)きついスートワイルド、リードで0、フォローで15とする。
リードスートが手札に無いとき、ジョーカーはリードスートとして扱い。必ずフォローして出さなければならない。
リードで使用する場合はスートを指定するが、手札に残っているスートを指定しなければならない。最後の1枚としてリードで使用する場合は、ジョーカースートとして扱う。
(4)次のリード権を得る特殊機能を持つ札(「至高のゼロ」と称する)とする。ゆるいスートワイルドでリードもフォローもランク0とする。
リードではスートを指定できない。無効スートの扱いで必ず負ける。リードスートは次手番の人が出したスートに決まる。
ゆるいスートワイルドで手札にある内は自分の好きなスートと見做してよい。フォローして出すとリードスートに確定する。ただしランク0なので必ず負ける。
トリックには常に必ず負けて札を獲得できないが、次のトリックのリード権を得る。
(5)リードチェンジャー、ランク0(スーパーストロング・スートワイルド)の特殊機能を持つ札とする。
フォローで場に出すことで、そのトリックのリードスートを宣言して変更することができる。
自分がトリックの勝者となるように場に出ていないスートを指定することもできるが、
ランクは0なので以降の手番の人がその宣言スートをフォローすると負けてしまう。
リードスートをフォローできなかった既に出ているスートを指定することでトリックの勝者を恣意的に変更することもできる。すなわち0点札であるジョーカーを押し付けることで、高得点の可能性のある人の点数を減らすことができる。

解説

標準ルールは(a)ですが、(b)にはA札の罰点を減らすという有益な機能が付くため、ジョーカーの価値が獲得している札の状況により変化するという面白さがあり(a)より好ましいと思うのですが、3行もの記述になって複雑化し過ぎるのが難点です。単純な分かり易さを採るか、ゲームとしての面白さ奥深さを採るか、どちらを優先すべきか迷うところですが、後者を上級者向けのオプションルールとしておくだけでよいかもしれません。

その一方で(c)は、ジョーカーの有益性が高くなり過ぎて面白くないように思います。存在する同じ札には化けられないと云うFESCAの化け札の制約条件を追加してその自由度を下げてみましたが、バランスを考えるとまだまだ制約条件が足りてないようです。例えば獲得札に数札の2があるとジョーカーは(e)の機能になると云う合わせ技がいいかもしれません。

(d)と(e)は運による逆転要素を加えるオプションルールです。ただし単なる運ではなく、どちらもゲームの進行に伴って情報が増えていき結果が推測できるようになるため、実は確率計算や論理的推論などの奥深い読みを必要とするガチゲーになるとも考えます。

トリック勝負での扱いに関しては、考えられるバリエーションは多くなります。スートの扱いは特殊スート,スートワイルド,無効スートとするかの3種が基本にあり、その中でもスートワイルドでは、どのように制約条件を付けるかでさらに細かく分かれます。(4)や(5)など特殊な機能を付加するとなると、さらに多くの機能が考えられます。

点数計算とトリックの扱いの組み合わせを考える必要があります。点数が有利になるならジョーカーは取り難くするなどゲームバランスを考慮した最適な組み合わせがありそうですが、一概に判断できるものではありません。機械学習AIシミュレーションで最適なルールを見つけられるとよいのですが、人間が感じる面白さ楽しさという抽象的な感覚を判断するのは、機械にはまだ難しいかもしれません。より多くの人に様々なルールを試してもらうという現実世界の進化型遺伝アルゴリズムを使うしかないと考えて、とりあえずこの場に公開しておく次第です。


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