PLUTO GAMES @pluto_boardgame
ブース概要
韓国のボードゲームデザイナーが設立したボードゲームスタジオです。 テーマを深く研究し、独創的なシステムのボードゲームを創作します。
その他
https://www.plutogames.co.kr
https://twitter.com/pluto_boardgame
新着ブログ このブースのブログ一覧へ
-
-
- 『プレジデントメーカー』デザイナーズノート⑤ 最後の10%に向けて走るゲーム
- 韓国の大統領選挙を舞台にした『プレジデントメーカー』の開発過程を連載しています。前回の記事はこちらからお読みいただけます。『プレジデントメーカー』デザイナーズノート ① 開発の契機『プレジデントメーカー』デザイナーズノート ② 4人の候補者『プレジデントメーカー』デザイナーズノート③ 有権者『プレジデントメーカー』デザイナーズノート④ 有権者の票を得る方法 このゲームは、最も多くの票を得た人が勝利するゲームです。選挙ですから。ところで実際の選挙は、最後に開票箱を開けてみるまで、誰も結果を知ることができません。1日目に何票、2日目に何票というかたちで票が積み上がっていくのではなく、数週間にわたる選挙運動の結果が、一日でいっきに出そろいます。そのような選挙の特性―勝敗が決まる方式―を、このゲームでもそのまま再現したいと思いました。そのため、ゲーム中に行う「アクション」は、すぐに票(得点)を得る行動ではなく、大半が今後票を得る「確率」を高める行動です。(すぐに票を得られる「ポピュリズム」のようなアクションも一部あります。選挙で「今すぐ」票を得るということがどのように説得力を持つかについては、後ほど説明します。) だから『プレジデント・メーカー』が他のゲームと比べて非常にユニークな点は、勝敗が決まる方式、さらに詳しく言えば、それが発現するゲームの流れにあります。一般的なゲームは、序盤から終盤にかけて、ずっと得点を抜きつ抜かれつしながら競い合い、最後の瞬間に勝敗が決まります。一方『プレジデントメーカー』は、ゲームの90%の地点まで勝敗をまったく予測できないまま進み、最後の10%の区間で、突然得票レースが始まります。面白いのは、その最後の10%のレースが繰り広げられるあいだ、プレイヤーにできることは何もないという点です。実際にテレビで開票速報を見守るように、自分の地盤で得票率が高くあってほしい、苦手な地域で意外な健闘を見せてほしいと「祈る」しかありません。もちろんその「祈り」は、単なる運だけでなく、ゲームを通じて自分が懸命に選挙運動をしながら積み上げてきた「確率」に基づいています。 ▲開票フェーズになると、各地域ごとに袋の中へ支持率に相応した数のトークンを入れ、投票率の分だけトークンを引く。いずれにせよ、この最後の10%のレース―開票フェーズ―では、歓声と嘆息が同時に飛び交う光景を目にすることになります。(笑)実際にプレイしてみると、「運の要素が少し高すぎないか?」と感じるかもしれません。運の要素は確かに高いです。ただ、実際の選挙もやはり、こうした運の要素が積み重なって結果につながると思っています。『プレジデントメーカー』はあくまでゲームですから、運の要素の働きがより強く発現するよう、投票の過程が少し誇張されているだけです。何より、開票フェーズで一票一票が明らかになるたびのドーパミンとでも言いましょうか、それが与える楽しさこそがこのゲームの核心だと思っているため、運の要素の比重を無理に下げることはしませんでした。 「コンクリート」支持層先ほど、ゲーム中に「すぐに」票を得る場合もあると書きましたが、候補者たちが得票レースを繰り広げる「開票トラック」は、その出発地点が公平ではありません。全員が最初のマスから始まるのではなく、与党候補者は最も多くの票を、無所属候補者は最も少ない票を「すでに受け取った状態で」ゲームを開始します。 開票もしていないのに票を受け取っているとは、少し不思議ですね。これは「何があっても投票所に足を運んで候補者に票を投じる、熱心な支持層の数」を象徴しています。韓国では政治用語として「コンクリート支持層」と表現します。絶対に崩れないほど固い支持層、という意味です。日本でいう「岩盤支持層」に近い概念ですね。もちろんこのコンクリート支持層は、ゲーム中に一部変動することがあります。先ほど触れた「ポピュリズム」のようなカード効果によって増えたり、前回の記事で説明した「リスク」によって減ったりもします。重要なのは、選挙期間中にコンクリート支持層をしっかり積み上げておくと、開票フェーズの抽選による運の要素をある程度相殺できるという点です。当然のことながら、出発地点が前にあるほど、総得票数が多くなる確率も高くなりますから。 何人でプレイするのが一番楽しい?正直に言えば、当然4人です。4人全員がそれぞれ候補者をひとりずつ担当して、キャラクターに合わせて駆け引きするのが一番楽しいに決まっています。ただ、2人・3人モードでも、その人数に合った楽しさとバランスは十分にあると思っています。3人ゲームの場合、無所属候補者はNPCとなり、すべての地域でわずかな支持率を持ちながら、ひっそりと選挙運動を行う候補者になります。(実際の世界に少し近いですね。)ゲームの構図は、進歩と保守という二大政党が争うなかで、第三者である中道候補者がその隙間をうまく突いて上がっていく形になります。2人ゲームでは、無所属候補者は同様に存在感の薄いNPCですが、中道候補者は進歩・保守の候補者と交互に協力するような中立的なNPCとして登場します。進歩と保守の候補者が交互に中道候補者のカードを使い、中道候補者の支持率を調整できる仕組みです。ある意味、こちらのほうが実際の世界の政治構図に最も近いかもしれません。 気づけば、当初考えていたよりもずいぶん長い連載になってしまいました。これほど長く書くつもりはなかったのですが、多少意識の流れるままに書いていたらこうなってしまいました。(笑)ゲームマーケット前に締めくくることができて、よかったです。ゲームを作るたびにこうした記録を残すことは簡単ではありませんが、自分にとっても、誰かにとっても意味のあることだと思っています。この文章が、誰かにとって少しでも楽しみや刻激になれたなら幸いです。ありがとうございました。 「完」 ▼『プレジデントメーカー』ご予約フォーム ▼https://forms.gle/3AkernPDBAALfPT46
- 2026/5/19 11:44
- PLUTO GAMES
-
-
-
- 『プレジデントメーカー』デザイナーズノート④ 有権者の票を得る方法
- 韓国の大統領選挙を舞台にした『プレジデントメーカー』の開発過程を連載しています。前回の記事はこちらからお読みいただけます。『プレジデントメーカー』デザイナーズノート ① 開発の契機『プレジデントメーカー』デザイナーズノート ② 4人の候補者『プレジデントメーカー』デザイナーズノート③ 有権者 候補者と有権者が決まったところで、次はその土台の上で何をするかを設定する番です。実際の選挙運動期間中、候補者たちは票を得るためにさまざまなことをします。 その中で私が最初に思い浮かべたのは、「選挙遊説」でした。日本でも似たような文化があると思いますが、韓国では候補者が「改造した選挙カー」で全国を回りながら演説をする文化があります。 これが「選挙」といえば真っ先に思い浮かぶ象徴的な光景だと思ったので、ぜひゲームに入れたいと考えました。 そして、この部分に「駆け引き」の要素を盛り込むのが適切だと感じました。▲トラックの上での遊説シーンをイメージした選挙遊説カード 前回の記事でこのゲームには5つの地域があると説明しましたが、各候補者はスケジュールが忙しいため、5つの地域のうち2か所にしか遊説に行けません。 どこに行くかは、地域ごとの選挙への関心度、候補者の支持率、戦略的な重要度などを考慮して決める必要があります。 重要なのは、2か所を非公開で決めたあと、同時に公開するという点です。 そのため、全員が遊説先を同時に明かしたとき、ある地域には一人だけが訪れ、ある地域には複数が同時に訪れることになります。 単独で遊説に行った地域では、一人で支持率が2マス上昇します。 その地域の有権者の関心を独り占めにできた、という設定です。 一方、複数の候補者が一つの地域で同時に遊説を行った場合、それぞれ支持率が1マスずつしか上昇しません。 有権者の関心が分散した、ということですね。 もしルールがここで終わっていたなら、「運悪く地域が被ったら不利じゃないか」という感想しか出なかったでしょう。 しかし、同時に遊説を行った場合には、もう一つの効果が加わります。 その地域での選挙への関心度、すなわち「投票率」が上昇するという点です。 「うちの地域に政治家たちが押し寄せてきた。いったい何事だ?」というような感覚で、 地域の有権者たちが選挙に関心を持つようになる、という設定です。 もちろん、自分の支持率が高い地域に他の候補者が遊説に来るのは歓迎できることではありません。 しかし結局、投票率が高くなってこそ、自分の高い支持率がより多くの票に換算されます。 だから時には、競合する候補者と不本意な共存を余儀なくされる理由にもなります。 加えて、ソウル・京畿(キョンギ)はもともと人口が多いという設定のため、常に見逃せない人気地域です。 そのため、遊説に行けるのが2か所だけというのが、毎回それなりの悩みを生むことになります。 政治家がみんな悪いわけではないけれど… 韓国では(もしかすると世界中どこでも?)「政治家」というと、不正を働くとか、談合をするとか、相手を誹謗するといったネガティブなイメージが強いのが正直なところです。 それもあって、このゲームでも最も主要なアクションのひとつが「政治工作」です。(笑) 政治工作を核となる要素にしたのは、政治テーマのゲームである以上、お互いに役を演じながら駆け引きをし、政治的な冗談を言い合うようなインタラクションを期待していたからです。 政治工作は基本的に、相手の支持率を下げたり、特定地域の関心度を操作したりと、強力なアクションが多くなっています。 ただ、それが単純な「テイク・ザット」式の殴り合いに終わるのは避けたいと思っていました。そこで導入したのが、「リスク」システムです。 実際の政治でもそうですが、得るものがあれば失うものがあります。 候補者が強力な効果のカードを使うたびに、「リスクカード」というものを受け取ります。 これは一種の「政治的リスク」を意味しており、効果が強いほど受け取るリスクカードも増えます。 リスクカードの裏面には、1から3の「リスクレベル」が記されています。 後の「メディア」フェーズになると、各自が持つリスクカードをすべて公開し、「リスクレベルの合計が最も高い候補者」がペナルティを受けます。 つまり、悪いこと(?)をたくさんしても、一番悪くなければ問題ない、ということです。問題は、ゲーム中は誰もリスクカードの裏面を見ることができないという点です。 そのため、他の候補者がリスクカードを何枚持っているかを確認しながら、慎重に政治工作を進める必要があります。 その点で、常に手番順が最後となる「無所属」候補者は、状況を見ながらリスク管理を柔軟に行えるという利点があります。 このシステムを通じて表現したかったことは、大きく二つです。1)「リスク」と「リターン」のあいだで適度な綱引きをしながら、最大効率のバランスを取っていく感覚。 2)世論は結局、最も大きな不正を犯した人物にだけ注目し、それ以外はあっさり忘れてしまう。 首都圏か、地方か 大統領は結局、国をよくする人物であるわけで、政治工作のような悪いこと(?)ばかりしているのも少しおかしいですね。 政策もきちんと発表します。 政策は前回の記事で説明した通り4種類あり、一度にひとつを発表します。 このとき、プレイヤーには常に2つの選択肢があります。 -その政策に関心のある「地方の2地域」すべてで支持率を上げる。-ソウルでのみ支持率を上げる。 遊説のときも同様でしたが、このゲームの基本構造は「最も重要度の高い(有権者の多い)ソウル」と「残り4地域」での影響力争いです。 もちろんソウル・京畿に最も多くの票が懸かっているのは事実ですが、残り4地域の票をすべて合わせるとソウルを上回るという点も、見逃してはなりません。 『プレジデントメーカー』では、「選挙遊説、政治工作、政策発表」を軸に選挙キャンペーンを表現してみました。 これに先ほど触れた「メディア」を通じたリスク暴露などの要素も加わっています。 もちろん、選挙キャンペーンに盛り込める面白い要素はまだあったでしょう。 「TV討論」のようなものを入れられなかったのは、少し心残りです。(ずっと昔のバージョンでTV討論フェーズを入れたことはあったのですが、さまざまな理由で外れました。) 次回の最終回では、ゲームのハイライトである「開票」についてお話しします。 長い文章をお読みいただき、ありがとうございました。 次回へ続く 『プレジデントメーカー』デザイナーズノート⑤ 最後の10%に向けて走るゲーム ▼『プレジデントメーカー』ご予約フォーム ▼https://forms.gle/3AkernPDBAALfPT46
- 2026/5/18 16:05
- PLUTO GAMES
-
-
-
- 『プレジデントメーカー』デザイナーズノート③ 有権者
- 韓国の大統領選挙を舞台にした『プレジデントメーカー』の開発過程を連載しています。前回の記事はこちらからお読みいただけます。『プレジデントメーカー』デザイナーズノート ① 開発の契機『プレジデントメーカー』デザイナーズノート ② 4人の候補者 候補者が決まったところで、次はいよいよ彼らに票を投じる人々、すなわち「有権者」を設定する番です。 韓国は首都ソウルを中心に、大きく五つの「道(ド)」で地域を区分しています。 京畿道(キョンギド)、江原道(カンウォンド)、忠清道(チュンチョンド)、全羅道(チョルラド)、慶尚道(キョンサンド) これは日本でいう「都道府県」に近い行政的区分ですが、文化的な文脈も考慮すると、関東地方や関西地方のような「地方」の概念に近いとも言えるかもしれません。 五つの「道」のうち、「全羅道(チョルラド)」は進歩的な傾向が、「慶尚道(キョンサンド)」は保守的な傾向が顕著に表れる地域です。 各政党にとってはまさに「地盤」と呼べる場所ですね。残りの地域は、わずかにどちらかの傾向が優勢だったり、時流によって揺れ動く程度です。 いずれにせよ、この「地域」という区分は、このゲームにおける「有権者の集まり」と言えます。 ここで考えるべきことは、さらにいくつかに分かれます。 - 地域をいくつに分けるか?- 地域の政治的傾向をどう設定するか?- 地域間の人口差をどう反映するか? 地域は直感的に5か所に分けるべきだと感じました。 首都ソウルを中心に置き、そこから4つの地域が広がる「放射状」の配置が、ゲーム力学的にバランスが良いという感覚があったからです。 そうなると、ソウルを除く5地域のうちひとつを省く必要があるのですが、「京畿道」をソウルと統合して「首都圏」という概念にするのが最も適切に思えました。日本でいえば、東京と千葉、埼玉などをまとめた地域、といったところでしょうか。 ここで人口の問題も自然につながってきます。 ソウルをはじめとする首都圏は、韓国で最も人口の多い地域です。 このゲームにおいて人口はすなわち有権者であり、有権者は得点と同義です。 自然と、ソウル・京畿は最も多くの票が懸かった重要地域として設定されました。 残り4地域は、実際には人口の差が少なくないのですが、この現実の格差をゲームに反映すべきかどうか悩みました。いわば「ゲーム性」と「現実性」の問題ですが、真面目な政治シミュレーションを作るわけではないので、ゲーム性を選ぶことにしました。 その結果、『プレジデントメーカー』では4地域すべてに同数の有権者が設定されています。 次は地域ごとの「政治的傾向」です。 おそらく、最も頭を悩ませた部分です。 まず、5つの地域それぞれに一種の政治的傾向を与え、それをもとに初期の政治地図が作られると良いと考えました。 ただし、ソウルは人口が最も多い重要地域であるため、特定の政治的傾向を与えないほうが良いと判断しました。 残り4地域についてですが、前回の記事でも触れたように、韓国の政治的傾向は保守か進歩かに大きく二分されています。違いはその色合いが濃いか薄いかです。 これを踏まえ、以下の4種類の政治的傾向を導き出しました。 進歩/中道進歩/保守/中道保守 問題は、それぞれの傾向をどの地域に割り当てるかでした。 韓国では政治的傾向の問題は思いのほかデリケートであるため、これを不用意に刺激することは、場合によってはプルートゲームズの存亡(?)にも関わりかねません。(笑) そのため、たとえそれが事実であっても、特定の地域に特定の政治的傾向を断定的に割り当てることは少々危険だと判断しました。 結局ここでも現実性よりゲーム性を優先し、4枚の政治傾向カードをシャッフルして各地域にランダムに配置する方式を採用しました。 まさにこの時点で、ゲームの説明文にどうしても次の一文を入れなければならないと思ったのです。 「このゲームの舞台は、パラレルワールドの韓国です。」 ▲ 各地域ボードにランダムに配置される政治傾向カード 各地域の政治的傾向に応じて、候補者の初期支持率も異なります。 「保守」傾向の地域では当然、保守系候補者の開始支持率が高く、進歩系候補者の支持率は低くなります。 「中道」傾向の地域では、依然として保守あるいは進歩系候補者の支持率が最も高いものの、中道候補者の支持率もそれなりの存在感を持つ形になっています。 ▲「中道保守」傾向に設定された「忠清道(チュンチョンド)」の初期支持率の状況。保守(紫)が最も高く、進歩(オレンジ)が最も低くなっています。 最後に、有権者の関心が「政治的傾向」だけに限られるのでは少し物足りないと感じました。 選挙において政治的傾向と同じくらい重要なものといえば、「政策」、すなわち実際の社会的関心事でしょう。 先ほど述べたように、当初からソウルを中心に4地域が放射状に配置される形式を考えていたため、政策の種類も4つが最も適切でした。何を4つにするかという細かい部分は、政治的傾向ほど重要ではありませんでした。 適当に経済、外交、国防、環境の4種類に設定しました。 より重要なのは、これらの政策が各地域にどのような影響を与えるかでした。政治的傾向のように各地域と1対1で対応させるのはあまりにも単純すぎると感じました。 ゲームのダイナミクスと変数を生み出すためには、少しひねりが必要だと考えた結果、地域と地域のあいだに政策カードを配置する形式を思いつきました。 つまり、すべての政策カードは隣接するふたつの地域に関わり、その政策がふたつの地域の「関心政策」となる仕組みです。(ソウルは中央に位置するため、すべての政策カードと隣接します。首都である以上、あらゆる政策に関心があるという設定です。) これにより、政治的傾向が正反対のふたつの地域であっても、政策に関しては同じ関心事を共有するという、少々アイロニカルな状況が生まれることになりました。 ▲忠清(チュンチョン)と江原(カンウォン)は、国防という関心事を共有しています。 無所属候補者はすべての地域で支持率が低い傾向にありますが、それを補えるのがまさにこの政策です。 無所属候補者は、ランダムに設定されるひとつの政策分野の「専門家」という設定です。 政治色に左右されることなく、ある分野で頂点を極めたのちに政界へ飛び込んだ人物とでも言いましょうか。 無所属候補者は、自分が専門とする政策が「関心政策」である地域で追加の支持率を得た状態でゲームを開始します。 さらに、ゲーム中に専門分野の政策をプレイするたびにボーナスも得られますが、この部分については後の記事で説明します。 ▲「外交」政策を専門分野とする無所属候補者の例 候補者たちが活躍する舞台と、そこで票を投じる有権者についての設定はひとまず整いました。 次回は、候補者たちが有権者の心を掴むために「何をするのか」について書いていこうと思います。 次回へ続く『プレジデントメーカー』デザイナーズノート④ 有権者の票を得る方法 ▼『プレジデントメーカー』ご予約フォーム ▼https://forms.gle/3AkernPDBAALfPT46
- 2026/5/8 22:10
- PLUTO GAMES
-
-
-
- 『プレジデントメーカー』デザイナーズノート ② 4人の候補者
- 韓国の大統領選挙を舞台にした『プレジデントメーカー』の開発過程を連載しています。前回の記事はこちらからお読みいただけます。『プレジデントメーカー』デザイナーズノート ① 開発の契機 『プレジデントメーカー』は選挙ゲームです。 選挙が成り立つためには、必ず次のふたつが存在しなければなりません。 「候補者」と「有権者」。 まずはこのふたつの要素をどう表現するかというところから、考え始めました。 4人の候補者ボードゲームのプレイ人数は、2〜4人が最も一般的です。 それにならい、まずは4種類の候補者を考えてみることにしました。 すると、すんなりと4人の候補者が思い浮かびました。 進歩、保守、中道、無所属。 実際、韓国の大統領選挙に登場する候補者たちは、おおむねこの4つに分類できます。しかしここから、「リアリティ」と「ゲーム性」のあいだで、また別の悩みが始まります。 なぜなら、韓国では中道や無所属の候補者が大統領に当選することはないからです。(おそらく他の国でも似たようなものでしょうが。) 毎回、進歩と保守の候補者が文字通り一進一退の綱引きを繰り広げながら政権を交代させていく構図であるため、現実を忠実に反映するなら、進歩と保守の対立を描く2人用ゲームのほうが適切かもしれません。 こういうとき、判断の基準となるのはゲームの「方向性」と「ターゲット」です。 私が考える『プレジデントメーカー』のウェイトは、BGG基準で2点前半で、 比較的気軽に楽しめる、ファミリー向けのゲームであるべきでした。 また、「政治」というテーマながら、重苦しい雰囲気にはしたくなかった。むしろ、笑いながら楽しめるものにしたかったのです。 そうなると、やはり最大4人で集まって、一種の「政治的冗談」を言い合うような場面が似合うと思いました。 加えて、候補者が4種類いれば、それぞれの特性に合わせた非対称要素を盛り込めるという利点もありました。 「進歩」と「保守」は、伝統ある「二大政党」として、全国の支持率を二分する候補者に設定しました。ただし、政治的志向の違いにより、特定の地域では支持率が高く、別の地域では支持率が底をつくという、極端な勢力図を持っています。 「中道」は、全国的に平均的な支持率を持つ候補者です。すべての地域でバランスの取れた支持率を背景に、機を見て着実な得票を狙えます。 「無所属」は、政治的志向ではなく「専門性」(後述する「政策」に関連する能力)を拠り所とする、初期支持率が最も低い候補者です。しかしその分、後先考えず積極的な妨害プレイを展開できます。失うものがない「アンダードッグ」とでも言いましょうか。 候補者間の非対称性をどこまで設けるかについては、ずいぶんと悩みました。 たとえば『ヘゲモニー』や『ROOT』のように、キャラクターごとにプレイのルール自体が異なれば、没入感はより高まるでしょう。しかしそうすると、ゲームのウェイトが大きく上がらざるを得ません。 これは、先に述べたゲームの「方向性」と「ターゲット」に合いませんでした。 それよりも、ゲーム内で各候補者が置かれた立場と、候補者どうしの相関関係そのものが、自然に非対称性を生み出してくれることを望んでいました。 もちろん、より優れたデザイナーであれば、適切なウェイトを保ちながらも、たとえば進歩的あるいは保守的なキャラクターに合った「行動的特性」のようなものを自然に織り込めたかもしれません。ただ、はっきりしているのは、このゲームで私がフォーカスを当てているのは「政治」ではなく「選挙」だということです。 「政治的相関関係」よりも、前回の記事で触れた「選挙という方程式」をゲームとして解き明かすことが目的だったため、ある意味では「進歩」「保守」といった政治用語は、テーマへの没入感を高めるための「背景的装置」に近いと言えるかもしれません。キャラクターの非対称性にもっと力を入れなかった理由についての、言い訳めいた話でした。(笑) 諸派候補の存在こうして候補者を考えながら、どうしても入れたいと思った要素がもうひとつあります。 それは、「諸派候補」です。 日本の選挙ではどうかわかりませんが、韓国の選挙では、候補者番号8番や9番あたりのマイナーな候補者の中に、荒唐無稽な(?)公約を掲げてポピュリズムに走る人物が、必ずといっていいほど一人はいます。 人々は冗談まじりに「今回も本当に入れたい候補がいない。いっそあの人に票を入れたほうがいいかも」などと言い合ったりします。 こういった候補者の存在は、ゲームにおいても非常に面白く、意味のある「スパイス」になり得ると思いました。 諸派候補はゲーム内で、ごくわずかな支持率を持つ一種のNPCとして存在しますが、状況によってはプレイヤーと「候補一本化」ができるという特徴があります。 一本化をすると、後の開票フェーズで諸派候補が得た票を吸収できる一方、小さくない「リスク」も背負うことになります。(リスクの詳細については、後の記事で改めてご説明します。)また一本化は早い者勝ちで一人しかできないため、駆け引きと決断力が求められます。 もちろん、一本化したからといって必ずしも得をするわけではありません。 時には不用意な一本化が災いして、選挙に敗れるケースも生じます。 はっきりしているのは、諸派候補との一本化がこのゲームにおける意味のある変数として機能するということです。そしてこの部分は、テーマ的にもシステム的にも、自分では満足しているところです。 次回は、候補者たちが「攻略」すべき対象、「有権者」についてお話しします。お読みいただきありがとうございました。 次回へ続く『プレジデントメーカー』デザイナーズノート③ 有権者 ▼『プレジデントメーカー』ご予約フォーム ▼https://forms.gle/3AkernPDBAALfPT46
- 2026/5/4 15:27
- PLUTO GAMES
-
-
-
- 『プレジデントメーカー』デザイナーズノート ① 開発の契機
- はじめに『プレジデント・メーカー』は、韓国の大統領選挙の候補者となり、当選を目指して競い合うゲームです。私が作るゲームがたいていそうであるように、このゲームもまた、ジャンルをひと言で定義するのは少し難しいところがあります。一応、エリアマジョリティとバッグビルディングをベースにした「パーティー系選挙シミュレーション」と呼ぶことにしましょう。タイトル通り政治をテーマにしたゲームであり、実際の地域名や「進歩」「保守」といった政治用語も登場しますが、決して堅苦しい雰囲気のゲームではありません。むしろ、その逆と言えます。 (最終的な開票段階では、並のパーティーゲームよりも「わちゃわちゃ」と盛り上がることもしばしばです。)今回の連載を通じて、なぜこのような物々しい(?)テーマのゲームを作ることになったのか、その過程でどのような悩みがあったのか、気軽に綴ってみようと思います。選挙という方程式韓国では5年に一度、大統領を選ぶ選挙が行われます。仕組みはシンプルです。 各候補者が全国で獲得した票を合算し、最も多く得票した者が当選します。したがって、たとえ政治的に不利な地域であっても、そこでの選挙活動が全く無意味なわけではありません。 どこで、どのようにしてでも、「一票でも多く」積み上げることが、勝敗を左右するからです。 不思議なことに、韓国の政治家たちは選挙シーズンになると、申し合わせたかのように伝統市場を訪れ、決まって「おでん」や「トッポギ」を買って食べたりします。おそらく、庶民的なイメージを演出するためでしょう。ある日、テレビでそんな光景を眺めていたとき、ふとこんな疑問が浮かびました。 「市場でおでんを食べることで、『実際に』何票増えるのだろうか?」 単におでんを一度食べたからといって、票が増えたと断定することはできないでしょう。 しかし、少しでも自分を知ってもらわなければならない政治家にとって、それが「何もしないこと」よりはマシであることは間違いありません。そこから、「おでんを食べる」ことと「何もしない」ことの間に確実に存在する、ある微妙な差を抽出して、ゲーム的な要素に置き換えたいと考えました。それは、目の前の行動一つひとつが即座に票に直結しなくても、有権者の前に繰り返し自分を露出することで、「誰かが自分に投票してくれる可能性」を少しずつ広げていくことだと定義できそうでした。選挙の作動原理を数学的に解剖してみれば、結局は「支持率」と「投票率」というふたつの変数が織りなす、一種の方程式だと言えます。たとえば、 自分の支持率が高い地域の投票率が高ければ、自分が多くの票を得る可能性も高くなります。 同じ理屈で、相手の支持率が高い地域は、投票率が低いほど自分に有利になります。 ここがまさに出発点だと感じました。 そして、この部分をゲーム化することは、そう難しいことではありませんでした。 '袋の中に各候補者の「支持率」に相応した数のトークンを入れ、そこから「投票率」の分だけトークンを引く'これなら、それらしい選挙ゲームが作れるのではないかと考えたのです。このメカニクスを核に据え、選挙にまつわるさまざまな要素を肉付けしていこう。 そんな思いでゲームデザインに着手しました。 選挙ボードゲーム『プレジデント・メーカー』は、こうして始まったのです。 次回へ続く 『プレジデントメーカー』デザイナーズノート ② 4人の候補者 ▼『プレジデント・メーカー』ご予約フォーム ▼https://forms.gle/3AkernPDBAALfPT46
- 2026/5/2 18:07
- PLUTO GAMES
-

![[航路開拓者]](https://img.gamemarket.jp/thumb_20260423_145826_thumbnailsmall.jpg)
![[プレジデントメーカー]](https://img.gamemarket.jp/thumb_20260423_105848_프레지던트메이커 일본용.jpg)
![[マジックナンバーイレブン拡張パック]](https://img.gamemarket.jp/thumb_20250421_233452_섬네일4.jpg)
![[航路開拓者]](https://img.gamemarket.jp/thumb_20241026_163727_thumbnailsmall.jpg)
![[MAGIC NUMBER ELEVEN(マジックナンバーイレブン) ]](https://img.gamemarket.jp/thumb_20240604_121300_1.png)