按理具庵

「あんりぐあん」 と読みます。駆け出しの発明家が勢いで一人起業してしまった会社です。
陰陽五行プレイングカードFESCA(フェスカ)をトランプの再発明として創作し、Amazonやイエローサブマリン等にて販売中です。
しなり折りカード立てが第一発明品で、これを応用した紙製ミープルやチェス・将棋駒に展開中です。

FESCA60ポーカーを考える
2018/8/22 13:17
ブログ

陰陽五行プレイングカード FESCA(フェスカ)のポーカー役を考えます。
フルセットの78枚を使用するフェスカ・ワイルドポーカーも考えてみたのですが、役が多く複雑で役の強弱を決める確率計算が複雑極まりなく、まったくお手上げ(ギブアップ)状態です。このため、まずは基本からということで、五行札(12ランク・5スートの60枚)のみを使用したFESCA60ポーカーを考えることにしました。

ほぼトランプと同じカード構成なので、トランプのポーカー役でそのままでいけそうです。トランプは13ランク・4スートですから、ランクを13→12に縮めて、スートを4→5に広げることになります。しかしフェスカは5スートなので、トランプとは異なるファイブカード(5 of a Kind)という役が新たに追加されます。トランプでもジョーカーを含むポーカーで、フォーカードにジョーカー1枚の組み合わせてファイブカードという役で呼んでいますが、フェスカでは同ランクの5枚組の純粋ファイブカードが作れます。なおフェスカではトランプと異なり、絵札が無いのでロイヤル・ストレート・フラッシュという役はありません。そもそもトランプの役でもストレートフラッシュの最高位として扱うべきものなのですが、わざわざ分離した役になっているのは謎です。

ポーカー役は、(a)同ランク揃え系、(b)ランク順並べ系(ストレート)、(c)スート揃え系(フラッシュ)の3種およびその組み合わせで成り立っているのですが、フェスカは5スートなので、スート揃え系に「5つのスートを各1枚ずつ集める」という役を追加することが考えられます。一つのスートに揃えるのがフラッシュですが、その逆でバラバラに5つ揃えるということです。感覚的にはフラッシュよりずっと簡単にできる役と思われますが、でもワンペアよりは難しそうで、ツーペアやスリーカードと比べると確率的にどうかなというところです。この役名を最初は「ファイブ・エレメンツ(5つの元素)」としたのですが、どうもフェスカに縛られた名前であり、他の多スート系トランプでも使える汎用的な名前の方が良かろうと考えて「ミックスウェル(Mix Well、よく混ぜる・よく混ざっている)」としました。このミックスウェルは他の役との複合も可能なのですが、それぞれ区別すると役の数が増えすぎて覚えられないし、また複雑になり過ぎるため、複合役は補助的に考えることにします。例えば手役がスリーカードどうしで競合して、一方にミックスウェルの複合があった場合に、スリーカード・ミックスウェル(3 of a kind with mix well)として複合している方が役順が高いとします。

以上まとめるとトランプのポーカー役との違いは、
(1)ファイブカードがある
(2)ロイヤル・ストレート・フラッシュがない
(3)各スートを1枚ずつ集める「ミックスウェル」という役を追加
となります。

「ミックスウェル」の強さがどの程度になるのか、役の出来やすさがトランプとどの程度違うのか興味深いところで、厳密な確率計算をしてみました。ただしミックスウェルの複合役は除外しています。



計算式の C(n,r) は組み合わせ数関数であり、数学表記だとは nCr で、Excelの関数ではCONBIN(n,r)に相当します。式中の x は乗算記号の×(かける)で、数学的には省略されるべきですが、式の意味を分り易くするためにあえて挿入しています。 ^ はべき乗記号です。
結果を見てみると、まずは赤枠で囲った部分が最重要です。フラッシュとフルハウスの確率がトランプのポーカーと逆転しています。スートを広げてランクを縮めることで、(a)同ランク揃え系の役が出来やすくなり、(c)スート揃え系(フラッシュ)が出来にくくなるため、強弱順位の逆転が生じたということでしょう。元々のトランプのポーカーでも、このフラッシュ,ストレート,フルハウスの役の強さ順は、3系統の役が混在して感覚的に覚えにくいところでもあり、滅多に競合(同じゲーム中で成立)することもないので、順番を覚えなくていなくてもゲームは楽しめると思います。FESCA60ポーカーでもフラッシュが出来にくくなり順位が変わったことだけを記憶に留めておくだけでよいでしょう。
次の注目点は「ミックスウェル」(※短縮発音表記でミクセルとしたい)です。ツーペアとスリーカードの中間にほどほどイイ感じの確率で収まってくれてます。ワンペアでは勝負にならないのは当たり前で、より高いツーペアやスリーカードを狙ってカードチェンジするのが通常で、時々ストレートやフラッシュも狙ったりすることもありという状況にあって、新たにそこそこ確率が高めで出来やすく、しかも複合役としても使える「ミックスウェル」は役として、とてもおもしろい(興味深い)と云えるのではないでしょうか。
この確率計算は、最初の5枚配りの段階で役が成立している確率であり、カード交換するとさらに高まります。ワンペア以上の何かしらの役ができる確率はトランプで約50%であるのに対し、フェスカ60ポーカーでは約60%と高まってきます。役無しハイカードでのつまらない勝敗判定の確率も減ってゲームが楽しくなるはずです。

今回は、FESCA60ポーカーの紹介でしたが、実はFESCA65(五行札と空無札)の検討もしています。空無はZAT(0と13:Zero and Thirteen)使い限定の場合だけです。13ランク・5スートになりトランプとのカード構成の差が小さい分だけFESCA60より特徴が表れにくく、少し物足りない感じがしています。空無をZATとランクワイルドの兼用としたら、大きく変化して面白くなりそうな気がしているのですが、最初に述べたようにワイルドカードを含む計算が複雑で詳細分析できていません。数学に強い人、誰かチャレンジしてもらえませんか。

最終的には、フルセット78枚で、陰陽札をスートワイルドと陰陽スートの両使い、空無札をランクワイルドとZATの両使い、太極札をジェネラルワイルド使い、としたフェスカ・ワイルドポーカーを完成(新役追加と厳密な役順確定)させたいと思っています。参考までに現状で、考えてある役の一部を公開しておきます。陰陽や空無をワイルドカードとして使う役をセミ(Semi)+元の役名としています。フェスカの特徴である相生・相克順を適用した並び役もあります。