ヒカリマル製作所 @hikarimaru5884
「小さく、美しいゲームを。」 両日H068で出展します。 今回の新作は、式神エンジンビルド×陰陽師能力バトル「ハクスラ陰陽師」!! 倒した妖を裏返して、自分の行動を強化する装備にするか、強力な効果を使える式神にするか。4人の陰陽師と18体の妖で、1億通り以上のビルドが楽しめます! 1〜2人・10〜20分・カード32枚、価格は1,500円です。2人なら共闘から決闘へ、1人でも強大なボスとのバトルが遊べます。 過去作の「アートコレクター-ブラフ&オークション-」「クロスギャラリー-バッティング&オークション-」、謎解きゲームの「ミステリーアートミュージアム」は、予約限定+若干数のみの持ち込みです。
- 手のひらサイズで「ちゃんとしたエンジンビルド」を作る ―『ハクスラ陰陽師』ゲーム紹介とデザイナーズノート
- 2026/9/23 16:16
ゲームマーケット2026秋、両日 H068 で出展するヒカリマル製作所です。
私たちは「小さく、美しいゲームを。」を掲げて制作しています。以前のブログ「ボードゲームの『小ささ』について」では、箱の大きさとルールのコンパクトさについて書きました。
今回の新作『ハクスラ陰陽師』は、その考え方のまま、ハクスラとエンジンビルドに挑んだ一作です。箱は手のひらサイズ、カードは32枚だけ。その中に、敵を倒して強くなっていくハクスラの気持ちよさと、自分だけの型を組むエンジンビルドを入れました。
この記事では、前半でゲームの概要を、後半で今回の試行錯誤や工夫を紹介します。

『ハクスラ陰陽師』はどんなゲーム?
夜ごと、辻に妖(あやかし)が出る。あなたは陰陽師です。
倒した妖を式神として従え、装備として身につけ、自分だけの型を組んで夜を越えていきます。
- プレイ人数: 1〜2人
- プレイ時間: 10〜20分
- 対象年齢: 10歳〜
- 内容物: カード32枚(63×88mm)
- 価格: 1,500円
2人で遊ぶ時は、6回の戦闘を協力して戦い、最後は育てたキャラクター同士で1対1の決闘をします(半協力)。決闘のかわりに、2人で強大なボス(酒呑童子・橋姫)に挑む完全協力モードもあります。1人用ルールでは、育てたキャラクターでボスに挑みます。
陰陽師は4人。式神の扱いに長けた晴明、攻守に優れ読み合いで強い道満、火力が高い梨花、妖術のコンボが強力な葛葉、それぞれ能力が違います。
1プレイの流れ

キャラクターを1枚選び、「攻撃」「防御」「妖術」の手札3枚を持ちます。妖は Lv1・Lv2・Lv3 の山に分かれていて、戦闘ごとにランダムに選んだ2体の妖と戦います。

毎ターン、2人とも手札から1枚を裏向きに出して、同時に開きます。
- 攻撃: 妖1体に、攻の数字ぶんのダメージ
- 防御: このターン、ダメージを一切受けない
- 妖術: 妖1体に、術の数字ぶんのダメージ
それぞれのカードを出した時には、そのカードに対応する辺(攻撃は左、防御は右、妖術は下)にセットした装備の効果も使えます。
出したカードは使用済みになり、3枚を使い切ると全部手元に戻ります。2人の処理が終わると、妖が攻撃してきます。妖のカードには手(攻撃の内容)が①②③と書いてあり、1ターン目は①、2ターン目は②、3ターン目は③、4ターン目はまた①と、1ターンに1つずつ打ってきます。

妖を2体とも倒したら1体ずつ分け合い、裏返して「装備」か「式神」にします。これを Lv1・Lv2・Lv3 で2戦ずつ、計6回戦ったら最終戦です。
32枚で「ちゃんとしたエンジンビルド」にするために
このゲームは「エンジンビルド×ハクスラを最小構成でシンプルに美しく作りたい」というところから始まりました。カードは32枚にしました。32枚はボードゲームでよく使われる枚数で、持ち運びのサイズを最小化する際の有力な選択肢です。
ハクスラの快感は、強くなった実感です。敵を倒すと装備が手に入り、その装備で次の敵を倒して、また強くなる。これを味わうには、手に入るものの種類が多く、組み合わせで毎回ちがう型ができる必要があります。
エンジンビルドも同じ形をしています。手に入れたものが次の行動を強くし、強くなった行動でさらに次のものを手に入れる。この循環(エンジン)を自分の手で組んでいくのが面白さの中心です。
ただ、エンジンビルドの多くは、そのためにたくさんのカードやボード、トークンを使います。32枚でその多様性とリプレイ性を出せるかは、正直かなり難しいところでした。そこでやった工夫を5つ紹介します。
工夫① 1枚の妖カードが3つの役割を持つ
妖カード18枚は両面です。表は敵として出てくる「妖の面」、裏は倒したあとに使う「式神の面」。
倒した妖は、裏返すだけで戦利品になります。ドロップ用の別のデッキもトークンも要りません。
さらに、式神の面には使い道が4つあります。
- 横に置いて「式神」にする → 真ん中に書いてある技が使える
- キャラクターカードの左に差す → 左の辺(攻の辺)が効く
- 右に差す → 右の辺(防の辺)が効く
- 下に差す → 下の辺(術の辺)が効く

たとえば鎌鼬は、式神にすれば「もう1枚出せる」技、左に差せば攻撃の強化、右なら防御の強化、下なら妖術の強化になります。同じ1枚でも、どこに置くかでまったく別の部品になります。
装備に3辺すべてを使ったのは、そのほうが選択肢が大きく増えて、ハクスラらしい悩ましさにつながるからです。18枚×4通りで、使い道は72通り。辺は全部で54か所あり、そのうち34か所は単純な数字ではなく、対応する手札を出したターンに起きる効果にしています。

工夫② シンプルにキャラクターのステータスを表現
装備する時は、式神の面を上にしてキャラクターカードの後ろに差し込み、対応する辺をはみ出させます。見えている辺だけが効き、何枚でも重ねられます。
キャラクターカード1枚が、そのまま装備スロット付きのプレイヤーボードになるわけです。
HPも同じ仕組みです。HPカードをキャラクターカードの後ろに差し込み、キャラクターカードの上から見えている数字のうち、一番下が今のHP。HPが減ったら、HPカードを下へずらして見える数字を減らします。妖のHPも同じようにカードで数えるので、ダイスもトークンも入っていません。

工夫③ アクションが強化されるエンジンビルド
エンジンビルドは、強くなるほど手番でやることが増えがちです。でもヒカリマル製作所は「手番中のアクションはシンプルなほど良い」と考えています。
そこで、手札は最初から最後まで「攻撃」「防御」「妖術」の3枚のままにしました。辺の数字(攻+1 など)はずっと効き、辺に書かれた効果は、その辺のカードを出したターンに起きます。左の辺は攻撃を出したターン、右の辺は防御を出したターン、下の辺は妖術を出したターンです。
毎ターンの選択肢は3枚から1枚のまま。強くなるのは、それぞれのカードを出した時の効果です。攻撃を積んだ型、防御を出すたびに回復する型、妖術で押し切る型と、同じ3枚でも、型によって効果がまったく変わります。

2人は同時に伏せて出すので、協力戦ではもう1人の1枚を読んで自分の1枚を選び、決闘では相手の1枚を読み合います。妖の手は①②③の順番がカードに書いてあるので、大きい手が来るターンに防御を合わせる、といった計画も立てられます。深みはシステムの複雑さではなく、この読み合いで作りたいと考えました。
工夫④ リプレイ性を高めるシステム
妖18枚は Lv1・Lv2・Lv3 の6枚ずつ。各Lvで戦うのは2戦×2体の4体なので、毎回2体ずつ出会わない妖が残ります。どの4体と出会うかだけで、1つのLvにつき15通り、3つのLvで3,375通り。取れる式神が毎回変わるので、同じキャラクターでも前回と同じ型にはなりません。
残った妖も無駄にはしません。ボス戦では、Lv3の山に残った妖から1体がボスの取り巻きとして出てきます。
倒した2体を分ける順番にも意味を持たせました。あとに倒れた妖にとどめを刺した人が先に1体選び、次の戦闘はもう1人が先手になります。先手は先に動けますが、妖の「先手に◯ダメージ」の的にもなります。協力しながらも「その式神、欲しい」という駆け引きが生まれます。
工夫⑤ 決闘・協力・ソロの3モード
遊び方を増やしても、カードの枚数は増やしていません。
- 2人・決闘(半協力): 6戦を協力して、最後は1対1
- 2人・ボス戦(完全協力): 6戦のあと、2人でボスに挑む。ボスは妖用HPカードの裏面
- 1人用: 育てたキャラクターでボスに挑む
1人用では、使わないもう1人分の手札3枚を、裏向きにして横に置きます。妖が残り1体になると、この3枚から毎ターン1枚をめくり、防御ならその妖はそのターンダメージを受けず手も打たない、攻撃なら、そのターンの妖の攻撃は、あなたの防御の数字で軽減できません。2人用の手札をそのまま妖の動きを変えるのに使うことで、1人用のためのカードを1枚も足さずに済みました。難しさは10段階から選べます。
小ささと美しさを両立させるために、削ったもの・あとから足したもの
ヒカリマル製作所では、「小さい」を、物理的にサイズが小さいこと、内容に無駄がないこと、ルールがコンパクトで分かりやすいこと、と定義しています。「美しい」は、見た目が整っていること、ルールとコンセプトが矛盾なく響き合うこと、思考が勝利へ論理的に接続すること。
『ハクスラ陰陽師』では、ハクスラの気持ちよさに直接つながらないものを削りました。一方で、なくても遊べるけれど、32枚の構成の中に収められるものは、あとから足しています。
削ったもの
- 属性。相性の計算はルールを複雑にしすぎるので入れていません
- デッキビルド要素。最初は考えていましたが、重ゲーになるのと、TCG寄りの方向に進んでしまうので、思い切って削りました
- 妖の札の裏面の統一。妖はランダムに登場するので裏面は揃えたかったのですが、式神と装備を1枚で表現するために諦めました(机の下でランダムに選ぶか、お手持ちのダイスなどで決めてください)
当初は予定していなかったけれど、あとから足したもの
- ボスキャラ。最初は1対1だけのつもりで作り始めましたが、ソロプレイと完全協力も遊べるようにしたくて、唯一使っていなかった妖用HPカードの裏面に入れました。結果として、ゲームの幅が大きく広がりました
- 進化という山場。式神をコストにしてキャラクターカードを裏返すと、HPが回復して能力が変わります。当初はキャラクターカードの表と裏に1人ずつ、2枚で4人の予定でした。ほかの部分を圧縮してキャラクターカードに4枚使えるようになり、同じカードの表と裏の2人は一緒に選べないので、組み合わせを増やすために1人1枚にしました。そこで空いた裏面に、進化を入れています
- ソロプレイのレベル設定。気軽に遊べる低難易度から超高難易度まで、10段階あります(これのせいでバランス調整に多大な時間をかけることに…別のブログで機会があれば紹介します)
- ストーリーモード(追加予定)。ソロプレイと協力版の延長として、キャラクターや妖の関係性も活かして遊べるモードを用意する予定です。説明書のQRから遊べるようにします。頑張ります…!

32枚の内訳は、妖18枚・キャラクター4枚・手札6枚・HPカード4枚。表と裏をあわせた64面に、役目のない面は1つもありません。
そしてビルドの幅です。
- キャラクター: 4人 × 進化の前と後 = 8通り
- 1つのLvで: 6体からどの2体を取るか 15通り × それぞれを式神・左・右・下のどれにするか 16通り = 240通り
- これが Lv1〜3 の3回ぶんで 240³
8 × 240³ = 110,592,000。32枚で、1億通り以上のビルドが組めます。

バランス調整は、ブラウザ版とAIで
32枚でも、組み合わせは人の手で遊びきれる数ではありません。そこで今回は、まずブラウザ版を実装しました。初期は人の手で大量にテストプレイしながら細かく調整し、そのログを全部残してAIに学習させ、後半はAIで膨大な量のテストをして細かい調整をしています。AIの確からしさは、実際にAIと対戦するなどして人間が確かめました。
この話は、次のブログで詳しく書く予定です。
おわりに
「この枚数でこんなに面白いんだ」と思ってもらえたら、とても嬉しいです。
ゲームマーケット2026秋、10/17(土)・18(日)の両日、ブース H068 でお待ちしています。取り置き予約と、10/4(日)までの予約者向けの抽選プレゼントは、ゲームページから。
『ハクスラ陰陽師』ゲームページ: https://gamemarket.jp/game/189267
