RAMBLE ODD POTATO

子供心を忘れない大人たちへ
どこか不思議な世界を描く盤上遊戯を作るために集まった人たち

最新作は不思議なストリートアーティストの世界「BRICOLAGE HEADS」を発売予定。 プレイ人数:2人 プレイ時間:60分~ 推奨年齢:12歳以上

『BRICOLAGE HEADS』のデザイナーズノート
2023/12/7 5:56
ブログ

器用人は(中略)、エンジニアとはちがって、仕事の一つ一つについてその計画に即して考案され購入された材料や器具がなければ手が下せぬというようなことはない。彼の使う資材の世界は閉じている。

そして「もちあわせ」、すなわちそのときそのとき限られた道具と材料の集合で何とかするというのがゲームの規則である。

 

クロード・レヴィ=ストロース (1976) 『野生の思考』大橋保夫訳,みすず書房.

 

ブリコラージュヘッズはこの文章を読んだことから始まりました。

 

これからブリコラージュヘッズのメカニクス的な部分となぜそれを導入したのか、それを導入したことでどのようなゲームにしたかったか、について書いていこうと思います。

この中に出てくるシステム用語は下記の書籍参照です。

「ゲームメカニクス大全 第2版,Geoffrey Engelstein/Isaac Shalev著,小野卓也訳,翔泳社」

 

 

【ブリコラージュヘッズに採用されているシステム】

 

ブリコラージュヘッズには下記のシステムが採用されています。

・ネットワークビルディング(SET-04)

・キルスティール(RES-22)

・アクションポイント(ACT-01)

・収入(ECO-05)

・サドンデス(VIC-15)

 

ブリコラージュヘッズの基本ルールを知っているという前提で書いていきますので、知らない場合下記のリンクより基本ルールをざっくり把握してもらえると意味がわかるかと思います。

基本ルールはこちら

https://gamemarket.jp/blog/186598

 

【テーマを演出するために採用したゲームシステム】


基本的にこのゲームは、「作る」ということに焦点を当てたいと思いました。何せ主人公たちはストリートアーティストですからね。

2人専用60分のネットワークビルドゲームとは謳っていますが、ネットワークビルド部分は「宣伝」部分で、1番重要な要素というわけではありません。

キカイを作る、そしてそれを組みあわせることでエンジンを構築していっているというのが、このゲームの主題です。

エンジンを構築し、それを何度も起動することでゲームを進めるゲームということで、「ギズモ」や「デウス」なんかを参考にしていました。

 

これらのゲームは連鎖して効果を発動することで、一気に発動できる快感はあるなと感じたのですが、如何せん効果が多岐にわたりすぎて、どの効果を組み上げるかにプレイヤーの思考が持っていかれます。

「マジックザギャザリング」などのTCGと比べたら、上記のゲームの効果はそれほど複雑ではないかもしれませんが、「ダイスフォージ」などに比べたら複雑だと感じました。

 

つまり、効果の複雑さというのはスマホのスライダーのようなもので、0~100へ調整可能というものだとイメージできます。

僕が面白いと感じるのはスライダーの10~20くらいの位置の低情報量の効果で、それら効果によるエンジンビルドを脇役として機能させつつ、より主役としたいシステムを盛り上げるために使うのがちょうどよいと思いました。

 

 

【システムを調整するとテーマから離れていくジレンマ】

 

テーマ的には「作る」を主役にしたいが、システムを自分好みに調整していくと「作る」以外になってしまう。これは一つジレンマでした。

そのため、しばらく「作る」という行為自体がもっと複雑だった時期もあります。

材料(=街のゴミ)を集めてくるというアクションが存在していたり、その材料も5種類くらいあってそれを組み合わせて、「ダ・ルイジ」の料理作るみたいな”交換(ECO-01)”で機能させられないか、などいろいろ考えていました。

しかし、最終的にファンを獲得したり、展示したりするところが、このゲームの出力口であり、この出力のために、入力として「作る」で準備しているのだと解釈し、エナジーで規定コストを払えば作れるという今のシンプル系になりました。

 

 

【キカイをどう配置し、どう組み合わせるかを演出するシステム】

 

しかし、キカイを「どの組み合わせで作るか?」とプレイヤーが思考する点は残っています。

これはテーマ的にもこのように思考しながらゲームしてもらいたいと思っていた点です。

 

これはファンを3スート(赤・緑・青)に分け、ゲームの準備段階でファンを盤面に公開情報として配置してしまうことで可能となりました。

既存型ルートによるネットワークビルドであることも相まって、ゲームの準備段階でなんとなく、どの場所にどの色のキカイを建てるのが最適かということは想像できるのです。

 

この最適解に対して、プレイヤー間でのファンの早取りや、カードの引き、キカイの早取りなどにより判断がぶらされます。

この最適解の判断は、キカイのカラーだけの話であり、ここにそれぞれスライダー10~20の効果が付きます。

この錯綜する情報の中、この複雑さの効果はばっちり噛み合ってくれました。

キカイの配置の最適解を悩ます要素として機能してくれています。

これらのことを考慮しながら「どの組み合わせで作るか?」というのを考えなければなりません。

 

 

【序盤から終盤への一辺倒な流れを解消するためのシステム】

 

これだけではゲーム序盤に強力なキカイ(エンジン)を作ってから、ゲーム終盤でキカイ(エンジン)を起動させまくるという一辺倒の流れになり、プレイに幅がなかったので、もう一つスパイスを加えます。

 

これが”キルスティール(RES-22)”です。

 

基本的には多くのファンを連れてきた方が、エンジンも起動し、親方トラックも進められるので強いです。

しかし、各エリアの最後のファンに重み付けをすることで、強力なエンジンを有しているプレイヤーが、最後のファンを取り切れないときはファン獲得を見送ることも賢明という選択肢を用意したかったのです。

このルールはインタラクションを非常に強めてくれました。

 

なぜなら強力なエンジンを有していても気を抜くことはできず、相手の所持カードをなどを考慮して、最後のファンを取得できるタイミングを見計らう必要が出てくるからです。

そのため、看板にはかなり重みが付けられています。

VP+効果という形で2人用においては、そのバランスで大丈夫かというほどに重みづけしてあります。

さらに、看板を建てきれば即勝利というサドンデス(VIC-15)もおまけにつけときました。

それくらい重要度を上げることで、強力なエンジンを構築することと、ファンを獲得するタイミングを天秤にかける必要性が出てきたと言えます。

 

 

【アクションの重さを1:1に】

 

ネットワークビルドを謳ってますが、今のところほとんどネットワークビルドの要素が出てきていないですね。

このゲームにおけるネットワークビルドの要素は、「宣伝」というアクションに集約されてます。

ここは既存のネットワークビルドゲーム同様に、まぁ…線路を引けるわけです。

テーマ的には口コミが広がってファンが来てくれるようになったというイメージです。

 

そして相手の構築したルートを使える、と設定していたのですが、このアクションは弱かった。

ルートを構築していくインセンティブが少なかったのです。

 

やはり「ブリコラージュヘッズ」のような自由なアクション選択(毎ターン1アクションポイント与えられ、すべてのアクションがコスト:1APと解釈すればアクションポイント(ACT-01)と言えそうです。)かつ4種アクションという少ない選択肢では、それぞれ独立した価値を持ちつつ、必要起動回数などは1:1:1に揃えていかなければ、4択という少ない選択肢のうちさらに1択減る盤面が多数現れます。

 

するとプレイヤーはそのアクションをしたいから選択しているのではなく、そのアクションしかすることがないからしょうがなくやっているという作業感が出始めるため、これを取り除くために各アクションの強度を1:1:1に揃えます。

 

 

【アクション選択を盛り上げるシステム】

 

「宣伝」によるルート構築には、個人ボードの影響力コマを吐き出すことによる”収入(ECO-05)”を連結しました。

これは重ゲーおなじみのテラミスティカスタイルの収入メカニクスです。

やはりあらゆるゲームで使用されるだけあってしっくりとはまってくれました。

 

さらにこの収入をラウンド間の自動収入としてもよかったのですが、このままでは3アクションしかないし、選択肢として物足りないと感じたので、4アクション目として”お披露目”を考えました。

”お披露目”は収入アクションであり、かつ勝利点獲得のための最終出口アクションです。

 

このとき、フィードバックループを強く意識しました。

複数のアクションが存在するゲームにおいて、各アクションの立ち位置は相互補完的であり、上から下へ流れる物語のようではダメで、各アクションに入力と出力が繋がれた回路で無ければいけないということです。

詳細はスパ帝氏がゲームマーケット2018大阪で販売していた「ルールデザインノート」と、「ゲームメカニクス おもしろくするためのゲームデザイン,アーネストアダムス/ヨリス・ドーマンズ著」がわかりやすかったです。

 

すごく簡単にいうと、アクションというのは、ねるねるねーるねの1の粉、2の粉のように番号順に行うものではなく、どのアクションをどの順番で実行したとしても、他のアクションは何かしらの形で強められるものでなければならないということです。

 

 

【アクションの出力・入力のバランス】

 

そのために必要なのが、アクションにおける入力と出力です。

そして、”お披露目”における出力が弱かった。

エナジーの収入のみだからです。

勝利点として獲得されるものは、(経済ゲームなどでない限り)ゲーム中再利用不可能となり、リソースではなくなります。

リソースがドレインされ、ゲーム外へ出力されると解釈してもいいかもしれません。

 

つまり勝利点というのは基本的に回路(各アクション)の入力としては使えないわけです(勝利点マイナスを負いつつ借金を得るなどのアクションが出来るゲームは別。テラミスティカなんかも隣接ボーナスにより魔力を得る際、勝利点をリソースとして支払うので、勝利点はリソースとして回路内に留まってますね)。

なので、勝利点獲得アクションというのは、そこから何かのフィードバックが起こらない限り、後回しにし貯めて貯めて最後に打つアクションということになります。

 

”お披露目”の出力には、エナジーによる収入はありますが、それはエナジーがなくなったからしょうがなく、という消極的な理由によるアクション選択です。

これはまた先ほどの「それしかやることがないからしょうがなく選択するアクション」ということになります。これはMeaningful Choiceではなく、作業ということになるのでご法度です。

 

そのため、他に”お披露目”を選択する理由として考えたのが、ファンを回収しない限りキカイの効果は一度しか使えない、という制約でした。

 

せっかく構築した強力なエンジンも、この”お披露目”でメンテナンスしてあげないと再度起動出来ないわけです。

これによって、エナジー収入以外のインセンティブが”お披露目”にも生まれ、各アクションの強度は1:1:1:1くらいになりました。

これでどのタイミングでどのアクションを行うべきか?という重ゲーライクな悩ましさが生まれるゲームになったかと思います。

 

 

 

 

ゲーム全体のことというより、アクションの強度比に偏った内容になってしまいましたが、このようなことを考えながら作ったのがブリコラージュヘッズです。まだリソースをインフレさせずに拡大させるために気付いたドレインの重要性などブリコラージュヘッズを作ることでの気付きについて、語りたいことはたくさんありますが、切りもいいのでこの辺で。

『BRICOLAGE HEADS』についてシステム面でも興味持って頂けたら嬉しいです。

 

 

ご予約はこちら

https://forms.gle/e85zAdsPFt94Vz5P8