旗印クリエイト @yinkurieit38893
旗印クリエイトは「あまり広くは知られていないけれども、実はとても大切なこと」について、「これまでになかったカタチ」で表現することを目指します。
記念すべき第一弾は、衛生害虫をテーマにした専門知識介入型ボードゲーム『ペスト×コントロール』!
あなたの知らない、衛生害虫の世界へご案内します。
- ペスト×コントロール製作備忘録【7日目:諸々のオブジェクトの描画(2022/8/9‐)】
- 2023/11/6 15:43
こんにちは。旗印クリエイトのTomohiroです。
今回は、ゲームを彩る諸々のオブジェクトを描画していた時のお話です。
例えばみなさんの身の回りにもあるお菓子の箱やスーパーのチラシは、様々な図形や写真など、数多のオブジェクトで構成されているかと思います。ボードゲームにおいても、それは全く同じです。
そうです。口ではそう言えるし、頭でもそのように理解してはいたのです。
それでもまさか、自分で作ろうとしているものが、こんなにもオブジェクトにあふれていて、そのオブジェクトを一つ作るだけでここまで手間がかかるものとは思いませんでした…。
2022年8月、写真の切り抜き方がある程度わかってきた私は、オブジェクトの作り方を考えていました。
対象となるのは、大元の写真から一部を切り抜くのではなく、一から作る必要があるオブジェクトたちです。一応ではありますが、それまでの流れから切り抜いた部分を塗りつぶす方法についても理解していました。
背景が白で、切り抜く対象の部分が単一色に近いほど(=両者の色が相反するよう、違いがはっきり分かるほど)きれいに切り抜ける程度のことは分かっていました。
このことをもとに、ある程度の正確さをもって図形の角度や位置が調整できるパワーポイント上で描画したものを切り抜き、オブジェクトにすることを思いつきました。
コントロールポイント獲得マークの描画①
上の図はゲームの中で登場する、「コントロールポイント獲得マーク」を書き始めたところです。ここでは最終的に、バンザイした人の上半身をピクトグラム形式で表現できればOKです。
台形が胸部、その上に位置する斜めの棒が腕になります。
コントロールポイント獲得マークの描画②
先ほどの図に、頭部、手の部分に●、さらに棒線を足して腕の肉付けをすることで、バランスを取りました。
コントロールポイント獲得マークの描画③
各所で白く空いていた隙間部分を埋めていきます。途中で色を変えているのは、上下左右で位置がずれていないか確認するためです。胴回りの太さや頭との比率など、全体的にバランスを調整していきます。
コントロールポイント獲得マークの描画④
こんな感じで、まずまず理想の形になりました。あとはこのスライドをPDFとして保管したものをPhotoshopで開き、切り抜き加工をすればオブジェクトになります。
こんな感じでやってみて、まぁいけそうかなということで他のオブジェクトについても同様に進めていきました。
そして問題が発生しました。虫の写真に戻って作業をしていた時のことです。
カの写真は該当部分をうまく切り取れたものの、なんとそれができないものが出てきたのです。
問題となったのは「ツツガムシ」というダニの一種。元は顕微鏡で撮影した画像でしたが、背景と昆虫の体をはっきりと識別することができなかったのです。
昆虫の体は、拡大するとたくさんの細かい毛や、トゲが生えていたりします。これらを端折りすぎた絵は、著しくリアリティがなくなります(私の好みではなくなります)。
手を抜き楽して効率をあげることと、妥協せずに頑張って得られるリアリティを天秤にかけた結果、後者に至りました。……果たして大丈夫でしょうか?
そういうわけで、こちらが妥協しなかった結果となります。全てパワーポイントで使える図形で描いています。右にある「選択」欄に示された図形の数が見えますでしょうか。少なくとも300以上となっております。
試しにすべての図形を選択して、図形の総数を確認してみましょう。
えぇ…
はい。ひとまず右の選択欄で確認できる数字で一番大きなものは「574」ですね。
当時は、製作のための時間が十分に取れていない中で、突然の出張で宿泊した大阪のホテルにて、深夜にマウスをカチカチさせて描いていました。400%拡大にしてひたすら図形を貼っていくのですが、これがまぁ眠たい。
ちなみにこれを描くだけで累計8時間ほどかかりました。割と本気で気が狂いそうになる作業だったので、他の人におすすめすることができないのは言うまでもありません。
こういった状況はツツガムシの他、「ノミ」でも起こりました。こちらも細かいトゲが体中に生えているため再び気が重くなりましたが、覚悟してやってみたら結果としては6時間で済んだため、軽傷で済みました。←
その他で大変だったのは、建物関係です。
ビルの描画
こちらはプレイシートに描かれているビルの一棟です。
これまでの流れを見てきた皆さんならなんとなくお分かりかと思いますが、こちらのビルもアンテナから各階層の床、壁、窓に至るまで全て、四角形を組み合わせて描いています。
ちなみにですが左の「71」スライドで基準線が見える通り、各階の高さがビルによってばらばらにならないよう、調整しながら描いています。
プレイシートに描かれているビルはこんな感じで一棟ずつ、ちまちまと建設しました。その数全部で17棟。夏休み中に実家に帰省した際、朝から晩までみっちりの3日間で描き終えました。
建設中は某ブロックをやっている気分でした。でもこれは、子供に受けないと思います。
樹木の描画①
最後に樹木の描画です。建物よりも地味ですが、こちらもプレイシートに描かれています。
まずは対象とした樹木についている太めの枝を、四角形を組み合わせて描いていきます。
樹木の描画②
写真を取り払った状態です。幹と、主要な枝だけになりました。
樹木の描画③
その後葉っぱを1枚1枚描画し、さらに細かい枝につけたものを作り、枝にくっつけていきます。
ツツガムシの作業の後だからか、非常にやさしく感じました。
多分感覚がずれてきていたんだと思います。あれはあまりにもマゾ過ぎました。
ここまでの作業を繰り返して、1本の樹木ができあがります。たしか3種類くらいの樹木を、高さを変えて合計9パターンほど描いていたと思います。全部合わせて、かかったのは1週間くらいでした。
ざっとこんな感じで、ゲームに登場する諸々のオブジェクトをすべて描画しました。
その中でも、特に気が狂いそうな作業になったものを今回ご紹介いたしました(なんとなく予想がつくとは思いますが、その他のオブジェクトについても決して楽だったわけではなく、その多くが手間のかかるものでした。上記で紹介したものが特に大変だったというだけです)。
…たぶん、もっと楽で、いいやり方はあったと思うんですけどね!
当時の私ができる限界でした。救いとしては、苦労はしたものの本人が納得いく内容になったということにつきます。もしどこかで本ゲームを見かけることがあった際は、プレイシートに描かれている背景たちのことも、ちらっと見てもらえたら嬉しいです。
一応こんな感じで、地道な努力の集合体となっていますので…。
おおよそのオブジェクトが完成したところで、付属冊子(ルールブック、クイズ(問題編、解答編))の作成に入っていきます。
次回に続く。
最初から閲覧されたい方はこちらから。このブログの趣旨についても書いています。
★『オリジナル缶バッジキーホルダー』プレゼントキャンペーンを実施します!