符亀

ゲームマーケット2017秋より参加させていただいております、符亀と申します。
拙作「マジカルカナグル」「愛羅武粋逸」「ロングロングマホウ」「超超長城」「ツミカブリ」「リーサルチェックメイト」「インヴァージョン」「アマロン」「バックハンダー」「皇継の書状」「サイクリアン」「シリアリアン」については、ゲーム一覧ページをご覧ください。

「バックハンダー」イラストメイキング1 ルーレット
2021/10/28 23:03
ブログ

皆様こんにちは、符亀です。

ゲムマ秋で頒布予定の新作トリテ「バックハンダー」について、数回にわたりそのカードのメイキングを投稿していきたいと思います。

 

本作は裏カジノをテーマにしており、カードのスート(トランプのスペードのようなマーク)は、カジノゲームをモチーフにしています

全部で5つのスートを、各回1スートずつ紹介していきたいと思っております。と言いつつ半分ぐらいで止めるかもしれませんが。残りは実物見てのお楽しみってことにすれば飽きて止めても許されるやろ。

 

第1回の今回は、「ルーレット」について書かせていただきます。

まずカード全体の構成を考えるために使ったのがこのスートであり、シルエットも独特で、しかも他のスートのレイアウトや色がこれ基準で決められている、と最初に紹介するのに最適だったためです。なお完成したのは3番目の模様。

 

 

1、アイコンラフ

まず、ボールペンで適当な裏紙にラフを描きました。

普段はいきなりPCでラフを描くのですが、今回は諸々の事情で一度紙に描いています。

なかなか良いアイデアが出なかったスートはラフの数が増えるので、何で苦しんだのかわかりやすいですね。その苦しみについてはそいつらの回にて。

一方ルーレットは、ボールペン製のラフはこの1つだけでした。真ん中に十字があるデザインは、この頃から変わっていませんね。

 

この頃は、トランプっぽく四隅(左上と右下だけだと左利きの人が見にくいため)の数字の下に、スートアイコンを載せるつもりでした。数字の下に小さいアイコン、中央に大きなイラストという、2種類を準備するつもりだったのです。

なのでその小さなアイコンでも区別しやすいよう、どうすれば情報量を減らしつつ区別しやすくできるかを考えていました。

完成品に比べ、全体的に小さくまとまっている&シンプルなのは、こうした理由によるものです。

 

2、構図ラフ

次に、CLIP PAINT STUDIO (以降クリスタ)でカード全体の構図を決めるためのラフを作りました。

この頃考えていた構図の初期案は、おおまかには先述の「四隅に数字とアイコン、中央にイラスト」で、イラストをスート名で2分割する予定でした。

 

ラフは切りませんでしたが、中央のイラストとして「そのゲームをプレイしているキャラ」を描く案もありました。

ですが描くのがめんどくさく、視認性が悪くなる(シルエットが複雑で似たり寄ったりになる)ので、ラフの前にボツになりました。

 

その後他のスートの構図を考えるにあたり、数字の下に直接スート名を文字で書けば、アイコンが要らなくなると気づきました。

おかげで隅を見ればアイコンを覚えていなくてもどのスートのカードかわかるようになり、中央に文字を配置する必要がなくなるので、構図の自由度が増しました。

おかげでアイコンの配置の仕方から異なる構図に描き分けられるようになり、シルエットにバリエーションが生まれて、一目で識別しやすくなりました

 

「ルーレット」的には、文字が消えたおかげで、中央にドンとイラストを載せられるようになりました。

ルーレットのような円形アイコンはこういう構図(「日の丸構図」)ですと対称性が映えるので、これを採用しました。

シルエットの差を大きくして視認性を高めるために、これ以外のスートは上下に分けた2つのイラストから成る構図を基本とし、日の丸構図はルーレットのみでの採用としました。

 

3、アイコンラフ(PC)

構図の変更により描くべきアイコンの大きさも変わったので、それに合わせて情報量を増やしてラフを描き直しました。

このアイコンはキレイな点対称に描きたかったのですが、クリスタはそのための幾何的な描画が苦手なソフトです。そこで、まずmac用のスライド作成ソフトであるkeynoteでラフを描き、それを基にクリスタで仕上げていく方針をとりました。

上の図は、keynoteの図形ツールだけで描いたラフのスクリーンショットです。

 

最初はこのラフを下書きに1から描き直すつもりだったのですが、結局そのスクリーンショットの線をキレイにしてそのまま使う方針になりました。左が、白背景部分を透過して調整したものです。

おかげでスクショのjpgノイズを1ドット単位で修正したり、作業に邪魔な線部分を反転や回転を駆使して消したり(その結果が右です)と、地味にしんどい作業を強いられました。最初から複数バージョン用意して書き出せばよかったのでは?

 

4、カラーラフ

次にアクセントカラーとベースカラーをどう塗り分けるかを考えましたが、そもそも本作全体の色づかいについて全く書いていなかったので、そこから書かせていただきます。

 

まずアクセントカラーをどの色にするかについては、東京大学の伊藤研究室が提唱している、色覚多様性に配慮したカラーセットを用いました。

5スート分の色(1つを黒にするとしても4色)を色覚多様性に配慮しながら決めるのは難しく、故に前作「インヴァージョン」では黒1色としたのですが、隅にスートの情報がないこともあり不評でした。(私も今はダメだろこれと思います。)

今回カラーセットをお借りしてこの問題を解決できたのは、非常に助かりました。

 

このカラーセットとの相性や、オシャレで大人っぽいイメージを作るため、ベースカラーは黒としました。

そもそも裏カジノってのがぶっちぎりでクロですからね。我々符亀は、犯罪の無い社会を目指す正義のサークルですので。

 

「ルーレット」のアクセントカラーは、赤としました。

これは他のスートとの兼ね合いになってくるのですが、「一番赤を使わないと何のマークかわからなくなりそう」なスートがルーレットだったのが大きいですね。

なお赤とは言いましたが、緑と見分けやすいようオレンジ寄りの橙色っぽい感じになっています。

 

そんなわけで、塗り分けのラフがこれらです。

これ単体ですと、右が一番よさそうに見えますね。

しかしこのあと線のエフェクトで情報量が増えること、内側の部分は本来玉が落ちる穴なので色はつかないこと、ずっと遊んでいると右は鮮やかすぎてチカチカしてくることから、中央ベースで行くことにしました。

 

5、仕上げ

ここまで来たら、あとは仕上げるだけです。

まずエフェクトの線を入れ、回転を表しつつ情報量を上げて、リッチな印象にしました。

この線についても苦労話はあるのですが、単に技術的な未熟さからくる愚痴なのでカットします。

 

そして最後に、テクスチャを乗っけて質感を出しました。

イラストの黒部分と赤部分、そして文字部分とで印象が同じになるよう(同じ紙に印刷したっぽくなるよう)に、テクスチャの載せ方は各部分で変えています

またテクスチャ以外は完全に点対称になるように、位置などをピクセル単位で修正していますでも印刷ズレで調整崩れるねんな。

 

 

こうして、1スート目「ルーレット」が完成しました。

次回は、トランプ系ゲームのスート2つから、どちらかを紹介させていただく予定です。

今後は、3日ごとぐらいでこのメイキングを投稿していき、真ん中ぐらいに説明書の公開を挟みたいなと思っています。なお説明書の執筆は未着手です。

 

ご興味を持っていただけましたら、ゲームページにルールの概要が載っておりますので、そちらもご覧ください。

予約もやっておりますので、そちらもお願いいたします。土曜日のみウ07、2000円で頒布予定です。過去作については、ゲーム一覧をどうぞ。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。