暫定機関

同人TRPG制作サークル「暫定機関」です。 オリジナルシステム『蒸気銃劇RPG スチームスリンガー』『デモニックアクションRPG デモンズ23』『異能×スポーツTRPG Spiral Spinner's』物理書籍版の頒布を予定しています。

暫定機関職員の手記 その1【スチームスリンガー作製経緯】
2020/2/20 23:21
ブログ

〇スチームスリンガー制作の経緯

「『プリンセス・プリンシパル』*やれるTRPG欲しいんだよな」

*2017年に放送されたスチームパンク×スパイアクションTVアニメ。今年4月に劇場版公開が予定されている。スチスリが好きな方はぜひ観てほしい。

すべては深夜のこの一言から始まった。
TRPGを遊び始めてはや4年の私こと「ram」は、その言葉を吐いた「猫渦篇」の顔を見つめつつ、なんか「オリジナルTRPG」を作ってみる気になっていた。

翌日。暇だった私は、ノートパソコンを立ち上げメモ帳にルールや世界観を作り上げていく。当時のメモ、その一番始めには以下の内容が記されていた。

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○テーマ
ガンアクション×スチームパンク×スパイ。
システム:簡略化&抽象化。諜報にも重きを。戦闘は三国無双。
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(戦闘は三国無双ってなんだよ)
ともかく、スチームスリンガーの原型こそこのメモであり、その根幹は今も変わらない。「ガンアクションでスチームパンクでスパイアクション」、それがスチームスリンガーである。

この作品の世界観については猫渦篇と相談しつつ練り上げたが、システム面はほぼ私個人で作った。そこで、システム面の意図やら狙ったことを当時を振り返りつつまとめておく。ゲーム自体の説明は別ページにあるので、先にそちらに目を通しておくと読みやすいと思われる。

1.簡略化&抽象化
TRPGの計算が面倒くさかった。HPやMPの足し算引き算が面倒くさかった。そこで「もうHPは3点でいいんじゃない?」と思い、この作品には「心臓、心魂機関、装甲」の3点しかHPがない。結果、計算はなくなったが、良くも悪くもPCが死にやすいバランスとなった。
2.諜報にも重きを
冒険企画局から発売中の『シノビガミ』というTRPGが私は好きだ。シノビたちが情報戦を繰り広げるあの感じを、スパイに落とし込めないかと模索し、スチームスリンガーの調査フェイズは生まれた。スチームスリンガーの情報収集はシノビガミをベースにしつつも、「マップ」を利用し、その場所でしか調査できないことや、その場所でしかPCたちは情報交換できない、などの制限をつけた。「通信技術がない」という世界観の設定ともかみ合っていたし、スパイ(PC)たちがロンドンを駆けまわり情報戦をする、というのをうまく再現できたと思っている。
3.戦闘は三國無双
スパイアクション映画は「最後に敵がいっぱい出てきて銃撃戦になる」というイメージが私にはあった。40、50人ぐらいを次々撃ち殺していくイメージだ。(今思えばスパイ映画じゃなくてリベリオンだったかもしれない)。TRPGの戦闘において、敵の数は一般的には10体もいないことが多い。そこで「50体ぐらい並べたら面白いんじゃない?」と思い、スチームスリンガーは実際に敵が40体ぐらい出現し、すべて撃ち殺していくことになる。この「大勢の敵」を再現するために、戦闘システムはタワーディフェンスに近しい形になっている。要は多くの敵が波のように押し寄せてくるイメージだ。結果、大勢VS小数という形はシステムに再現できたが、「敵を数体殺し損ねるとプレイヤーが負ける」といった感じになってしまった。タワーディフェンスを真似たのでそうなるのはそうだが、難易度が高すぎたかもしれないとは思っている。死ぬときは死んでしまう。そこで、今回ゲームマーケットに出す際には戦闘難易度を下げるルールを追加する予定だ。もう倒れてしまったスパイの方々には申し訳ないが、今後はそのような事態は減るだろう(たぶん)。

といった感じのシステムなのがスチームスリンガーである。システム面はこのように色々と考えて作ったが、世界観もぜひぜひ見て欲しいと思っている。「蒸気機関」「階層都市」。そんなワードに惹かれる方々は手に取ってみて欲しい。