デバッグモンキーズ

2018年から福岡と東京と静岡で活動しているボードゲーム制作サークルです。「ELÄÄ ROTU」「Qubism」「ゾンビパニックとライフルおじさん」「鍋代官」など9作品を制作しています。

【初めてのボードゲームづくりレポ】ぼくのBana-naのつくりかた
2019/11/19 7:00
ブログ



haori(@haori457)です(写真は実家のねこなので見てください)。

今回からデバッグモンキーズに参加し、参加して1カ月で「Bana-na」を作りました。



一度客としてゲームマーケットに参加したことはあるんですが、

即売会に売り手で参加するのははじめてなので不安感がめちゃくちゃ強いです。

 

さて、今回は僕が「Bana-na」を作るにあたって考えてたことについて書きます。

 

目次

1.ゲームを作ることになるまで

2.面白いゲームとは?ということを考える

3.猿のようにテストプレイ

4.コンポーネントの具体化と洗練

5.控えめに言ってデザイナーが神

6.丁合

7.CM

8.最後に

 

1.ゲームを作ることになるまで

僕は今年から社会人だったんですが、デバモンのEAD(@tkhsshg)がたまたま同期でした。

彼がゲームを作ってるってことを聞いててちょいちょい誘ってくれって話をしてたんですが、晴れてEADが僕をデバモンに誘ってくれて、ボードゲーム作るサークルの雰囲気に触れることになりました。

もうその時点で秋ゲムマに出すゲームの構想を練る話だったんですが、僕は、

「まあ初めてで右も左もわかんないし、今回は見送りでいっかな~~~~春に作ろ」

みたいなことを思ってたんですが、EADが定例会で突然、

「先輩が言ってたけど、社会人1年目でできない趣味は2年目以降もできないよ。だからゲーム作ろう

ということを言い出したので、アッまあじゃあこの流れ作らないって言えないなと思って作ることにしました。

実際作ることにしてよかったです。

 

2.面白いゲームとは?ということを考える

定例会では「ゲームの案を考えてテストプレイしてみましょう」という感じだったので、まずゲームを提案してみることにしました。

ソシャゲっぽいゲームを作ろうとか、忍者になって追いかけあうゲームとか、音楽に関係したゲームを作りたいとかそういうことを考えていました。そのうち出すかもしれません。

しばらく忍者のゲームが気に入って少しテストプレイをしていたのですが、やりたいことをやろうとするとどんどんゲームが複雑化するし、(そのうち作るつもりなので細かいことは書きませんが)細かいキャラ付けなどをしていると、次第にトレーディングカードゲームっぽく複雑で理解しづらい効果が増えてきて、ゲームとしての魅力が薄まるし、何より効果のパターンを考えるのが負担でした。

まあゲームを作る以上売りたいし、シンプルに魅力が伝わるのが一番いいので、売れてるゲームのどこが面白いのか?ということを考えてみました。

僕は「シヴィライゼーションボードゲーム」が好きですし、「アグリコラ」、「ワイナリーの四季」のようなワーカプレースメントや拡大再生産、簡単に言えば「重いゲーム」が好きです。何ならトレーディングカードゲームも好きでマジックをやっています。次何をするか?どうすれば利益がより拡大するか?ということを考えたり考えなかったりしながら、それぞれの戦略が交差するのが好きです。

だからまあ複雑なゲームを作りたいし作ったってかまわないんですが、それと同じように「ドミニオン」、「カタン」、「アズール」、「モダンアート」、「世界の七不思議」、もっと言えば「ごきぶりポーカー」、「ナンジャモンジャ」のような軽量~中量級ゲームも好きです。重いゲームを作ろうとするとお金もかかるのでこういうゲームがどういうものか考えることにしました。

ドミニオン」ってどういうゲームだろうか?

 1.カードを買う

 2.カードを使う

 3.勝利点を貯める

かなりシンプルですね。「カタン」は?

 1.資材をもらう

 2.建物を建てる

 3.発展カードを使う

だいたいメインでやりたいことはこんなもんで、あとはゲームを面白くするための枝葉がついているんじゃないかと思います。

そのようにして、(もう誰かが発見しているかもしれませんが)名作と呼ばれるようなゲームって3行でだいたいやってること説明できるんじゃない?ということを考えました。

(これはこの記事を書きながら思いついたことですが、さらに言えば、名作ゲームというのはその3行の要素が関連しているんじゃないか?というのもあるかもしれません。「ドミニオン」なら、カードを買わなければカードを使うことも勝利点を貯めることもできませんが、カードを使うことでより多く、高いカードを買うことができます。一方で、勝利点を貯めたくても、貯めすぎればカードを買ったり使ったりすることに不自由が出てきます)

こういう話が僕は結構好きです。上の理屈にもかなり粗があって、例えば当時僕が取ってたメモを思い返しても、3つの説明文の内容やゲームごとの説明文のレベル感が違っていたり、「カードを使うというようなプレイヤーの操作」と「街を発展させるというようなプレイヤーの体験」を一緒に考えてはいけないんじゃないか?とか、カタンの「建物を建てる」には道路・開拓地・都市の3つが含まれているように、説明の粒度をどうするべきか?とか。

まあしかし、とにかくそのように考えたので、3行で説明できそうなゲームを作ることにしました。必要なのはゲームのモチーフです。

いろいろモチーフを探しているときに、バナナが目に留まりました(最初の健康診断で悪玉コレステロールの値がヤバかったので毎朝バナナを食べることにしていました)。

 1.バナナを集める

 2.バナナを食べる

 3.バナナの皮を投げる

これならシンプルなゲームができそうに見える。まあタイトルは仮に「バナーナ」にしとくか。ということで定例会に投げたら、タイトルがわりとウケたので、じゃあこれを作ってみるか、ということにしました。

 

3.サルのようにテストプレイ

とりあえずEADとどういう感じのシステムのゲームにするか決めようと思って、(この時点では忍者のゲームを作る気もあったので)「バナーナ」のシステム2案くらいと忍者のゲームを持ってテストプレイしました。

「バナーナ」の1案には、「円環状につながった小島の輪が同心円で3つ並んでて、そこに生えているバナナの木からバナナを持ち帰る」というのがあったんですが、「持ち帰る」というのがネックで、その間あまり面白いことが起こらなかったのであんまり面白くならないねということになりました。

もうひとつが今の「バナナの木の前にサルが並んでバナナを受け取っていく」というもので、これはサルの並べ方に戦略性が出てくるし、バナナの育ち方も気まぐれで、運ゲーと戦略のバランスも取れそうだな、ということでこの案で作ることにしました。

デバッグモンキーズのサ訓(サークル訓)は「猿のようにデバッグする」なので、もうとにかく相手見つけてガンガンテストプレイしろよ、という感じでした。陰キャなので友達は少ないですが、何とか同期を頼ってルールを詰めたりバナナの量比を調整したりということをずっと繰り返しました。



こんな感じでエクセルでモックを作ってました。

初期案だとワーカプレースメントっぽくサルを雇えたり、サルの数や木をゆらすルールなどに違いがあったりしました。あとバナナの皮使うルールとか割り込みのルールも結構現在までに調整されています。

バナナをランダムで配置する以上、偏りが露骨に出ると勝ち筋がわかりやすくなりすぎてつまらないので、エクセルを使って確率計算をガンガン回してゲームとして面白くなるバナナ比を追究したりしていました。

 

4.コンポーネントの具体化と洗練

結構ひとりで広報とかデザインまで含めて全部できるみたいなのに憧れてて、なるべく宣伝用の動画作ったりグラフィックデザインしたりも自分でやりたいなと思っていました。

僕は昔少しだけ絵を描いていたので、まあとりあえずバナナでも描いてみようかなと思ったらバナナの曲線をまともに描けるようになるまでに1時間かかりました。

幸いにして同期にデザイナーがいて、彼の手腕が最近示されてきていたのでその彼に頼むことにしました。



こんな感じでイメージしてます、みたいなのをざっくり絵に描いて説明したりしてました。当時はまだカードゲーム+トークンで普通の箱に入れる予定だったので、パッケ絵を作ってもらおうとしていました。

ところで聡明なみなさんはご存じだと思いますが、このイメージ図に書いてあるように、バナナは木に生りませんし、生るときは緑色でしかも逆さですし、何ならサルは基本的にバナナを食べません。この話は追々記事に書けたら書きたいと思っています。

 

ところでご存じですか?ボードゲームを作るのってお金かかるんですよ。

しかも注文するアイテムの種類数や個数で金額が変わるんです。

「バナーナ」の初期案は全部カードでやろうみたいなことを考えていたうえ、コストを考えていなかったので、カード100枚前後にサル用のトークン数個みたいな今思うと完全にお前はアホか?ってくらいコストがかさむ見積になることがわかりました。

萬印堂を利用するつもりだったので(大変お世話になりました)、何とか小ロットセットに収まるようにしようとか考えてたんですが、やりたいこと的にどうしても小ロットセットだと収まらなくて、パーツ注文にしようかなあとか考えていました。

 

そのころにデザイナーにどういうゲームか知りたいと言われたので、テストプレイに呼んで触ってもらうことにしました。

実際にプレイしながら、基本的にカードをめくったり並べたりしてゲームが進む、サルのトークンを並べるつもりだが、ミープルにするかチップにするか迷ってるんだよね、みたいな話をして、デザイナーに、

「全部チップでよくない?」

という意見をもらいました。そのとき、僕が大学のころにボードゲームを一緒に遊んでくださった先輩の言葉を思い出しました。

「カードゲームじゃなくて、コンポーネントが少し凝ったゲームが欲しいんだよね」

僕「たしかに~~」

次からのテストプレイは、全部コンポーネントがチップの想定になりました。

 

その後、EADにも相談して、かの有名な「オストル」のようにチップ全部円柱のケースに詰めるのもいいよね、みたいな話をしたりしていました。チップだけならカードみたいに致命的に曲がることは少ないので、巾着袋とか。

僕は「ディクシット」を思い出しました。「ディクシット」では、箱自体がポイントトラックになっていて、得点を取るたび、かわいらしいトラックをウサギが走り回ります。加えて、「ハコオンナ」では、箱の中に「GAME OVER」のイラストが描かれているのを思い出しました。

「箱が箱でしかないまま、ゲームにとって無駄な存在になってしまうのはなるべく避けたいなあ」

チップを使ってランダム性を扱う以上、チップを無作為に拾える袋の必要性を感じていました。まあ箱でもできなくはないんですが、「シヴィライゼーション」で小屋チップを拾うとき、全部裏返しにして混ぜて目を背けながら拾うのはまあまあ面倒くさいです。どうせなら外装も巾着袋にして、チップを入れて混ぜてランダムに取り出せるようにすることにしました。

こうして「バナーナ」の基本的なコンポーネント思想が確立されました。

 

5.控えめに言ってデザイナーが神

コンポーネントの仕様が固まったのでいよいよ本格的にデザインしてもらうことにしました。



これを



こうじゃ

えっそんなんなる……?みたいな……



これを



こう

マジ……?マジか……

めっちゃすげえな……デザイナー……

 

巾着袋はトートバッグ工房さんで印刷したものを注文することにしました。

コストの関係で安めに済ませたいんですけど、サイズが大きいのでちっちゃくロゴだけだと味気ない、なるべく熱転写か安いシルク印刷を使いたいんだけど、シルク印刷だと単色じゃないとちょっとコスト厳しいかなー。

みたいな話をデザイナーにしてたんですけど



えっ……マジ……?

単色でデザイン仕上げてくれんの……?

しかもめっちゃかっこいいし……

すごすぎないか……?デザイナー……

 

6.丁合

今やってます。

追々僕がやってる丁合のやり方を記事にできたらいいなと思っています。

 

7.CM

最初は畏れ多くも自分で全部やりたいとか抜かしていましたが、本職デザイナーがすごすぎるということを学んだので、見識がある人にやっていただくことにしました。

デバモンメンバーのGUAM(@GUaMU7)とサニィ(@sunny_boardgm)がそれぞれ動画と音楽に強かったので、ルール説明というよりは雰囲気動画にしたいなと思っています、という話といくつかの類例CMを提示してしばらく待って出てきたものがこちらになります。

https://www.youtube.com/watch?v=UoXPChybRbw

やっぱプロってすげえな……ってなりました。

 

8.最後に

背中を押される形で始めたゲーム作りですが、やってみるとなんというか「総合格闘技」って感じで勉強になりました。

「作って売る」っていうとかなり簡単そうに聴こえますが、売るどころか作るだけでこれだけのボリュームと必要なスキルがあるわけで、これを普通にやってる人がビッグサイト埋めるくらいいらっしゃると思うと戦々恐々とします。

初めてのボードゲーム製作+販売ですが、ぜひお声がけいただけると、さらにBana-naを買っていただけると、もっと言うとデバモンのゲーム全部1個ずつ買っていただけると幸いです。

また、今後も作って売っていきたいなと思うので、今後ともよろしくお願いします。

予約もやってますのでよろしくお願いします。

 

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ブース番号【V09-10】

2019年11月23日(土) 1日目

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予約数に限りがございますので、お早めに!

予約された方は当日15時までに、デバッグモンキーズのブースまでお越しください!



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