RAMBLE ODD POTATO

子供心を忘れない大人たちへ

どこか不思議な世界を描く盤上遊戯を作るために集まった人たち



最新作は不思議なストリートアーティストの世界「BRICOLAGE HEADS」を発売予定。
プレイ人数:2人 プレイ時間:60分~ 推奨年齢:12歳以上

「蝉の声」の背景ストーリー紹介
2016/11/24 23:13
ブログ

今回は「蝉の声」の背景ストーリーをご紹介します。



といっても、全文はかなり長編です。



ですので、ここでは



「赤色の蝉がどうしてこのような姿になったのか」



が記述されている部分のみを抜粋して載せます。



※長寿で物知りのオオトカゲが、赤蝉のひいばあちゃんとの出会いを語っているたシーンです。



 

〜赤蝉の秘密〜



オオトカゲは話し始めた。



 

お前さんのひいばあさんと出会ったのは約20年前や。当時はひいばあさんもそこらにおるアブラゼミやミンミンゼミと変わらず茶色い蝉やった。まあお前さんも体の色は茶色やがの。そんでまあ、今のお前さんと一緒でひいばあさんもあのパン屋の隣のサクラの木に住んどった。俺は三日に一回あのパン屋にパンをもらいに行っとって、そん時にひいばあさんとよく話をした。俺は町や森のことを話して、ひいばあさんはパンのことを話した。



 

ある日、俺がパン屋に行くと珍しく店内にひいばあさんがいた。俺はなんでも食うが、蝉はパンは食わん。だからなんでやろうと思っとったら、ひいばあさんがおもむろにチョココルネに抱きついた。近づいてどうかしたのかと尋ねるとひいばんさんがこう言った。



 

「生まれてからずっとこのパンをあそこの窓越しから見ていたの。かわいいなあ、と思って。なんだか幸せな気持ちになるの。」



 

それならばと、俺は店の人間にチョココルネをゆずってもらってサクラの木にひっかけてやった。ひいばあさんはそれはそれは喜んで、毎日そのチョココルネの上で寝とった。店の人間も人情味の厚い人でなあ。数日経って腐りそうになると、新しいのと交換してくれた。それから数日後、ひいばあさんとおしゃべりしていると、俺にこんなことを言ってきた。



 

「来世はチョココルネに生まれ変わりたい。」



 

俺は最初冗談かと思って聞いとったが何やら本気らしい。俺はこの世界で長いこと生きしとる。やし、いろんな話を知っとる。だからひいばあさんに教えてやったんや。



 

「記憶の輪廻ってもんがこの世にはある。自分の記憶が息子や娘の頭ん中にも入っとるって話や。それは思い出されることはないかもしれん。でも、その記憶の影響は確実にある。だから今あんたが持っとるその強い想いも子供には受け継がれる。そうやって溜まっていった心の中の想いがある一定量を超えると、それは身体に現れてくる。チョココルネそのものになるのは叶わんが、もしかしたらそのような形にはなれるかもしれん。・・・まあ、あくまでも可能性の話やけどな。」



 

慰めのつもりやった。蝉の寿命がそんなに長くないことも知っとったし、計算すればひいばあさんももう少しの命やった。かといってデマカセでもない。俺がこんなに大きくなれたのも、大きさに憧れたからやと思っとる。なにより、ひいばあさんにはその話が刺さったようやった。その日から、ずっと祈っとった。あんたみたいに可愛くなりたいって、チョココルネに祈っとった。



 

まあ当然、蝉である以上蝉の務めは果たさんないかん。やし、ひいばあさんは卵を産んでは祈って、卵を産んでは祈ってと繰り返しとった。



 

ひいばあさんがもうそろそろ逝くって時に俺んとこに来た。生まれてくる子供を見といて欲しいと。卵を産む時にたくさんの想いも一緒に込めたから、もしかしたら娘がチョココルネになっとるかもしれんと。まあ、長年生きとるといろんな動物や虫の死を看取ってきた。絶望で死ぬのが一番むごい。やから、俺は優しく頷いて了承した。



 

そしたらや。俺もびっくりや。お前さんのばあさん、つまりひいばあさんの娘が6年後に生まれてきたら、体がちょっとチョココルネみたいになっとった。自分ではなーんも気づいとらん。普通に生まれて、普通に蝉として生きて、普通にチョココルネを好きになっとった。ほんで死ぬ前にまたひいばあさんと同じことを俺に言ってきた。その時、俺は教えてやった。お前の母ちゃんも同じこと言っとったぞって。



 

次に生まれてきたお前さんの母ちゃんはもうほぼおまえさんと一緒や。赤いちょぼちょぼとその赤い羽はなかったかな。さては、お前の母ちゃんはチョココルネだけじゃなくて、別のパンにも惹かれたんじゃないか?



 

まあ、そういう親の想いが詰まった体や。胸張って生きられい!



 

赤蝉は自然と笑みがこぼれていた。



 

大きく何度も頷いて、オオトカゲに抱きついた。



 

トンビは泣いていた。



 

「お、そういえば!」



 

オオトカゲは言った。



 

「この辺には、お前さんのように先祖の想いで見た目が変わった蝉があと三匹おるぞ。神社の緑蝉、森に住む青蝉、あと黄金の邸宅におる黄蝉や。そいつらはお前さんよりよっぽど蝉離れしとるぞ。」



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とまあ、「蝉の声」にはこのような背景ストーリーがあります。



アートワーク担当の蛙(かわず)が絵を描く時に、考えていた内容を文章化してまとめたものです。



結果的に膨大な量の文字数となってしまいましたが、せっかくなので全文はヤマズゲームスのサイトに順次UPしていきます。



よかったら見てください。



もしかしたら当日ブースで、何かしらの形でお渡しできるよう用意しておくかもしれません。



「蝉の声」のゲーム詳細はこちら