PLUTO GAMES

韓国のボードゲームデザイナーが設立したボードゲームスタジオです。 テーマを深く研究し、独創的なシステムのボードゲームを創作します。

『プレジデント・メーカー』デザイナーズノート ① 開発の契機
2026/5/2 18:07
ブログ

はじめに

『プレジデント・メーカー』は、韓国の大統領選挙の候補者となり、当選を目指して競い合うゲームです。

私が作るゲームがたいていそうであるように、このゲームもまた、ジャンルをひと言で定義するのは少し難しいところがあります。

一応、エリアマジョリティとバッグビルディングをベースにした「パーティー系選挙シミュレーション」と呼ぶことにしましょう。

タイトル通り政治をテーマにしたゲームであり、実際の地域名や「進歩」「保守」といった政治用語も登場しますが、決して堅苦しい雰囲気のゲームではありません。

むしろ、その逆と言えます。 (最終的な開票段階では、並のパーティーゲームよりも「わちゃわちゃ」と盛り上がることもしばしばです。)

今回の連載を通じて、なぜこのような物々しい(?)テーマのゲームを作ることになったのか、その過程でどのような悩みがあったのか、気軽に綴ってみようと思います。

選挙という方程式

韓国では5年に一度、大統領を選ぶ選挙が行われます。

仕組みはシンプルです。 

各候補者が全国で獲得した票を合算し、最も多く得票した者が当選します。

したがって、たとえ政治的に不利な地域であっても、そこでの選挙活動が全く無意味なわけではありません。 

どこで、どのようにしてでも、「一票でも多く」積み上げることが、勝敗を左右するからです。

 

不思議なことに、韓国の政治家たちは選挙シーズンになると、申し合わせたかのように伝統市場を訪れ、決まって「おでん」や「トッポギ」を買って食べたりします。

おそらく、庶民的なイメージを演出するためでしょう。

ある日、テレビでそんな光景を眺めていたとき、ふとこんな疑問が浮かびました。

 

「市場でおでんを食べることで、『実際に』何票増えるのだろうか?」

 

単におでんを一度食べたからといって、票が増えたと断定することはできないでしょう。 

しかし、少しでも自分を知ってもらわなければならない政治家にとって、それが「何もしないこと」よりはマシであることは間違いありません。

そこから、「おでんを食べる」ことと「何もしない」ことの間に確実に存在する、ある微妙な差を抽出して、ゲーム的な要素に置き換えたいと考えました。

それは、目の前の行動一つひとつが即座に票に直結しなくても、有権者の前に繰り返し自分を露出することで、「誰かが自分に投票してくれる可能性」を少しずつ広げていくことだと定義できそうでした。

選挙の作動原理を数学的に解剖してみれば、結局は「支持率」と「投票率」というふたつの変数が織りなす、一種の方程式だと言えます。

たとえば、

 

自分の支持率が高い地域の投票率が高ければ、自分が多くの票を得る可能性も高くなります。 

同じ理屈で、相手の支持率が高い地域は、投票率が低いほど自分に有利になります。

 

ここがまさに出発点だと感じました。 

そして、この部分をゲーム化することは、そう難しいことではありませんでした。

 

'袋の中に各候補者の「支持率」に相応した数のトークンを入れ、

そこから「投票率」の分だけトークンを引く'

これなら、それらしい選挙ゲームが作れるのではないかと考えたのです。

このメカニクスを核に据え、選挙にまつわるさまざまな要素を肉付けしていこう。 

そんな思いでゲームデザインに着手しました。

 

選挙ボードゲーム『プレジデント・メーカー』は、こうして始まったのです。

 

次回へ続く

 

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