あんみつスタジオ

虹の出るところからこんにちは。アナログゲーム制作チーム『あんみつスタジオ』です。 2024年6月に発足。少し不思議なゲームシステムと優しいアートワークをコンセプトに、軽~中量級のゲームを制作していく予定です。 ぜひ甘いものと一緒にお楽しみください。

『化け猫ハイスクール』Short Story ~ある民俗学者の手記~
2024/11/12 23:05
ブログ

 

~9月12日~

 

この地域に化け猫の伝承があることは知っていた。

今日は現地調査のために訪れたのだ。

 

不慣れな土地ということもあり、山中で道に迷った。

そして辿り着いた先で、私はとんでもないものを見てしまった。

 

そこでは、人に化けた猫たちが……。

 

 

学園生活を謳歌していたのだ………。

 

かくして山中で発見した化け猫たちの学園。

その詳細を知るべく、私は密かに調査研究を始めた。

私的興味に基づく調査であり、公にする意志は無いことを留意されたし。

 

以下にその調査結果を記す。

 

 

~9月13日~

窓から授業の様子を覗き見ることに成功した。

人間の学校と同レベルの高等教育が行われていることが確認できる。

生徒はまだ人間語が流暢でない様子だが学習意欲は高く、積極的に学んでいるようだ。

…多少の得意不得意はあるようだが。

 

 

~9月15日~

この地域の猫たちがいかにして化け猫になったのかは定かでないが、一種の生物的な進化なのかもしれない。

二足歩行を会得した猫たちの身体能力は高く、校庭でスポーツに励む姿も見られる。

なおルールはあまり気にしていない模様。

 

 

~9月18日~

授業だけでなく課外学習や部活動のようなものも実施されているようで、魚や虫を飼育研究している生徒、楽器を背負っている生徒などが確認できた。

水槽や楽器等の備品は、どうやら人間が廃棄したものを再利用しているようだ。

 

 

~9月25日~

調理実習と思しき場面を目撃した。

器用にフライパンを扱う彼らを見て、やはり人間と同等の能力を会得しているのだと確信した。

 

…それにしても、あの化け猫たちは学校にいる時以外、何処で何をしているのだろう?

 

 

~9月30日~

生徒の落とし物と思われるノートを見つけた。

まだ拙さの残る文字で授業の内容が書き取られている。

 

こっそり持ち主に返せないかと周囲を探していると、何やら賑やかな声が聞こえた。

木陰から覗いてみると、そこでは…。

 

そこでは、生徒たちが覚えたての人間語で「しりとり」をしていたのだ。

人間語の上達のために競っているのか、単に負けず嫌いなだけなのか…いずれにせよ、なんと勉強熱心なのだろう!

 

私は近くの木陰にノートを置き、そっと立ち去った。

 

 

…以上が調査結果である。

研究として発表するつもりはない。御伽話として留めてもらえれば幸いだ。

 

先日、ある友人にこの話をした。

笑われるかと思いきや、意外にも彼は創作意欲を刺激されたらしく、私の話を元に小説を書きたいと言っていた。

完成したら読んでほしいと言われ、お互い物好きなものだと苦笑した。

 

確か、タイトルは…。

 

《完》


 

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