四等星 @reibodoge
4人の個性豊かなクリエイターが終結したボードゲーム制作サークル、それが「四等星」です!
好きなゲーム、好きなジャンル、得意なゲーム、それぞれが違う4人が、基本的に合作ではなく別々のものを制作して発表していきます♪
旧作、新作、いつもたくさんの種類の作品をお持ちして皆さんをお待ちしています。
あなたの好みに合う作品がきっと見つかる…?
- 今すぐ使おう!ゆびダイス。知ったからにはもう君の物!
- 2024/10/29 13:18
「ゆびダイス」をまだご存じない方は、まずゲットしてきてくださいね。↓
https://gamemarket.jp/game/184200
さて、私はこの架空のダイスをコースターゲームのために作りました。コースター1枚と鉛筆だけで遊べるゲームを作ろうというときに、どうしてもサイコロが欲しかったからです。ですが、そんなことは皆さんには無関係。ゆびダイスは誰のものでもありません。これは単なる法則、事実、知識の類であり、理屈を知ってさえしまえばもうこっちのもの、自分の一部です。
つまりみなさんは、今すぐゆびダイスを好き勝手に使えるということです。ゲームに入っていたサイコロがなくなった時とか。
もしあなたがボードゲーム作家なら、たとえば32枚のキャラメル箱入り対戦カードゲームを作って「サイコロを使うシステムにしたいなあ。でも箱に入らないからおさまりが悪いなあ。」なんて時に、箱の裏とかカードの裏面にオリジナルのゆびダイスの表を掲載し、説明書に使い方を書けばあらふしぎ。帳合の手間も収納スペースも不要の無料のダイスがゲームに付属します!私に許可を取る必要はありません。これどこで知ったの?とか聞かれたときに、ああ、mor!(モリって読むよ)ってやつがなんか書いてた……とか言ってくれたら光栄ですが、そのくらいのことです。
では本題です。ゆびダイスを使ってもらうからには、みなさんが楽しく、ハッピーな結末を迎えるように祈りたいのです。そこで、ゆびダイスの構造、向き不向きを解説しようと思います。端から端まで嘗め尽くして、マスター・ランダマイザ―となってからゆびダイスを使うことを推奨いたします。
1:ゆびダイスはカンタンさを最優先しており、個々の視点では完全でも全体的な視点では完全ではない
ゆびダイスは、片手で出来るようになっています。どちらかの手の指になにかケガなどがあってもできますし、もう片方の手にカードやペンを持てるからです。ですが、このやり方は「奇数人で」ゆびダイスを振る場合に「全員が奇数でかつまったく同じ出目にはならない」という隠れた偏りをもたらします。
例えば3人でやるとしましょう。全員が2の目を出すには、それぞれが指一本を立てることが必要です。全員、1+1で2になります。
では3は? 不可能ですね。3人の指が1、2、1本だった場合、それぞれの出目は3、3、2となりますし、0、3、0本ならそれぞれの出目は3、3、6です。ですが偶数人なら、1、2、1、2と指を出すとみんな3の目を出せますね。
この、個人には影響しないが全体の出目の偏りには影響する法則は、奇数人の場合だけそれぞれが「両手を使う」ことで解消できます。自分は自分の左手と左の人の右手の指を参照し、一方で、右の人のために右手で指を出してあげる。
ですが、この方法は人間の脳みその限界をけっこう余裕で突破してしまい混乱を招くので、よほど正確にダイスをシミュレートしたいのでない限り推奨しません。右手と左手は指の数が違う方がいいのかな、とか、偏った考えが出目に影響しそうですしね。
それが必要なゲームを作りたい場合、素直にダイスを人数分入れるのが良いでしょう。シンプルに偶数人用のゲームにしてしまう手もあります。偶数人ならば、多人数で遊ぶ際のこの小さな偏りは発生しません。基本、ガチゲー向けではないです。小さい子とか、チョキしか出さなかったりなどよくありますしね。
2:ゆびダイスは揮発性!手を引っ込めると即座になくなっちゃう
現実に存在する物理的なダイスは、振った後もその場に残り続け、動かしたり、何かの上にステータスやカウンターとして置いたり、重ねたりできます。ですがゆびダイスは、みんなが手を引っ込めた瞬間に消えてしまい、もう確認できません。つまり、「ガンツ・シェーン・クレバー」や「コインブラ」や「イスファハン」のようにいくつものサイコロをならべたり、みんなが取ったり選んだりして、ウンウン言いながら動かすようなゲームには使えないのです。すごろくや街コロみたいな、出た目ですぐに処理を行い、そのまま用済み……といったシステムに適しています。
また、一人が短時間の間に複数のダイスを必要とする場合にも不向きです。一度に一人当たり1個しか振れないうえに次のダイスを振ると消えてしまうので、どこかに結果をメモしていく必要が出てきます。人は、すぐに結果を欲しがるものです。1手番に一回程度ならいいのですが、目的となる行為のためにゆびダイスを振ってメモ……ゆびダイスを振ってメモ……と何度もやらされるのは、現実のサイコロをまとめてジャっと振る体験に大きく劣ります。避けた方が無難でしょう。
3:ゆびダイスは隠せない!もし覚えられるなら、全員のダイス目が確認できる
ゆびダイスはそもそも一人では振ることができません。必ず隣の人のゆびの数を見るのですから、お互い、手を隠すわけにはいかないのです。なので、ついたての裏にダイスを隠して置いたり、「ブラフ」のようにカップの中に秘密のダイスを複数持つこともできません。
4:ゆびダイスは本物よりも、ちょっと悪意に弱い
二人のプレイヤーが共謀したら、望む目が出せます。なのでこのダイスは、賭け事や協力ゲームなどには不向きでしょう。全員の目的が完全に一致するような場合、わざと特定の手を出すように符牒を決めたりすれば同じ目を出すことは難しく無いので、ゲームシステムの側で必要な数字がバラける工夫や他の人の手伝いをすると損になるような工夫をしてあげると良いでしょう。ゆびダイスは単純に、楽しく遊ぶためにランダムな1~6の数字が欲しいよ!と言うときに真価を発揮します。でも、ズルをする人は本物のダイスでも出目を変えたりしちゃうからね。衝立で隠されたダイス、こっそり出目を変えたかどうかわかるでしょうか。じつは、大した違いはないと思っています。
5:ゆびダイスのつくりかた
さて、注意事項ばっかでつまんないと思うのでそろそろ作り方です。6面ダイスはゆびダイスの表の構造をマルパクリすればいいのですが、問題はもっと小さなダイスです。例えば1~5の目が出る5面ダイスはどうすればいいでしょう?はい、これゆびダイスの強みです!正5面体(?)作れちゃう!クトゥルフ神話的非ユークリッド幾何学形状でしょうか?
まずは、使う指の本数をダイスの面の数と同じになるように減らします。5面ダイスにしたいなら、パー(指5本)を禁止にして人間が出していい指の数を0~4の5パターンにします。そして、表を書くのです。寝るな!がんばれ!
表は、5面ダイスなら5×5。縦横の軸に書く数字は指の数を表しているので、指の数が0~4なら、下の図のように1から始めて、右に、下に行くほど数字を大きくしていき、4の後ろ、最後に0を書きます。
さて、次はダイス目が書いてある表のグリッド内というかマス目?の部分の埋め方です。これは単純に、そのマスの縦と横の軸に書かれた数字を足した合計をダイス目として書きます。例えば左上端のマスは、縦も横も1なので1+1=2のダイス目を書きます。かんたん!
おや、1~5しか出ない5面体のサイコロなのに、4+2のあたりから6とか7とかになっちゃいますね。ここがターニングポイント。5までのダイスなら、5を超えた時点で-5して1にループするようにします。6=1、7=2、8=3。そして0+0、これは常にそのダイスで一番大きい出目に当てます。5面ダイスなら5ですね。
これで表が完成しました!さあ、それぞれの出目が5個ずつで、全ての数字同士の組み合わせですべての目が出ることを確認しましょう。要するに、「グーを出したら5が出ない」みたいな偏りはなく、何を出そうが相手次第ですべての目が出うるということの確認です。
でもなんかデカいし見づらいですね。2行にならないの?はい。やってみましょう。
まず、5パターンを作るために0~4本の指を出してもらうのですから、二人の指の合計値は0から8ですね。その数字を書いたら、それぞれの下に先ほどの表で「その合計値になるマスに書いたダイス目」を当てはめていきます。同じ合計値のマスは同じダイス目が当然だけど書いてあるので、実は合計値ごとに対応するマスが1マスだけ書いてあれば表としては足りちゃうんですね。
「アレ!4が1マスしかないぞ!他の数字は2/9で出るのに4だけ1/9じゃないか」
……あほ!あほたれ!さっき表を見て各ダイス目は合計5回出るのを確認しましたよね?0~4のランダムな数字を足したとき、合計4になる確率は一番高い(5/25)のです。
0+4
1+3
2+2
3+1
4+0
25パターン中の5パターンもあります!では合計1になる組み合わせは?
0+1
1+0
2パターンしかない!1が出なすぎる!そこで、3パターン出る「合計6」のマスに1を書いてあげれば1も5/25で出るんだね。以下略、このようにしてすべての数字は同じ確率で、なおかつ自分の出した手に関係なく生成されるわけです。
もうわかっちゃいましたか?じゃあこれ、おまけで0~3本の指でやる4面ダイスです。え、3面体?それはもう、各自が左隣の人の手と自分の手でじゃんけんして、勝ちが1、負けが2、あいこが3とかで出来るのでは……(*全員でジャンケンしたらあいこ出まくるから駄目ですよ)
ゆびは5本なので6面体のために第六の選択として0(グー)を使うのはまだしも、なぜ1~X本の指ではなく0~X-1本の指で4、5面体をやるかと言えば、0があれば0+1で合計1が存在しうるので、「合計1~5まではそのまんま1~5です」という表を見る必要もなにもないシンプルな答えを提供できるからです。
さあ、これでOK。ダイス目の代わりにアイコンや記号、イベント、文章、なんでも当てはめて、君のゲームに使えるオリジナルゆびダイスを使うことができます。ゆびダイスに出来ることとできないこと、欠点、ゲームシステムとの相性、いろいろあるので万能ではありませんが、このアイデアが助けとなって今まで作れなかったゲームが世に出てくるのを楽しみに待っています。TRPGでGMとプレイヤーでゆびダイス振ったりするシステムとか作れそうでは?
意味わかんないときは、私に直接聞いていただくか、近くの算数が好きな方に相談してみてください。mor! (https://x.com/mori_boardgame)
11月27日:応用編を公開しました https://gamemarket.jp/blog/191806