浄瑠璃ソフト天遊団

デジタルゲーム制作勢がアナログゲーム制作に流れてきました。



技術7割、運3割くらいのゲームデザインを心がけたいと思っております。

ゲームメカニクスを分析して面白いゲームを設計するという試み
2019/12/9 3:09
ブログ

この記事は『Board Game Design Advent Calendar 2019』の 8 日目の記事です。
(ちょっとだけ遅刻しました……)
ボードゲーム制作者向けの記事となります。

【はじめに】


私がボードゲームを作り始めて数年経ちますが、「ボードゲームギーク(以下、BGG)のデータを可視化したら面白いゲームの傾向をつかめる説」という仮説を最近立てたのでそれに関するネタをこの記事でまとめます。

・どんな仮説か?
・どう検証するのか? 『BGA』のご紹介
・導き出した仮説に妥当性はありそうか?

という流れで記事を展開していきます。

【どんな仮説か?】


ボードゲームを開発している方にとってはなじみ深いであろう『BGG』というサイトがあります。
このサイトでは世界中のボードゲーム(拡張版を含めると実に 10 万タイトル以上!)の情報がデータベース化されています。
BGG のユーザーたちはそれぞれのゲームの『カテゴリ』や『メカニクス』をタグ付けしたりゲームの面白さを評価したりしています。
タグ付けされていてユーザー評価もされているので、その情報から一般的に評価が高い傾向にあるメカニクスを特定できるのでは? という仮説を立てました。
しかし、BGG はあくまでも遊ぶ人向けのサイトであるためゲーム個別のタグや評価は見ることができても、あるメカニクスの平均評価などはみられませんでした。

【どう検証していくか? 『BGA』のご紹介】


私の仮説を検証していく方法については、結論から言えば『ビジネスインテリジェンスツール(BI ツール)に情報を食わせて分析』することでの実証を試みています。

BGG は WebAPI という仕組みを開放しておりサイト内の多くの情報を XML という形式で取得可能です。
その情報の中にはどのゲームにどんなメカニクスがタグ付けされていて評価はどれくらいかなどの情報も含まれています。
そして、私の本職はシステムエンジニアで、特にデータを集めて使いやすいように加工して分析することで飯を食っている類の人間です。

BGG 内の全ゲームの情報を取得し、分析するツールを今年の 5 月ゲムマで公開しました。
名前は『BoardGameAnalytics』というツールで、略して『BGA』と呼んでいます。
ボードゲームの知識と IT の知識が交わった瞬間ですね。

一般公開しているので、是非制作者の皆さまにツールを使っていただきたいです。

【BGA でできること】


アクセス先は こちら になります。

ID:DilemmaHoldem
Password:texasholdem

BGA では現状『人気カテゴリ、メカニクス』と『カテゴリ、メカニクス別発売年エリアグラフ』の分析ができます。

『人気カテゴリ、メカニクス』の分析では例えば下の図を見ると人気メカニクスが何なのかが一目でわかります。(画像クリックで私のサイトにジャンプします)

横軸がメカニクス名で縦軸が評価レートになっています。そして、各マスの色の濃さがそのメカニクス・評価レートに該当するゲームの数になります。
この図では色の濃いマスが上に出ているほどそのメカニクスは面白いということが示唆されます。

上の図の中の濃いマスが上に出ているメカニクスで特に目立っているものををいくつかピックアップすると『アクションポイント割り当てシステム』『バリアブル・プレイヤー・パワー』『協力プレイ』というメカニクスはいずれも評価レート 7~8 が一番濃く出ており面白いと評価されているであろうことがわかります。

ちなみに 3 つのメカニクスは

・【アクションポイント割り当てシステム】
プレイヤーは自分の手番で決められた数まで任意のアクションを行うことができるシステム
・【バリアブル・プレイヤー・パワー】
プレイヤー毎に異なる能力を持った状態でゲームが進行するシステム
・【協力プレイ】
各プレイヤーが目標を達成するために協力することが求められるシステム

というメカニクスのゲームです。

他にも『カテゴリ、メカニクス別発売年エリアグラフ』の分析では近年勢いのあるメカニクスなどを知ることができます。

まだまだ分析結果は少ないですが需要に応じて増やしていきたいと思っています。

【『BGA』での分析の限界】


あくまでも私個人の意見ですがボードゲームを構成する要素は大きく分けて『世界観・テーマ』『アートワーク』『メカニクス』に分類できると思っています。
三者はいずれが欠けても面白いゲームにはなり得ません。

このうち『世界観・テーマ』と『メカニクス』は BGG につけられているタグを分析することで人気のものを機械的に分析可能です。
しかし、『アートワーク』に関しては機械で分析するのが非常に難しいです。
良いアートワークの作り方は手法として確立されてはいる分野ですが、機械で善し悪しを分析するのはまだ難しい分野でもあります。

良いアートワークを知るためにはデザインを学習する必要があります。
誰のためのデザイン』という本が良いらしいです。(ワタシ、マダ、ヨンデナイデス……)

【妥当性はありそうか?】


うちのサークルは猛烈に人手不足で分析の結果をもとにゲーム開発がまだできていません。
なので既存のゲームを例に妥当性を検証してみようと思います。

さきほど『人気カテゴリ、メカニクス』を分析した結果、『アクションポイント割り当てシステム』『バリアブル・プレイヤー・パワー』『協力プレイ』の 3 つが人気メカニクスであることがわかりました。
分析結果を見て 3 つのメカニクスを持っている人気ゲームが 1 つ思いつきました。
それは『パンデミック』です。
パンデミックは非常に人気の作品で面白くないという評価はあまり聞かない作品です。

他にも BGG の人気上位のゲームは評価の高いメカニクスやカテゴリがほぼ確実に含まれていました。
と同時に評価が低いカテゴリやメカニクスは少ない傾向にありました。
なので分析の結果はある程度信用できると思っています。

【さいごに】


BGA の分析結果に従えば必ず面白いゲームが作れるとは限りませんが、ゲームメカニクスを考えるヒントの一つにはなると思います。
ただし、面白ければ売れるというものでもないので長く続けたいなら営業やマーケティングに力を入れて活動資金を確保することも重要になってくると思っています。

まるでリアルマネーで行う経営シミュレーションゲームですね!

引き続きゲーム作りを楽しみたいと思います。

【宣伝】


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ご興味ある方是非よろしくお願いします。

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