Siroup Games siroup_games
ブース概要
しろうさんのプロデュースする(sirou produce)ゲームだから、sirou”p” games ですね。 Siroup games, since it is a game produced by sirou
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- デザイナーズノート 魔龍、屠るべし・序
- 今回はディベロップ中心の話 結局トリテになった。 ポンプ消防隊(以下ポンプ)の次に出すゲームはトリックテイキングゲーム(以下トリテ)を避けたかった、比べられちゃうからね。コロナ禍で中量級以上のゲームのテストが難しく、簡単なカードゲームやトリテをオンラインでテストすることしかできなくなってしまったという理由もありました。手札を分けるアイデアはシュティッヒルンが発端で、どうしても大きなマイナスを受ける時「このカードを手札から無くせたらいいのに」と思ったのです。 トリテの利点 トリテはある程度の面白さが担保されています。ただのマストフォローなら正統派とかオーソドックス・古い、という表現がされて、マストフォロー部分を変化させると斬新な、新しい、変態トリテなどの表現をされます。フォロー以外の部分に変化を加えることも可能で、得点計算やトリックの勝者の処理、プレイされたカードの処理、ビットなど多岐にわたります。特に大きな利点は、多くのプレイヤーに共通認識がある点でした。手札を分けることと、マストフォローのトリテにはシナジーがあるのです。 手札別けでできること 配られた手札を前後半に分ける。後半の手札は伏せて置き、マストフォローにひっかからない。前半の手札を全てプレイしたら伏せてあったカードを手札にする。このギミックでプレイヤーができること。 ・意図的なボイドでトリックに負けやすくする ・前半を切り札のみにして序盤のトリックに勝つ ・後半に切り札を入れて後半手札になったタイミングでトリックに勝つ ・最後のトリックに勝つ などが挙げられます。これにマッチするのはポンプのようなミッション(課題)達成系ではないだろうか ・最初に3トリックとる ・ちょうど2トリックとる ・最後のトリックをとる この3つを軸にして他の課題に特定の色を沢山とる、少なくとる、全色とる、誰にもフォローされない、等色々できそうだ。 テーマは魔法学校だった 手札を分けるアイデアには欠点がありました、全員が手札を分けると意味がないのです。効果が薄まる、と言った方がいいかもしれません。そしてカオスでした。一人だけ(多くて2人)程度が手札分けをするのが最も効果が見込めました。では他のプレイヤーはどうするのかを考え、他のプレイヤーにも能力を持たせたのです。手札別け、ウィドー(配られていないカードとカード交換する)、両隣と1枚ずつ交換する、手札が2枚多い、などです。 ①カードが配られ ②特殊能力を決める ③課題を達成しリソースを獲得 ④リソースのセットコレクション という構造です。③④はポンプとの差を作る為の処置ですね。ポンプは大目標と小目標に課題のタイミングを分ける演出でしたが、今回は2種類の課題のうちどちらかを達成すれは1種類のリソースを生むようにして、課題を6ジャンル×2種→リソース3種にして、なくべくリソースをバラバラに集めることを目的になるようにしました。 テーマは魔法学校、プレイヤーは生徒となり魔法使いの先生から魔法の助力を得て、課題をこなす。得られるリソースは宝石や水晶玉や杖、という よくあるテーマですがシステムとはマッチした内容になりました。タイトルは「魔法使いの弟子」とか「魔法学校の生徒」でしょうか。 ゲームとしては完成 特殊能力あり+課題達成というトリテ経験者に向けた調整で、なかなか骨太なゲームができました、テストしてくれた人の評価は、おおむね良。でしたが難しい、重い、長いという意見も多かったのです。このように面白いけど遊びにくいというゲームは、ゲーム(システム)は完成しているが商品としては未完成と言えます。これはテスト環境でのあるあるで、デザイナーもテスターも当然ゲームを面白くすることを目指します。しかし「遊ばれやすさ」はあまり指摘をうけないのです。 ここまでのシステム構築は、アイデアの掛け算や要素の足し算ですが、遊ばれやすさ(商品化)への調整は引き算です。 ゲームを売る為に ちょっと脱線します。私のゲーム制作は「商品」か「作品」か?→言い換えると「仕事」か「趣味」という話ですが、自分のは趣味に当たります、これで生活できるわけじゃないですからね。しかし「赤字にしない・なるべくなら売れた方が嬉しい」という意志も内包した趣味ということです。以下、完全に持論です。 ①ゲームを知ってもらう 宣伝、箱絵、プレイ風景、特徴的なコンポーネント ②ゲームを買ってもらう(一次消費) 金額、所有欲、話題性 ③ゲームを遊んでもらう 面白さ、ルールの説明しやすさ、リプレイ性 ④ゲームを拡散してもらう 同卓プレイヤーへの認知、SNSへの拡散、クチコミ、レビュー ⑤ゲームを買ってもらう(二次消費) ⑥ゲームを遊んでもらう ・・・ というサイクルができると、そのゲームは売れている。と言えると思います。①や②は当然意識すると思います。③もそりゃそうだろと思うでしょうが、「くりかえし」遊んでもらうことが肝心です。これはその場で連続で遊んでもらう という意味ではなく、ゲームの所有者が繰り返し遊びの場に登場させてくれるか?ということです。私にとっての成功とは、数年後…十数年後でもたまにSNSなどで遊ばれた記事(話題)が出てくることです、こうなったら勝ちだと思ってます。 あなたは持っているゲームを誰かと遊ぶとき、どうやってゲームを選択しますか? 1つの方法として、一緒に遊ぶ人に応じてゲームを選ぶのではないでしょうか。このゲームを遊ばせたい、このゲームならインストが楽、このゲームなら楽しんでもらえそう、こういった思考ではないでしょうか。この方法の時どんなゲームでも選べる人は恵まれた環境と言えます。 つまり、ルールが複雑でインストが困難 だとか、初心者には難しすぎる だとか、時間が長くて逆転の要素が少ない、といったゲーマーズゲームは選ばれにくい傾向にある、と思います。(ゲーマーズゲームが売れないということでは無い) ゲームの説明が楽、は所持ゲームを選ぶ時にとっても重要な要素だ、ということです。 巻き戻せるのは本人だけ ボードゲームを作った人なら分かると思います。ゲームを作る時、様々な検証を試します。Aパターン、Bパターン、Cパターン、C-1、C-2、C-3…と、どんどん枝別けしてテストを繰り返し、システムを面白くしていくのですが、ダメだったらどうするか?一般的にはDパターンの枝別けをはじめるわけですが、AかBまで戻る方法もあります。そしてこの巻き戻りを提案してくるテスターはまず居ません。これまでの経過を知っているならなおさらでしょう。元の方が良くない?って言いにくいですよね。 今回のゲームに当てはめると、Dパターンまで作ってみたが、これはこれで一旦脇に置いておいてAパターンに巻き戻した、ということです。これは勇気のいることのように思われるかもしれませんが、このゲームが無くなるわけではありません、塩漬けしてもいいですし、他のゲームのアイデアにしてしまうこともできます。 このゲームは上記①②まではいくが、トリテにしては説明が大変(特殊能力と課題の説明が必要)で毎ラウンドの前置きが長い(特殊能力の選択と処理)ので③のハードルが高いのです。ディベロップ方法としては、トリテと思わせない(ブライアンボルのような)演出にしたり、特殊能力について能力の簡略化と選択処理の自動化で要素を削っていく方法があります。 見せたいものだけにする 今回の主題は「手札分け」でした。これを注目させるにはもはや全員に特殊能力~とか様々な課題~などと言ってられません。手札分けの発想が生まれた当初、かたっぱしに色んなトリテに手札分けを入れて試していてそれが機能していることはわかっていました。取りたくない(ハーツ)系のトリテにすることで、手札分けによるカードを隠す要素が活きるし、トリックを取るとわずかにプラス点があることも意図的なボイド要素を活かせます。課題達成のように手札分けを惜しみも無く活かせるわけではありませんが、特徴的な部分を強調することができました。 テストプレイ会の時、Dパターン(魔法使いの課題達成トリテ)をテストしてもらった後「実はちょっとオマケみたいなゲームがあるんですがやってもらっていいですか?」といってAパターン2種をテストしてもらい好評を得て採用となったのです。 足し・引き ・Dパターンの名残りで、ウィドー(配られてないカードと手札を2枚交換する)能力を足してます。 ・手札を配った後で、切り札の最高ランク所持者が手札を分けるのですが、この条件はプレイヤーの納得感・分かりやすさ・説明しやすさを重視した結果です。 訳あってベータ版(序)になったしまいましたが、製品版(多分 破)ではもしかすると上記は変更されるかもしれません。手札分けをプレイヤーにやらせたいのに、持ち回りでは無く条件にしています、これは4、5人戦でプレイ人数と同じ回数のラウンドでゲーム終了では”長い”と判断したからなのです。 ●切り札の最高ランク → 一番強いカードだから手札分けできる ●前回ラウンドの最後のトリックを取った → マイナスを多く被っているからウィドーできる プレイヤーが納得できるように上記の理由にしているが、2種の能力をぐるりと持ち回りにすれば、4人プレイで2ラウンド行えば少なくてもどちらかの能力は使えるので、こういう方法で不満を解消する方がいいのかもしれない。
- 2024/4/18 0:42
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- デザイナーズノート Pompiers! (ポンプ消防隊)
- 「そんなことよりトリテ作ってください」と長谷川登鯉さんが言うではないですか、 ならば良き絵を描いてくれるだろう、てな感じで始まりました。 システム的な話 私が最初に買ったトリテはなんとヴァス・シュティッヒ!なぜならとあるブログに「これ買っとけば他のトリテ要らない」と書かれていたからです。トリテのトの字も知らない状態でのヴァス・シュティッヒはまさに地獄でした。が、それはまた別のお話。このゲームは推理の前半と、トリテの後半に分かれており、このトリテの部分だけを抽出して遊びたいと常々思っていたわけです、でもまったく同じでは芸がないので(1)プレイヤー共通の課題にする(2)ヴァスシュティッヒには無い課題を入れる。を考えていったわけです。 当初はラウンド毎に数枚の課題が全て入れ替えていたのですが、良い組み合わせと、そうもでもない組み合わせの波がありすぎでした。そこでゲームに安定をもたらすべく長期的な目標(基本課題)を作ったのです。これはこのゲームの核と言えるでしょう。この核をどうするか、「最後のトリックを取る」と「一度もトリックを取らない(ミゼール)」は必須でした。次にあるべきは「連続でトリックを取る」です。そしてこれに相反するアイデアが「上下のトリックを取る」でした。これはヴァス・シュティッヒには無い課題で、Pompiers! 特有と言えます。 この「上下のトリック」および「〇トリック目を取る」を明確にする為に、獲得トリックを並べる必要があったのです。これはプレイヤーごとに並べていますが、テーブルの中央に共通の場としてプレイヤーカラーのカードやマーカーを使って表現してもよかったかもしれません。これはプレイアビリティ向上の改良余地ありです。 「手札の配り運」はカードゲームの命題です。このゲームでは課題の得点バランスで配り運の軽減を計りました。「沢山トリックを取ることより、少なくトリックを取ることの方が得点が高い」ようにしたのです。ミゼールには意味があります。ゲーム中一度でもミゼールすれば5点、と高い点です。これは6~8点でもよかったかもしれません。ですが、その代わりに「単独でミゼールをすると次のラウンドの切り札を選べる」という特権を付けました。この方がワクワクするんです。プレイヤーに「ミゼールをしなければならない」ではなく「うまいタイミングでミゼールしてやるぞ」と思わせたかったのです。 ラウンド毎の短期目標である「緊急課題」はゲームの準備で1枚を「基本課題」とします、ラウンドが進むごとに1枚、2枚…と使用するので本来16枚ないしそれ以上あるべきです(14枚しかない)。これは余分な課題を入れたくなかった 為です。「〇色を最も多く取る」と「〇色を取らずに1トリック以上」の課題は3色分しかありません。また同じタイルは複数枚ありません、これは同種の課題だけになるのを避けた為です。基本課題とのシナジーが強いものだけ採用した少数精鋭なのです。…とは言ったものやはり16枚以上あった方がよかったかもしれません、今はラウンドが進むごとに1枚、2枚…ですが、「毎ラウンド3枚使用する」とういうバリアントルールを採用できるからです。そしてシステムとしても綺麗だ!最終ラウンドにそれまでのラウンドで誰にも獲得されなかった課題が再び使用される、というのは怪我の功名というべきアイデアです、逆転の可能性が増すのでプレイヤーにワクワクさせることができます。※1枚も繰り越しが無かったらごめんな!テストではおおよそ1~2枚が最終ラウンドに持ち越されてたんだ! 課題達成条件が同点だった場合の処理も、かなり苦労しました。システムの話をしてると改善点が浮き彫りになってしまう…心が耐えられない、もうこのくらいにしよう コンセプト的な話 課題クリアのトリテ、消防士、外国語版に日本語ルールを貼る、これらずっと温めてたアイデアを全部足すことにしました。特に「日本語ルールを後から貼る」はこれまで実現不可能と思っていたのですが、登鯉さんに話すとそりゃあもうノリノリなわけですよ、ですが私はルールライティングが病的に下手、絶対条件である「メビウスさんっぽい日本語ルール」は夢のまた夢だったのです。 矢沢健太郎氏に白羽の矢が立ちました、老師敬服のあの人です。マジか。メビウスっぽい日本語ルールに準拠してライティングしてくれるのです。つまりこれが着地点、日本人ユーザーはこれを読んでゲームを理解するのです。しかし箱に入れる英語ルールも作らないといけません。ユーザーが日本語ルールを読んでもよく分からない部分があった時、英文ルールを読んで「ああなるほどな」と理解させたいわけですよ。よってカッチリした内容の書かれた英文ルールと、読みやすい文体のメビ準日本語ルールを用意する必要があったのです。 ゲーム作りで面白いのは、ルールを分かりやすくするためにシステムを削る ことがある。ということです。システムに論理的な正解があったとしても、遊びやすさを重視した方がいいことがあります。本来目的達成が同点の場合の処理は大変面倒なものでしたが、矢沢君から、文章が長くなりすぎる。とご指摘がありました、プレイしてても同点の場合は何だっけ?と余計なことに気が向いてしまいます。これは思い切ってバッサリ切りました。 それでも改良の余地がありそうではあります… 英訳はcoZy さんにお願いしました、英タイトルの Pompiers! も同氏の案です。日本語タイトルの ポンプ消防隊 が先に決まってました、私は FIRE FIGHTERS とかそんなんでいっかな?と思っていたんですが良い音の言葉を見つけてくださいました。元々フランス語みたいです、英語ではポンピエと発音するようです。 さあもう後には引けません。登鯉さんに頼んだことは、昔のカードゲーム調、手書き感を出す、躍動線(動きを表す線)入れて、関節は無くして、そしてイメージに近い画像を送りました。サークルロゴは「昔はこんなロゴでした風」、よくわからん会社のロゴ、箱裏はビックリマンシールの裏みたいな感じ。で、これですよ、最高か。 メビ準ルールは矢沢さん主体です、日本語タイトルのポップ体とグラデーション、数字だけ半角、見出しの網掛け、用例の外人名、印刷ズレ、A4コピー用紙、巻末のロゴ、破けやすい袋(これは再現できてない…) タイルに貼る日本語シールも重要です。これはみんな反対しました「無くても分かる」と。私もそう思います、このくらいの英語ならまぁ分かるし、分かりやすいイラストもあるからです。 だが断る。必要です。「これは貼る必要ないんじゃないか」と思わせる為に必要なんです。 反対に、絶対にやっちゃマズいな、と思ったのはメビウスさんの「日本語解説書付き」シールです。このシールにメビウスさんの魂みたいなものを感じていたので。海外のゲームを輸入して、日本語に翻訳して、これは確かなものだという「証」だと感じたからです。 こうして英語タイトル、箱も英語、中に英語ルールしてシュリンク、その後で日本語ルールと和訳シールを袋に入れて、箱裏に貼りつける、というスーパー面倒くさい製法になってしまいました。はたしてこれは意味があるのでしょうか?あるみたいです。多くの人が「良いね」と言ってくれました。効率的でない、一見無駄に見えることに人は感動を感じるんだなぁ、としみじみ感じました。これはメビウスが長きに渡ってボードゲーム界をけん引してきた歴史と、それに育てられた多くのボードゲーマーの愛である、と思います。
- 2019/5/19 23:22
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