siroup games

しろうさんのプロデュースする(sirou produce)ゲームだから、sirou”p” games ですね。 Siroup games, since it is a game produced by sirou

デザイナーズノート ギルデッド フィスト
2026/10/5 11:48
ブログ

脳汁ブシャー

ボードゲームは面白い。面白いとは、何?
それはドーパミン。メタ的だし、答えになってないけど、一つの答え。
実際にはドーパミンは何かがうまくいったとか、ゲームに勝ったときではなく、何か報酬を得るための待ち時間に多く出るらしい。
よく言われるのがパチスロなどのリーチ演出。
あまり言われないけど、競りの最中にだって脳汁出てると思うんですよね。
 
日本語ルール
English rule
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きっかけはセカンドプライスオークション

現実世界のオークションに、セカンドプライス オークションってのがあって、秘密裡に金額を提示して一斉に公開する。
もちろん一番高い金額を提示した人が落札できるんだけど、支払う金額は2位の人の提示額でいいよ、ってやつ。
 これって自分の予算額より安くなる可能性があるから、買い手としては思い切って入札できるし売り手としては値が上がりやすいので嬉しい(実際はあまりかわらないらしい)

これって面白い心理だな、ゲームにできないかな、と思ったのが始まり。
でもこれって1つの商品に対してだけど、いっぺんにできないかな、全員分を一度に・・・。

A君が15金、B君が13金、C君が8金、D君が2金、秘密にビッドする。
1位のA君が2位の金額13金を支払い、2位のB君が3位の金額8金を、3位が・・・
あらら変な感じになっちゃうな、1位のA君より2位のB君の方が多く払ってるや(この時点でセカンドプライスオークションは1商品に対する競りに向いてると気づく)

ではこれではどうか。
前の競りの提示金が場に置かれている、人数分、金額の多い順に、
今回の競りで提示金を公開し、順番が決まる、場に置かれている同じ順番の金を受け取り、今回の金額を置く、これを繰り返す。
(ゲーム開始時にはいくらか置かれているものとする)
これもダメ。相場が分かりやすすぎてしまう、それに前のラウンドよりも少ない金額だった場合、所持金が増えてしまう。
・・・増える?増えていいのか?
増えるのはいい、価値が高いものには高額で、価値が低ければ少額になる、さらに価値が低ければ0を下回ってもいいはずだ。

A君が15金、B君が13金、C君が8金、D君が2金、秘密にビッドする。
1位のA君から順に価値の高い商品を得ることにする、4位のD君は最も価値の低い商品となる。
その後でA君の15金と、D君の2金を交換する。B君はC君と交換する。するとこうなる
1位のA君は13金減って、最も良い商品を得る
2位のB君は5金減って、次に良い商品を得る
3位のC君は5金増えて、その次に良い商品を得る
4位のD君は13金増えて、良くない商品を得る

いいね、これならゲームになる。

セットコレクションする

プレイヤーが競り値を決めるには指針が必要である。
それは価値がほどよく計算できて、ほどよく計算できない、かつ魅力的である必要がある。
大前提として競り値を考える段階で「見えている」必要がある。

セットコレクションの定番、ABCを3種類集めると何点、というのは今回は不採用。なぜならば、
今回の競りは、最も多く握ったプレイヤーが最も良い商品(後に財宝カード)を得るべきだから。
セットコレクションを完成させるために、あえて2番目や3番目に価値のあるものを取る、というのは避けなければならない。

ライナー・クニツィア作のRa(ラー)に、「ナイル川」と「氾濫」というものがあります。
ナイル川タイルは何枚持っていてもそれだけでは点にならず、氾濫タイルを獲得して初めて得点になります。
氾濫タイルは清算後捨てられますが、ナイル川タイルはそのまま残ります。
これを、「宝箱」と「魔法の鍵」に置き換えました、魔法の鍵は全ての宝箱を開くということにしたわけです。
長中期的な展開になり、ほどよく計算できて / ほどよく計算できない、わけです。

これに対するセッコレが必要で、短期的な爆発力があるもの。
1個だと価値が薄いが、多く集めると価値が飛躍的にあがる計算式。二乗にしました
1個は1金、2個は4金、3個は9金・・・のアレです。
その代わり清算を済ませたら無くなります。これは「宝石」にしました。

次に長期的な持続力があるものとして、他のプレイヤーとのマジョリティ争いを入れました。
これは清算が済んでも残るようにします。一度マジョリティ争いに勝てばゲーム中何度も恩恵をうけやすくしました。その代わり価値は低め。
これは「王冠」にしました。貴族の影響力みたいなイメージ。

調整用のセッコレ。
1枚のカードに複数のアイコンを描き、それを人数分場に並べる、めっちゃ良いヤツ、めっちゃ良くないヤツ、その間のフツーのヤツ、
これらが必要なので、カードの裏面を区別してレベリングしてあげる必要がある。
めっちゃ良いヤツの中で描かれるアイコンは様々あれど、同レベルのカードで価値が差がありすぎるのはよくない。
その調整用として「コイン」、即金でもらえる。序盤は有効だけど、終盤になると価値が下がる(他のアイコンの方が価値が高くなっていくから)

こんな感じでセットコレクションを採用。

最も重要なのは数字

えー昔からぁ、テストプレイは大事、調整は大事、と申しますが、具体的に何をしますかと言いますと、数字計算なのでございます。
これが甘いと「アイデアは面白いのになんかそこまで面白くないゲーム」って感想になります。

上記セットコレクションではひとまず、コインの価値を5金にしました、価値5のコインをヒョイっと取ればいいからです。
これを基準にしたらどのアイコンもインフレしてしまい、生産時にとんでもないコインを得るようになってしまいました。

またアイコンの含有量も重要です、どのくらいの頻度で出現するか、というものです。
そもそもゲームの流れを、競りを3回行って清算処理、清算を3回行ってゲーム終了にする。3回ってのはニンテンドー3の法則。テンポ重視。
宝石は沢山出てよい、ただし多すぎてはいけない、全カード45枚中アイコンを45個、それを偏らせる。しかもどんなに多くても一人が獲得できる最大は7個にしたい。
宝箱は宝石よりは少ないが、まあまあ登場させてよい。その代わり魔法の鍵は少なめにする(まったく出てこないだとダメ)

初回所持金も大事、始めのうちは10前後にしてたんですが、タイブレークが頻発してしまう。

セットコレクションの価値、アイコンの出現率、所持金、これらを計算してテストして、なんやかんやします。

システムとプロダクトと

ルールとかシステムができたら、それをコンポーネントに落とし込まないといけない。
しかも販売するわけだし、赤字にはできない(持続できなくなるから)
当初は、獲得したものをトークンやチップにしようと考えていたが、箱が大きくなる上に売価が上がる・・・
当初は、専用コインを入れようとしたが、コインを握る関係で厚紙では向いてない、木製かメタル製になる、重い、箱がでかくなる、売価が上がる・・・

30~40分のゲームで売価4~5,000円は無くは無い、が昨今のゲムマではリスキー。
どこかのパブリッシャーに拾われればなぁ

アートとタイトル

アートはご縁があって根津工房のNezuYumiさんにお願いすることができました。
アートを頼むということは、タイトル、テーマ、各名称、背景などを決めなければならない。
NezuYumiさんと言えば幻獣。幻獣やドラゴン描いてもらいたいから、それに合わせる!ファンタジー 一択。

タイトルはけっこう迷って迷って、英語ニュアンスでも握り競りやブラフ感が伝わるようにしました。
Gilded ギルデッドは金メッキ、金箔の~という意味ですが、うわべだけの美しさ、見せかけの豊かさ、というニュアンスも含んでいる。かつアートの持つ彩色写本の金装飾っぽさも表せたらな、とも考えて。
Fist フィストは拳、握った手の中、を表していて、まんま握り競りを表せていると思う。

©NezuYumi 無断転載禁止

タイトルやテーマが決まれば次は背景、これをよりNezu寄りにしてゆく。財宝を守るドラゴンを箱絵に持っていきたい。
もともとテスト段階では、ファンタジー勇者一行が魔王を倒したのち 帰還中に財宝を分ける、という背景でした。
これを魔王→ドラゴンに置き換えて、ドラゴンの財宝をかっぱらったプレイヤーがドラゴンの呪いを分散させる、という泥臭い背景に変更。
呪いのドラゴン!ドン!
やばい!かっけえぇ、役得すぎる!ついたて は色んな幻獣、紫がお気に入り。
たまらん。自分のゲームが最高のアートと融合すんの脳汁出る。

自分がボードゲームを好きな理由の一つに海外のアートがあって、手描き感だったり、発想だったりが好きだったから。
Nezuさんのそれはまさにど真ん中、唯一無二だし、他の追随を許さない。
だって 呪いのドラゴンが箱絵のボードゲームは、恐らく今後国内では出ないだろう、かっこよすぎだろ。
そのくらい良いものを描いてもらえました。

まとめ

握りコイン循環システムは実は前にも使ってて「ジュエリーアントワープ」ってゲームにも採用してる。
そちらはビッドできる価格がカードに描かれていて両替できないようになっている。Raに近い。
今作ギルデッドフィストは根幹部分を抽出して、手順を減らして「いくら握るか」にフォーカスしたものになっている。
両方遊んでくれた人からは、同じシステムだが全然違ってるし面白い と評価いただけました。

テンポよし、相場の裏切りあり、セットコレクションによるドラマティックな演出あり、
ただコイン同梱しないのだけはマジでごめんね、
でも、かなりの自信作。是非遊んでみてくださいね。

sirou