数寄ゲームズ

2014年秋からゲームマーケットに出展参加しています。

百科審議官、コンポーネントの紹介
2018/3/28 20:43
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ゲムマ大阪で初お目見えする百科審議官は2006年に販売された同名のゲームの再販になります。
今回はコンポーネントをお見せしつつ、新版の変更点について触れたいと思います。
上記の写真は新版のコンポーネント一覧になります。

 



まずは化粧箱の新旧対照。これはもう一目瞭然ですがサイズが違います。
旧版の化粧箱はやや縦長のサイズでしたが、新版の化粧箱はもっと一般的な縦横比で、
具体的に言えばテンデイズゲームズさんの「四人の容疑者」とか「ペッパー」とかと同サイズの箱です。

そもそも旧版の箱サイズは千石さんの話によると「ラベンスバーガー小箱を意識した」そうです。
ただ、ラベンスバーガーの小箱はアミーゴサイズの小箱なんかと違って
ゲームによってサイズがまちまちで明確な規格はないんですね。
なのであくまで「ラベンスバーガー小箱っぽいサイズ」なんです。

なおかつ旧版の箱はあまり見ない特殊なサイズだったこともあり、
新しく版を作るよりは既存の版を流用した方が話が早いということで、
思想としては同じラベンスバーガー小箱似のテンデイズサイズ
(タチキタプリントさんによる通称)を採用することになりました。
この辺、千石さんからはサイズに関する注文はあまりなかったように記憶しています。

それとは別に製造面で千石さんから特に強くお願いされたのは箱表面のエンボス処理でした。
これは写真の光の当たっている部分をよく見て貰えればわかるんですが、
新版の箱は結構しっかりとしたエンボスがかかっています。

旧版も写真では表面はつるつるに見えるんですが、
実は表紙にエンボスがかかっていて千石さんのエンボスへのこだわりというか、
箱の諸々の仕様から強いドイツゲーム愛を感じます。

というか、そもそも同人ゲームで初めて化粧箱を採用したゲームが
実はこの百科審議官だという話を千石さんから伺いまして、
なんと今現在ぼく達が煩悶している化粧箱にお金をかけるべきか否か問題の
すべての元凶は百科審議官にあったという……
(いやまあ、千石さんが化粧箱を採用しなくてもそのうちそういう方向に流れたとは思うんですけども)

 

ちなみに同人ボードゲームで初めて箱にシュリンクをかけたのも百科審議官だそうで(2冠達成)、
これは化粧箱の表面を保護するためにシュリンクが必要だったそうです。
確かに旧版の表面はニスやらPP加工やら表面保護の処理をしていないので
シュリンクをかけないと輸送時の振動で箱がこすれて塗装が剥げちゃう危険性があるんですね。
写真でもおわかり頂けるように角とかフチとかがちょいちょい白くハゲてます。

しかも12年前は今と同じようなボードゲーム専門の印刷屋さんはないもので、
千石さんは箱屋さんに貼り箱を発注したそうです。
なんかもう色々と隔世の感がありますね。

 



続いてメインのコンポーネントであるひもの新旧対照。上が旧版、下が新版です。
まあ、だいたい同じ感じのひもを用意したつもりなんですが、新版の方が若干太いかもしれません。
このひもについては話し出すとべらぼうに長くなるのでまた日を改めて苦労話を開陳したいと思います。

あ、ひもの構成は旧版と同じく3色ランダムです。
箱詰めで間違える危険性もあるので色を固定したくはあったんですが
色々やってるうちにコスト的にランダムにせざるを得ないなーという結論になりました。

 



付箋紙と木コマ。ゲーム的には分類シートと区画マーカという命名がされています。
左が旧版、右が新版の内容物ですが、言わないとどっちがどっちだかわかりませんねこれ。

今回の百科審議官は12年ぶりの再販ということは何度かお伝えしているんですが、
まさにこの12年の歳月によって小さくない影響を受けたのがこの辺のコンポーネントでして、
付箋紙に関して言えば、今の100均ショップってこのタイプの付箋紙は
全然取り扱わなくなっちゃったんですよ。なので調達が面倒……
しかもルール上、このタイプの付箋紙じゃないとプレイに不便なので代替は不可能という縛りもありつつ。

この付箋紙は通販で大量発注する分にはOKだったので取り寄せて解決しましたけど、
小口で調達するのはちょっと難しいので、
今後多くの方に広く遊ばれたとして不足分をどうやってお届けしたらいいものか、
うーん、ちょっと困っています。

 

そして付箋紙以上に調達の困難さを予感させたアイテムが区画マーカとして使用する木コマでした。
このゲーム専用の特注品ですからコストも重いですし、
そもそも12年経った今でも変わらず発注できるものなのか…… という問題がつきまとっていたのです。

で、千石さんから当時発注した業者の方のお名前をお聞きして調べてみると
ホームページはあるものの、店舗が閉店したとか書いてある……
なんかサイトも更新されているのかいないのか…… という怪しい状況。
さすが10年の月日は重いです。

まあ、お願いするにせよ無理にせよ連絡しないことには先に進めないので
「10年以上前にボードゲーム用の木コマを作って貰ったんですが、それと同じものが欲しいんですよー」
という怪しいメールを送ったところ、
なんと「大丈夫です。版が残ってるから印刷もできます」という返答を頂き、
たちどころに問題は解決したのです。
これはマジで幸運でした。

 



ちなみに木コマに関しては事前に代案として3Dプリンターでプラコマを作ったりもしていました。
コスト面ではこっちの方が相当に軽くなるのでメリットも大きかったんですが、
千石さんに試作品をお見せしたところまったく芳しい反応がないというか
「ふーん、こんなのが作れるんですね。ところで木コマはどうします?」
みたいな感じで、そもそも木コマの代わりにプラコマを使うのはどうでしょうという
提案自体が伝わっていないような雰囲気だったのですごすごと引っ込めました。
他の人に見せる分には「別にプラでもいいんじゃない?」という意見が多かったりもしたんですけども。

とは言え、実際遊んでみると木コマは重みがあって触感がいいので
満足度という観点ではやっぱりいいものですね。
その分本体価格に跳ね返ったりもしたんですが、
まあ自分で所持することを考えるとやっぱりこの選択でよかったとは思います。

 



同梱しているルールのサンプルです。
さすがに今の時代にペラ紙はアレでしょうということでこれはカード化しました。
化粧箱を採用しつつも中身は家庭用プリンターで印刷したペラ紙という旧版のアンバランスさは
時代臭を感じさせてくれて手作り感の温かみがあるんですが、
あくまでそれは資料的な価値があるという話であって、新版で形だけ真似ても仕方ないなとw

 



旧版のサンプルルールはサンプルと言いつつも初プレイでは使いづらい攻めたルールが多かったので、
新版では千石さんの監修の元にスタンダードなサンプルルールを増やしました。
サンプルルールの数は単純に2倍になっています。

で、今気づいたんですが、通し番号を間違えてますねこれ……
サンプルルールの5番が2つある……
うーん、完全にぼくのミスではあるんですが、
ゲームの進行にはまったく影響しない部分ではあるのでどうしたものかな……

とまあ、こんな感じで、企画中は部分部分の変更もありえるのかなと思っていたんですが、
最終的にはほぼ原版と変わりない内容に纏まりました。
若干のバージョンアップを図っている部分もありますが、まあ、強調するほどでもないかなと。
旧版が欲しかったけど入手の機会がないとお困りの方には満足して貰える内容だと思います。

 

あ、そうそう、ルールに関しては1点変更が入りました。
ゲームの終了条件が若干変わってプレイ時間を短縮する方向に微調整されています。

ルールのテキストに関しても、構成を今風にしているというか、
ゲームのセットアップと基本進行部分をしっかりと分割しています。
最初は頂いたデータをそのまま流し込んだんですが、
千石さんから「ここ直した方がいいですかね?」と言われて
「実はぼくもそう思っていました!」と便乗して速攻で直したという……
この辺、どこまで原版を尊重するのか、出しゃばっていいのか、
距離感の測り方は毎回悩んでいるところです。