Dilettante @PR_Dilettante
サークル・Dilettanteはゲーム作りが目的のサークルです。
おユ~ロとシチマロによるかわいいデザインによる新しい価値観の提示が自慢です🤔
主にツイッターにてサポート・広報を行います。
よろしくお願いいたします。
- 美味しんボ
- 2017/11/16 15:53
「はい俺のターンね、飛行機探検家探検家、ほら上がり」
「え〜山オカさんずる〜い」
ここは昼下がりの大阪中津はボードゲームスペースDDD。いつも賑わうこの店は当然今日も超満員だ。
名作エルドラドを今ちょうど終えて、勝利の余韻に探検家コマを撫で回してるのが俺、山オカ士郎。
こうみえても天下の西東新聞社の文化部社員なんだぜ。
「も〜!また勝ったからってコマを舐め回して!お店の備品なんですよ!」
勝ちに導いてくれたコマは甘くてうまい。負けたコマは涙のしょっぱい味がする。
そんな当然のこともわからず情緒もなく怒るこの女は同僚のウヴェ田ユー子。すぐに俺に頼る癖にヤらせてはくれない、いけ好かない女だ。
「私達文化部は今日は取材で来てるんですよ!?
今はデッキ構築ゲームがブームだからってことで…」
「んなこたわーってるよ。
ウヴェ田くんがデッキ構築はやったことないっていうから、最近じゃ一番人気で良く出来ていると言われているエルドラドで揉んでやったんじゃないか」
「ええ、山オカさんの最初のマップのインディアンでデッキを圧縮し続けて最後だけ走り抜ける寒いプレイはつまらなかったですがゲームはとても面白かったです!わたしもっとデッキ構築をやってみ……」
「わーっはっはっは、笑わせおるわ!」
と、突然店に入ってくる紫の着物の……まさかあいつは………
「あぁっ!カナイバラ雄山さんだ!」
一気に湧き上がる店内。だが俺の心は冷え切っていた。
カナイバラ雄山は会員になるのに審査が必要で、それも並みの政治家クラスですら平気で弾かれるという伝説のクローズ会「美食倶楽部」を主催する美ボドゲ家でありながら同時にゲーム作家としても超一流、そのセンスは天性のものといわれている。
だが、俺はこの男を許すことができない……。
「エルドラドが最高のデッキ構築とは片腹痛いわ!おまえのような効率を機械的にあげるだけに注力するコンビニの夜勤のサボり店員根性向けのゲームではあるがな!」
「な、なにぃっ!じゃ、じゃあおまえはどんなデッキ構築を知っているというんだ!」
「ふっ、少なくともおまえよりは優れた作品で遊んでおる……では逆に聞くがな、そのエルドラドの欠点におまえは気づいているか?」
「なにぃっ!欠点だと!エルドラドは天才クニツィアが作った、これまでのデッキ構築ゲームという大枠をレースゲームの観点からモデル化し、無駄を削いで作ったこの何年かのデッキ構築ゲームに対する名作家からのアンサーのような作品だ!純粋なデッキ構築のシステムだけの面白みでこれより勝る作品は……」
「ふん、たわけた事を。なぁにがモデル化だ。士郎、おまえはいましがたそのゲームに勝ったそうだが。だが、おまえのその勝ったデッキに最初から探検隊にいるメンバーはいるのか?」
「そんなものは居ない!デッキの圧縮はデッキ構築システムの心臓部分だ!最初の要らないクソカードをいかに圧縮するかで勝ちが決まる」
「語るに落ちるとはこのことだ!士郎、ではプレイヤーであるお前は共に南米大陸に上陸した血を分け同じ釜の飯を食った大事な仲間を、わざと無慈悲に何人も殺すことができる、そんなプレイを強いてようやく勝てるゲームが最高だと?」
「!!!」
「プレイは体験だ、エクスペリエンスだ!貴様はプレイ中一度でもおまえの勝利の為に黙って死んでいったその英霊たちを思い出すことがあったか!おまえのその一位の称号は、かたや洗っても落ちない汚れた血に塗れておるのだ!!」
「ぐっ!!」
「わーっはっはっは、この若造め、おまえよりそこのウヴェ田とかいう女の方がよっぽどゲームを楽しんでおったわ!」
「じゃ、じゃあおまえは、おまえの言う最高のデッキ構築とはなんだ!」
「ふぅむ、丁度よい。ここに来たのもドージン先生とちょうどデッキにまつわるゲームを遊ぶ為だったのだ」
このエエ山ドージン先生というのは、大昔、一品づつ全て手作りが自慢のツボオンナというゲームを三億個手作りしたことで人間国宝に選ばれたキワモノだ。いつも若い後妻をはべらしてるいけ好かないやつだ。
「士郎、ちょうどよい、一緒にみていきなさい」
「なんだ、これは……知らないゲームだぞ……」
「や、山オカさん……?」
広げられたのは……これは…
「これはそこにおる中村が作ったシルバーバレットというものだ」
「はっ、お恥ずかしながら作成させていただきました」
このおっさんは中村と言って雄山主催の美食倶楽部というクローズ会の ボードゲーム長をやっている、いつも雄山の金魚の糞のいけ好かないやつだ。
「ところで士郎……デッキ構築の『デッキ』とはなんだ」
「な、なにを……そんなものは決まっている!!一組のカードを指す言葉、転じて自分の山札のことだろう!」
「ふ、ふふ……」
「何がおかしい!」
「士郎、基本的な誤りに気づいておらんな」
「な、なにを……」
「ボードゲームとはそもそもドイツの文化だ。
デッキがその同じ読みの米国英語のわけがないだろう」
「……あっ!!」
「そう、デッキとはローマ字で書けばde tuki。deとはドイツのことだ。 そしてtukiは当然ツキ。運のことだ。つまりデッキ構築とはドイツ流のツキを構築するゲームという意味だ。そこで、おまえが誉めそやすそのエルドラドとかいう作品にそういった運を構築する要素は適度にあるのか?と聞いておる。なかろう。実際のところ1種3枚のカードを誰が何枚買うかであって、ふっ、そこそこのゲーマーならどうせすぐに買えるだけ買うだろう。そういう意味では序盤には大方勝負はついておる。ツキなどではなく、何回転で丁度ゴールになるかを計算するだけだ。」
「私達文化部は今日は取材で来てるんですよ!?
今はデッキ構築ゲームがブームだからってことで…」
「んなこたわーってるよ。
ウヴェ田くんがデッキ構築はやったことないっていうから、最近じゃ一番人気で良く出来ていると言われているエルドラドで揉んでやったんじゃないか」
「ええ、山オカさんの最初のマップのインディアンでデッキを圧縮し続けて最後だけ走り抜ける寒いプレイはつまらなかったですがゲームはとても面白かったです!わたしもっとデッキ構築をやってみ……」
「わーっはっはっは、笑わせおるわ!」
と、突然店に入ってくる紫の着物の……まさかあいつは………
「あぁっ!カナイバラ雄山さんだ!」
一気に湧き上がる店内。だが俺の心は冷え切っていた。
カナイバラ雄山は会員になるのに審査が必要で、それも並みの政治家クラスですら平気で弾かれるという伝説のクローズ会「美食倶楽部」を主催する美ボドゲ家でありながら同時にゲーム作家としても超一流、そのセンスは天性のものといわれている。
だが、俺はこの男を許すことができない……。
「エルドラドが最高のデッキ構築とは片腹痛いわ!おまえのような効率を機械的にあげるだけに注力するコンビニの夜勤のサボり店員根性向けのゲームではあるがな!」
「な、なにぃっ!じゃ、じゃあおまえはどんなデッキ構築を知っているというんだ!」
「ふっ、少なくともおまえよりは優れた作品で遊んでおる……では逆に聞くがな、そのエルドラドの欠点におまえは気づいているか?」
「なにぃっ!欠点だと!エルドラドは天才クニツィアが作った、これまでのデッキ構築ゲームという大枠をレースゲームの観点からモデル化し、無駄を削いで作ったこの何年かのデッキ構築ゲームに対する名作家からのアンサーのような作品だ!純粋なデッキ構築のシステムだけの面白みでこれより勝る作品は……」
「ふん、たわけた事を。なぁにがモデル化だ。士郎、おまえはいましがたそのゲームに勝ったそうだが。だが、おまえのその勝ったデッキに最初から探検隊にいるメンバーはいるのか?」
「そんなものは居ない!デッキの圧縮はデッキ構築システムの心臓部分だ!最初の要らないクソカードをいかに圧縮するかで勝ちが決まる」
「語るに落ちるとはこのことだ!士郎、ではプレイヤーであるお前は共に南米大陸に上陸した血を分け同じ釜の飯を食った大事な仲間を、わざと無慈悲に何人も殺すことができる、そんなプレイを強いてようやく勝てるゲームが最高だと?」
「!!!」
「プレイは体験だ、エクスペリエンスだ!貴様はプレイ中一度でもおまえの勝利の為に黙って死んでいったその英霊たちを思い出すことがあったか!おまえのその一位の称号は、かたや洗っても落ちない汚れた血に塗れておるのだ!!」
「ぐっ!!」
「わーっはっはっは、この若造め、おまえよりそこのウヴェ田とかいう女の方がよっぽどゲームを楽しんでおったわ!」
「じゃ、じゃあおまえは、おまえの言う最高のデッキ構築とはなんだ!」
「ふぅむ、丁度よい。ここに来たのもドージン先生とちょうどデッキにまつわるゲームを遊ぶ為だったのだ」
このエエ山ドージン先生というのは、大昔、一品づつ全て手作りが自慢のツボオンナというゲームを三億個手作りしたことで人間国宝に選ばれたキワモノだ。いつも若い後妻をはべらしてるいけ好かないやつだ。
「士郎、ちょうどよい、一緒にみていきなさい」
「なんだ、これは……知らないゲームだぞ……」
「や、山オカさん……?」
広げられたのは……これは…
「これはそこにおる中村が作ったシルバーバレットというものだ」
「はっ、お恥ずかしながら作成させていただきました」
このおっさんは中村と言って雄山主催の美食倶楽部というクローズ会の ボードゲーム長をやっている、いつも雄山の金魚の糞のいけ好かないやつだ。
「ところで士郎……デッキ構築の『デッキ』とはなんだ」
「な、なにを……そんなものは決まっている!!一組のカードを指す言葉、転じて自分の山札のことだろう!」
「ふ、ふふ……」
「何がおかしい!」
「士郎、基本的な誤りに気づいておらんな」
「な、なにを……」
「ボードゲームとはそもそもドイツの文化だ。
デッキがその同じ読みの米国英語のわけがないだろう」
「……あっ!!」
「そう、デッキとはローマ字で書けばde tuki。deとはドイツのことだ。 そしてtukiは当然ツキ。運のことだ。つまりデッキ構築とはドイツ流のツキを構築するゲームという意味だ。そこで、おまえが誉めそやすそのエルドラドとかいう作品にそういった運を構築する要素は適度にあるのか?と聞いておる。なかろう。実際のところ1種3枚のカードを誰が何枚買うかであって、ふっ、そこそこのゲーマーならどうせすぐに買えるだけ買うだろう。そういう意味では序盤には大方勝負はついておる。ツキなどではなく、何回転で丁度ゴールになるかを計算するだけだ。」
「ぐ、ぐぐ……」
頭に殴られるような衝撃を受けた。
しまった、こんな基本的な事に気付かなかったとは。
雄山のいう通り、ドイツの国の文化なんだから英語なわけがないことになぜ俺は気づかなかった……。
「山オカさん……」
ウヴェ田が心配そうに俺の顔を覗き込んできた。
俺はというともうこの時点で敗北感でいっぱいだった。もはや言葉も出ず、顔も上げることができない。
俺はボードゲームに対する根本的な理解がなかったのだ。
「漫然とただ周りが名作だBGG高評価だ☆三つフェニックスフォーミーだといわれてるものを貪っておるだけで、実はゲームとはなんだと根本的な部分で考えたこともなかったのではあるまいな?遊ぶだけなら四則演算が出来れば事足りる。面白いだなんだはエルドラドのように結果をボカすだけでも誰もが感じる。だがそうではない。ゲームとは世界のある一側面を切り取ったものか、完全な数字遊びかのどちらかでしかないのだ。そのエルドラドというのはな、いや、貴様の考えるデッキ構築ゲームとよばれるジャンルのほとんどの作品は数字遊びに無理矢理競争のフレーバーを組み入れておる歪さが抜け切れておらん。」
―そしてそれから一時間―
「どうだ、士郎。本当のデッキというものがわかったか?」
「う、うう……」
「士郎には悪いが今回は雄山の勝ち、だな」
とうとうドージン先生がジャッジをくだす。
「面白さがシャッキリポンだわ!」
ウヴェ田までが俺を責める。炎、俺を焼き尽くす……ゲッチュ!
そう俺は間違っていた。
あの時、ゲームマーケット2017秋12/2(土)、I005ブースであのゲーム”ジ・シルバー・バレット”をゲームマーケットで買っていれば……雄山なんかに負けることは……!
「「買おう!シルバーバレット!」」