ピーナツデザイン

言語依存のないボードゲームをデザイン、販売しています。 2021秋、2人用アブストラクトゲーム、VICKE(ビッケ) 2022秋、ブラフ・推測系カードゲーム、FLOPNIK(フロップニク) 2023秋、2人用アブストラクトゲーム、toreros(トレロス) 2025春、2人用非対称アブストラクトゲーム、CATTLE(キャトル) 2026春、2人用すごろく、DETROIT(デトロイト)

DETROITのデザイナーノート
2026/5/12 23:03
ブログ

ピーナツデザインです。 今回は、ゲームマーケット2026春にて販売予定の新作ボードゲーム『DETROIT(デトロイト)』の制作過程についてお話しします。

ざっくり言うと、本作は「車を組み立てながら進める、2人専用の戦略すごろくです。
ゲームの詳細はこちらから。 

ゲームの着想

これまでの作品が動物を使ったものに偏っていたので無機物でなんかやりたいなと、車かなと。
韓国の伝統ゲーム「ユンノリ」の駒を重ねて進むシステムを、車の「組み立て」というギミックに落とし込めないかと考えたのです。

ユンノリはなぜか子供の頃にやったことがあったのですが、運要素が大きいイメージがありました。家族でやるにはいいけど私は2人でしっぽり遊びたいのです。
そのため方針はユンノリ+車の組み立て+戦略性としました。

すごろく系のゲームで戦略といえばバックギャモンです。
詳しいルールは割愛しますが単純なルールでダイス運があるようでかなりの実力ゲームです。
真っ先にバックギャモンのルールを拝借してプロトタイプを作成しました。

新作、いけそうな雰囲気をつかんだ
こっからが長いんだけども#ゲームマーケット2026春 pic.twitter.com/QQRx0V13lk

— ピーナツデザイン (@peanuts_design) January 7, 2026

 しかし、恐ろしく上手くいきません。いけそうな雰囲気ってなんだ。
組み立てるという今回のシステムと2つ以上コマがあると安全地帯になるというバックギャモンのルールが恐ろしく噛み合わないのです。

そこで、バックギャモンのルールを捨て、紀元前の古典ゲーム「ウル王朝のゲーム」から着想を得て「盤面に固定の安全マス(衝突されない場所)」を設置する構造を採用しました。これにより、「いつ合体させるか、安全地帯からいつ出るか」という悩みどころがシンプルに楽しめるようになりました。

3Dプリンターで「理想の確率」をつくる

 本作の象徴である「三角コーン」を振るシステム。 当初は6面ダイスや4面ダイスなどを使ってテストプレイしておりました。
しかし数字が均等に出ると運要素が上がってしまうのです。出る数字に偏りを持たせたいと考えました。
思えば「ユンノリ」も4つの棒の表裏とすることで0と4は出にくく、2が出やすい構造になってるじゃないですか。「ウルのゲーム」も1/2ダイスを4つです。
これで出る数字が絞れてだいぶ戦略が立てやすくなりました。

阿佐ヶ谷テストプレイ会(仮)に参加してまいりました〜
ルールはいい感じの感触🚗
遊んでいただいた方々に感謝🙏 pic.twitter.com/BzpvApJYlu

— ピーナツデザイン (@peanuts_design) February 14, 2026

ただ、これにも問題はありました。確立的には2が出やすいのですが、それだと相手を抜かしても前に進みにくくお互いに叩き合いになってゲームが膠着しやすいのです。

そこでダイスの確率をいじって期待値を3に近づけることにしました。
そのためには表が出やすく裏が出にくい形にする必要があります。
三角コーンダイスの誕生です。

確立を変えるために樹脂の比率を調整した三角コーンを作成→たくさん投げて確立をだす→テストプレイに持っていく。を繰り返しました。
そして一番ゲームが盛り上がるのは6割強という結論に達しました。(後に、この「6割」がユンノリの確率と図らずも一致していることをフォロワーさんに教えていただき、不思議な縁を感じました)

ダイス🎲の変遷
三角コーンをダイスにするってアイデアがデトロイトを完成させたと思う#ゲームマーケット2026春 pic.twitter.com/l6DnJgWeZ1

— ピーナツデザイン (@peanuts_design) May 11, 2026

2人でゆったり遊ぶために削ぎ落としたもの

古典的なすごろく系ゲームには、よく「追加ターン」や「特大の逆転要素」があります。 しかし、『DETROIT』ではこれらを不採用にしました。

  • ウルにあった安全マスを踏んだら追加ターン。
  • ユンノリの全て裏が出たら5歩進める。

DETROITはあくまで戦略的ゲームにしたかったのです。
逆転要素を盛りすぎると「運ゲー」になってしまいます。2人でやる運ゲーってなんかちょっと冷めちゃうんですよね。
ただし車を組み立てることで早く進めるという要素、遅れを取ってる側が相手に衝突できるという要素があるので逆転は起きる構造になってます。 

最後に

『DETROIT』は、伝統ゲームを再解釈しながら今の製造方法で新しいゲームにするという試みで作りました(前作CATTLEと同様ですね)。三角コーンを転がすカジュアルなゲームのようで、常に最善の手を考え続ける戦略的なゲームに仕上がってます。ぜひ体験してみてください。

DETROITは2026春のゲームマーケット土曜ピーナツデザインのブースで販売予定です。若干数ですが後日通販もあります。
ゲームマーケットに向けては予約フォームもあるのでご活用ください。

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