WILD CARDS @WILDCARDS_2203
札幌のボドゲ制作サークル「WILD CARDS」です。「法律で遊ぼう!」を主なテーマに、現職の弁護士がゲームを制作しています。 処女作である「愛人に私の財産の半分を遺贈する」は、ゲームマーケット2022秋において開始1時間で150個を完売しました! 今回はその「愛人」をボリュームアップし、【改訂版】として頒布する予定です!もっとドロドロに、もっとバチバチに!!
- 【弁護士×遺産相続】ゲームの流れと実際の相続手続の流れをいっしょに紹介します2(花形!紛争編)
- 2025/10/26 21:42
お世話になっております。
WILD CARDS のわんです。普段は札幌で弁護士やってます。
ドロドロ系遺産相続バトルゲーム「愛人に私の財産の半分を遺贈する【改訂版】」を頒布いたします(リンクはゲーム紹介ページ)。
ご興味がありましたら、是非こちらからご予約をお願いいたします。
今回は、ちょっと不定期連載的に、弊ゲーム「愛人に私の財産の半分を遺贈する【改訂版】」のゲームの流れを、実際の相続手続と対比させながら、説明しております。
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弊ゲームは、
①故人が遺した財産を調査しつつ、他の相続人候補と戦う準備をする【財産開示フェイズ】(記事公開済)
②相続人の地位をドロドロになって奪い合う【紛争フェイズ】◀
③相続人が確定してようやく遺産分割手続が始まる【精算フェイズ】
の3フェイズで構成されています。
本記事では、そのうちゲームの花形となる②紛争フェイズを説明していきます。
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【紛争フェイズの流れ】
まず、このフェイズ突入時、共通の場には奪い合う遺産(または押し付け合う負の遺産)が並んでいます。(第1フェイズの流れはこちら!)
そして、各プレイヤーには(原則として)同じ枚数の手札が配られています。
この手札を使って、他プレイヤーの相続権を奪ったり、敢えて権利を放棄したり、隠し子を連れてきたり、追加で遺産を探してみたりするのが、このフェイズです。
このフェイズですること自体は至極簡単で、自分のターンで1枚手札を使うだけ。
使える手札がない又は使いたい手札がないときは、フェイズから離脱する宣言をして他のプレイヤーが全員パスするまで待機する(いわゆるハードパス)という流れになります。
全員がパスしたら、このフェイズは終了です。
ね、簡単でしょ!
…とはいえ、このカードを使用して相続関係や財産関係がぐっちゃぐちゃになっていくのがこのフェイズの、ひいてはこのゲームの醍醐味なので、相続実務を絡めつつ、いくつかカードを紹介します!
【実際の相続手続と調査カードの一部紹介】
・「財産追加」

このカードは、追加で財産カードを1枚追加するカードです。
基本的には、相続できそうなプレイヤーがさらに相続財産を増やすために使用することが想定されています。
しかし!財産カードの中には出ている財産を全て借金に変えてしまう「債務カード」というものが存在します。つまり、相続できなさそうなプレイヤーは、このカードを使って相続財産を一気に借金にできる可能性があります。
相続人候補は債務カードを引くリスクを、相続できない人は他人の財産を増やすリスクを、それぞれ抱えながら、このカードを使うかどうかを見極める必要があります。
※ちなみにこのカード、【改訂版】では一部効果が前作より強化されております。前作をお持ちの方は見比べてみてください!
・「親子関係不存在」

このカードは、主に子の相続権を喪失させるカードです。
「おまえと親父との間に親子関係はない!(DNA鑑定書バーン!!)」みたいな展開ですね。
相続法上、子は相続順位が第1位なので、このカードを使って子がいなくなると、次順位の身分(孫や尊属)に相続権が移ります(配偶者は特別枠で絶対に相続分がある)。
この相続権を得る/失うによって、相続人が目まぐるしく入れ替わることになり、そこにドラマが生まれやすくなっています。…というか、ドラマでこういう展開あったな、ということにも多々遭遇します。
なお、配偶者の相続権を失わせる「婚姻無効」や、身分によらず相続権を失わせる「相続廃除の遺言」といったカードも存在します。
※ちなみにこのカードも、【改訂版】では一部効果が前作より強化されております。前作をお持ちの方は見比べてみてください!
・「隠し子の後見人」

このカードは、プレイヤーの身分に関係なく、子の身分を追加するカードです。
実務的に元々隠し子は、相続法上、他の子(嫡出子)よりも劣後する存在だったんですが、現在は法改正され、隠し子も他の子と同等の扱いになっています。
そんなわけで、このカードは、遺産分割の場に愛人と名乗る女が現れ「このお腹の中には、あの人との赤ちゃんがいるのよ…この子にも相続する資格はあるはずよね…?」と宣言しだすような状況を作り出せるカードとなっています。
※ちなみにこのカードも、【改訂版】では一部効果が前作より変更されております。前作をお持ちの方は見比べてみてください!
・「欠格事由」

このカードは、相続権の有無にかかわらず相続権を失ってしまう、要するにババカードです。
実務上、被相続人を殺してしまった人や、それを知りつつ黙っていた人などは、仮に相続する権利がある人でも、その権利が剥奪されます。なので、このカードを引いた人は、「そういう」人だったという意味です。
このカードは使用することができないため、基本的には手札に残り続けます。そして、表になるときはこのフェイズが終了した後になります。つまり、最後のフェイズになって初めて、自分には実は相続権がなかったという事実が、他のプレイヤーに発覚します。
そうなると、棚ぼた的に相続ができるプレイヤーが生まれることになります。自分は関係ないと思っていたプレイヤーが、急に相続の当事者になるという、かなりドラマチックな展開が期待できます。
ちなみに、この欠格事由をうまく利用した話が「99.9」というドラマの中で展開され、思わず「おぉ…」と唸ってしまったことがあります。
以上です。
こんな感じで、弊ゲームと実務の流れとを対比させながら不定期に記事を投稿していこうと考えておりますので、少しでも面白いと思ってもらえたら幸いです。
次回は、ついに最後のフェイズ、③精算フェイズについてご紹介いたしますので、またお会いしましょう!
それでは皆さん、より良い遺産相続ライフを!!
「愛人に私の財産の半分を遺贈する【改訂版】」の取り置き予約はこちら!!
