ひよぺん幼稚園Gamezoo @hiyopenzoo
低価格で満足度の高いボードゲームを目指しています。
- ゲームマーケット初出展で1部売れた話【ひよぺん幼稚園】
- 2025/4/6 23:44
【 概要】
はやとは過去にゲームマーケットに出展したことがあります。
出展経験ゼロ、制作経験ゼロ、チームもバラバラという状況での出展。
結果として、販売数はわずか4部、そのうち3部は身内が買ってくれたものでした。
この記事では、当時のことを振り返りながら、初出展で得られたものについて書いてみます。
【 制作経験ゼロ。スタートは「孤独な戦い」】
私が所属していたのは、ボードゲーム好きが集まる大学のサークルでした。
ただし、普段の活動は「遊ぶだけ」で、制作の経験がある人はゼロ。
しかも、10人いるメンバーのうち、半分は活動に参加しない幽霊部員。
そんななか、「サークルを"部"に昇格させるために、実績が欲しい」 という理由で、ゲーム制作に挑みました。
しかし、メンバーのモチベーションは低く、大半の作業は私ひとり。
イラストのラフやテストプレイを手伝ってくれる程度で、
ルール制作やデザイン、印刷やその他事務手続き、すべて私ひとりで手探りの作業でした。
【 絵が描けないからCADで作成】
「せっかくなら、多人数で遊べるゲームを」
そう考えて3〜5人用のカードゲームを制作しました。
今振り返ると、初制作は2人用にすべきだったと反省しています。
カードは50枚、すべてイラストが異なる完全オリジナル仕様でした。
私は絵が描けなかったため、大学の講義で学んだCADを使って無理やりイラストを作るという手段で乗り切りました。
【 正直、ゲームは面白くなかった】
頑張って作ったものの、完成したゲームはまったく面白くありませんでした。
今でこそ「早めに方向転換する勇気が大切」と思えますが、
当時は「ここまで作ったんだから、もう後戻りできない」と突き進んでしまいました。
実際、制作時間の大半はイラストに費やしており、
イラストを流用してルールを作り直すという選択肢が選べませんでした。
仲間ともっと相談できていたら、違う未来もあったかもしれません。
【 袋詰めは会場で】
やるべきことを「あとでやろう」と後回しにしていた結果、
気がつけばゲームマーケット前日になっても完成していない状態に。
最終的には、前日徹夜でカードの印刷と準備を進める羽目に。
カードは自宅のプリンターで印刷し、名刺サイズの用紙を使って1枚ずつカット。
袋詰めもすべて手作業で行いましたが時間が足りず、袋詰め作業は会場で行うことになってしまいました。
当初は10部の販売を想定していましたが、印刷ミスで完成したのはわずか5部。
そのうち1部は見本として運営に提出したため、実際に販売できたのはたったの4部だけでした。
なお、当時は「チャック横丁」の仕組みがなく、一般ブースで出展しました。
そのため、小規模かつ手作り感満載の作品にもかかわらず、本格派サークルと肩を並べての出展となりました。
チャック横丁とはゲームマーケットの出展プランの1つ。気軽な出展を促すため「外箱なしの袋に入れたゲーム」を出展する形式です。
【 3部は身内に、複雑な気持ち】
出展した4部のうち、3部は身内が買ってくれたものでした。
これは人によるかもしれませんが
「ゲーム自体に興味があったわけではなく、“応援の気持ち”で買ってくれた」
というのが分かってしまうと、あまりいい気持ちはしませんでした。
たとえそれが、面白くないゲームだったとしても、です。
今ではどのような形であれ買っていただけるのはうれしいですし、興味ない人でも楽しめるゲームを提供する、という気持ちが強いです。
【 「人気」と「空気」のギャップを痛感】
出展側から見ると、人気の差が明確でした。
人気サークルには開場直後から列ができ、午後を迎える前に完売して撤収するブースもあるほどでした。
また、当時は来場者も出展者も圧倒的に男性が多く、コスプレした女性の売り子がいるブースは、それだけで目立っていました。
私たちのブースはというと……
ほとんどの来場者に素通りされ、立ち止まる人はほとんどいませんでした。
右隣の人気ブースには長い列ができ、列の一部は私たちのブースの前にまでかかるほど。
目の前に人がいるのに、誰にも見向きもされない──
そんな存在していないような時間が続きました。
【 たった1人のお客さん】
夕方になり、撤退を始めるブースが増えるころ、ある小学生くらいの男の子と、そのお父さんが通りかかりました。
親子連れの来場者は珍しかったので、印象的でした。
一瞬、少年はこちらを見ましたが、すぐに立ち去りました。
しばらくして、少年がひとりで戻ってきて、遠巻きに私たちのブースを見ていました。
出展から5時間、初めて興味を持ってくれたお客さんでした。
「値下げしてでも届けたい」
という気持ちもありましたが、
「途中で値段を下げるのは良くない」
という意見にまとまり、そのまま固唾をのんで待っていました。
結局、少年は立ち去ってしまいました。
悲しかったですが、誰かひとりでも興味を持ってくれてうれしかったです。
――そしたらその少年が目の前まで来て
「1つください」
と、お金を差し出してくれました。
販売部数こそ少なかったけれど、あの光景は今でも覚えています。
「自分のゲームを、誰かが“欲しい”と思ってくれた」。
それと同時に
「制作者でも面白くないと思ったゲームを、しかも小学生には大金の700円で売ってしまい申し訳ない」
という気持ちも残りました。
【 制作経験を、人生の“強み”に】
私は就職活動のため、この出展を持ってサークルを引退しました。
これが実績として意味があったかわかりません。
そもそも部員が少なかったので、自然消滅したかもしれません。
ですが、私にとって大きな財産となりました。
――たとえば、就職活動では「ゲーム制作経験」が自己PRとしてめちゃくちゃ強かったです。
面接官に「カードゲームを自作して販売した」と言うと、かなり興味を持ってもらえました。
また、今の活動にもつながっています。
現在は「ひよぺん幼稚園」として活動しており、この経験で培った
無理をしない制作フローやコンポーネントを減らす工夫を活かしています。
また、いろいろな人に遊んでもらいたいので
低価格で面白いゲームを第一に考えて制作しています。
【 あとがき】
あのとき作ったゲームは正直、完成度も満足度も低いものでした。
あの少年も、1度遊んだら2度と遊ばないでしょう。
そもそも1度でも遊ばれたかすらわかりません。
また、チーム制作の難しさを味わいました。
それでも、あの経験があったからこそ「また作りたい」「楽しんでもらいたい」という気持ちは持ち続けています。
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