Popipopo Games

アナログゲームの制作・販売をしてます。みんなが幸せな時間を過ごせるようなゲームづくりを目指してます。

「鏡の迷宮のドラゴン」制作秘話
2019/10/25 0:43
ブログ

 

初めてボードゲームを作ってみて、時間が経つと共に、我ながらよく出来たなぁと過去の自分に感心しております。なにせ次回作のアイデアを出しても出しても実らず、苦戦しておりますから(笑)
そこでどのような思考を辿ったのか、本人も忘れてしまう前に、記事にして残しておこうかと思いキーボードを叩いてみます。

キッカケとなったゲーム
キッカケはマット・リーコック作「禁断の島」と「禁断の砂漠」です。マット・リーコックは「パンデミック」の作者でもありますね。
このゲームを子供とプレイして、本当に感動しました。子供の成長を感じつつ、冒険している気分になり、こんなにも豊かな時間を過ごさせてくれるなんてと、ボードゲームの素晴らしさを実感したのです。

何か自分でも作れないだろうか。どうせ作るなら協力ゲームがいい。出来れば子供も遊べて15分くらいでクリアするライトな協力ゲーム。そうゴール地点を決めてアイデアを練り始めました。

ひし形の迷宮タイル
このゲームをお見せすると、必ずと言っていいほど着目していただけるのが菱形の迷宮タイルです。この迷宮タイルに辿り着くまで、とても時間がかかりました。
「パンデミック」ではウイルスが、禁断の砂漠では積もった砂が障害となり、それらを取り除くためにプレイヤーはマップを右往左往しますが「禁断の島」だけ若干違い、マップタイル自体が変化し障害になります。この裏面を使いマップタイルとして変化させるとアイデアに着目しました。
通常のタイルゲームだと、裏返す向きによって結果が変わってしまうため、プレイヤー本位となってしまいます(それを許容するのもありですが)そこで上下左右の概念を取り込みました。縦軸を中心にして鏡のように左右反転することで、プレイヤーは結果を見通した上で裏返すことができます。そこからゲーム『MOTHER』のように斜め方向から見た(斜俯瞰)立体的な表現で作ってはどうかと思い、ひし形の迷宮タイルになったのです。



「禁断の砂漠」のオマージュ
プレイヤーの障害として迷宮タイルだけではもちろん足りない事から、魔法使いを設定し、それとは別にクリア条件を用意する。魔法使いを許容できるかどうかのトレードオフ。ドラゴンは「禁断の砂漠」の砂嵐のような立ち位置で、プレイヤーの思惑を介在しない存在として、当初からイメージしました。
「禁断の砂漠」には、沢山の素晴らしいアイデアが盛り込まれていますが、中でも凄いと思ったのが飛行機械の部品の出現の仕方です。タイルを捲るとヒントが現れ、2枚のヒントが交差する地点に部品が出現すると言うもので、これは完全に真似させていただきました。スミマセン。
個人的には本作品は「禁断の砂漠」のオマージュ作品です。ですので「パンデミック」「禁断シリーズ」のファンはぜひ、遊んでいただきたいですね。

ダイス処理
アクション数はダイスを使い、運要素を取り入れる事にしました。このゲームは見通しが立ち過ぎるため、毎回決められたアクション数で処理すると、簡単過ぎるか、逆にすぐ諦めてしまうと考えたからです。
さらにダイスをアクション数として取り入れるには、1~6の差がありすぎるので出目を調整しました。ダイス処理は好き嫌いがあると思いますが、何と言っても直感的に分かりやすいですし、プレーヤビリティも良いので、私は好きです。

簡略化と高速化
魔法使いを倒したり武器チップを手に入れるのにアクション数を消費しない事にしました。プレイヤーアクションは移動か、迷宮タイルを裏返しにするか、どちらかしかありません(アクションの簡略化)
また迷宮の端と端をループさせる事で、移動の選択肢を増やしながらも、ゲームの進行を高速化させました。あの迷宮タイルを捲りたいと見通しを立てた時に、そこに辿り着くまでダイスを何回も降ると言ったまどろっこしさはなるべく排除して、すぐに結果が見えるプレーヤビリティを意識しました。

アドバイスに感謝
迷宮の広さや冒険者の数、魔法使いの数を変え、子供と、またはひとりでテストを繰り返し、ようやく試作品を完成させると、第三者のアドバイスを伺いたくなりました。
そこで仕事上がりに試作品をゲームカフェに持って行って、テストプレイをさせてもらいましたが、そこでのアドバイスが無かったらと考えると、正直ゾッとします。
いただいたアドバイスは、魔法使いの出現をカードによるものではなく、プレイヤーが担当すると言うものでした。

「パンデミック」のように広いマップで沢山の障害があるなら、障害をランダムに出現させるのは良いと思いますが、このゲームは狭いマップで障害の数も少なく、障害がすぐに取り除ける場所に発生する確率も高いです。この場合プレイヤー心理として、素直にラッキーとなるのではなく、手応えがないような感じになります。アクション数をダイス(運)に委ねているのは、出目を調整しているからか気にならないのですが、カードによる魔法使いの出現は、プレイヤーのモチベーションを無意識に下げると言う結論に至りました。

それからまた試作品を作り直し、テストプレイをし、ようやく自分で完成と思える段階に至ったと思います。
ライトな協力ゲームと言うイメージで作ってみたのですが、意外と難易度が高く、後半はシビアな戦いが続きます。とは言え、自分好みでもあるので良しとしています。
もし皆さんがこのゲームをプレイしたら、どう感じるのでしょうか。沢山の方々にプレイして貰える事を期待しつつ、これで「鏡の迷宮のドラゴン」制作秘話は終了です。最後までお読み頂き、ありがとうございました。

【鏡の迷宮のドラゴンについてはこちら】
ゲムマ2019秋 11月23日(土)R71 ぽぴぽぽゲームズ

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