SoLunerG @SoLunerG
SoLunerG(ソルナーゲームズ)です。「未だ見ぬ“遊び”の極点へ。」をコンセプトにオリジナルゲームを創作しています。 ◆フォグサイト[ゲームマーケット大賞2019大賞-アークライト] ◆マリオット[商業出版-やのまん] ◆ダークリープ[IPコラボ作-KADOKAWA] 等
- FOGSITE/フォグサイト 審査通過のご報告とデザイナーズノート
- 2019/10/5 12:00
■はじめに
ゲームマーケット2019春にリリースした
迷路探索ゲーム、FOGSITE(フォグサイト)。
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この度、「ゲームマーケット大賞2019」の一次審査を通過し、
さらに二次審査も通過致しましたことをここにご報告させて
いただきます。錚々たるタイトルから選出していただき非常に
光栄です。
おかげさまでここまで進むことができました。「FOGSITE」を
手に取って下さった方、遊んで下さった方、応援して下さった
皆様に心から感謝を申し上げます。
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どのタイトルも大賞として相応しいものばかりなので、この次に
進めるのかは正直分かりませんが、ゲームマーケット2019秋には
2nd Editionとして再販も行うので、これをきっかけにより多くの
方に遊んでいただけることを期待しています。
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■デザイナーズノート
審査通過を記念し、FOGSITEが完成するまでを振り返ります。
SoLunerGのゲーム制作の様子が分かるかと思います。
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■INDEX
▽きっかけは過去作品
▽「体験」をデザインする
▽プロトタイプを作ったものの...
▽たくさんの人とたくさんのテストプレイを
▽箱の使い道を考える
▽特別な世界観を探る
▽テストしたくなるモックアップ
▽縁は思いがけないところから
▽最大の難所「説明書」
▽やはりデザイナーは偉大
▽感動の瞬間
▽手間<遊びやすさ
▽転機は突然訪れるもの
▽そして伝説へ...
▽きっかけは過去作品
2015年に「Dの迷宮」というPnP方式のゲームを公開しました。
この頃はSoLunerGを創設したばかりでオリジナルゲームの制作
経験もなく、この「Dの迷宮」もシステムは「スフィンクス」、
特殊効果やテーマは「ドラゴンクエストダンジョンR」を参考に
したリメイク風ゲームで、オリジナル要素は少な目でした。
久々に「Dの迷宮」をプレイし「迷路探索ゲームを作りたい」と
思ったところから制作がスタートしました。
(無料でDLできるので良ければ遊んでみて下さい。)
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▽「体験」をデザインする
「迷路の構造をじっくり考える」ゲームにしたいと思い、あえて
システムやテーマを固定せず、最も上手く生かせる方法を色々と
模索しました。
この時点では2人用の対戦ゲームでしたが、「呪いのミイラ」で
非対称型があると知り「迷路の構造を"みんなでワイワイ"考える」
と体験できる内容を掘り下げていきました。
結果としてインタラクションが増え、全員で協力して推理する
形になったので、この移行はとても良かったと思っています。
▽プロトタイプを作ったものの...
・一方がタイルを並べて迷路を作り、もう一方が探索。
・探索結果に応じてタイルを並べてマッピング。
・壁にぶつかるまで手番を続けることができる。
・別の場所からスタートした仲間との合流を目指す。
という要素は今と同じですが、遺物カードやガーディアンの
手番は無く、淡々としたプレイ感でした。
この時点では没になる可能性もあり、他のアイデアと並行して
テストを行っていました。
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▽たくさんの人とたくさんのテストプレイを
BGEngineというオンラインテストプレイツールを利用し、
βテスターを募集しました。
「たくさんテストプレイすること」を目標に、たくさんの方に
ご協力いただきました。ここでかなりシステムが固まりました。
具体的にはカード効果が定まったり、ガーディアンの攻撃と
制限時間が連動するようになりました。
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▽箱の使い道を考える
HABA社を始めとした海外メーカーには箱を上手く活用した
作品がたくさんあります。
以前からこのような「箱も使うゲーム」に憧れていました。
最初は「スフィンクス」式に机に丸タイルを並べて迷路を
作っていましたが、ちょっとした衝撃で迷路が崩れる問題に
悩まされることとなります。
タイルを四角にして箱に入れるとこの問題は簡単に解決し、
さらに非対称型だと衝立は1つしか必要なく、箱の蓋を
組み合わせるアイデアも同時に生まれました。仕切りを追加
することで横から見える心配もなくなりました。
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▽特別な世界観を探る
ある程度システムが出来、テーマについても考え始めました。
「暗いダンジョンに挑む勇者一行」など色々と考えましたが、
ありふれていないテーマにしたかったので「暗闇」ではなく
「霧」に、「ダンジョン」ではなく「古代遺跡」に変えて
タイトルもFOG(霧)SITE(遺跡)と早々に決め、ロゴまで作り
モチベーションを高めました。
世界観が定まったことで遺物のイメージも固まり、設定や
フレーバーテキストなどを組み上げていきました。
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▽テストしたくなるモックアップ
イラストレーターの相方にお願いしてボックスアートやタイルを
描き下ろしてもらい、モックアップを制作して、テストプレイを
行いました。テストする側のモチベーションのためにもある程度
世界観に入り込めるようにすることを心がけました。
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▽縁は思いがけないところから
「カトリーナのトレンド探偵-オリジナルのアナログゲーム-」
(NHK)にて、個人でゲームを制作している人として取材して
いただいたり、「地球最後の夜に」のMV(しなまゆ)に小物
として使っていただくなど予期していなかった嬉しいご縁を
いただきました。
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▽最大の難所「説明書」
毎回苦戦する説明書ですが今回も苦しめられました。何度も
改訂を重ね、時間をかけて制作しました。
複数の方に校正していただいたので内容に不足はありません
でしたが、それでも時間はかかりました。
可読性向上のために行った、改行の位置調整が特に大変でした。
(この文章も改行位置に気を付けて執筆していますが、画面の
サイズによってはズレて表示されるかもしれません...)
頭の中にあるものを全く知らない人に分かるようにするのは
とても難しいことなのだと説明書を作る度に思います。
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▽やはりデザイナーは偉大
名古屋テストプレイ会には非常にお世話になりました。
あのI was gameの上杉カレーさんやみさき工房のみさきさんを
始めとするデザイナーの方々が集うレベルの高いテスト会です。
ルール読みからのテストや建設的なご意見をいただき、ここで
一気にブラッシュアップされたように思います。制限時間となる
タイル枚数もここで調整できました。
▽感動の瞬間
印刷をお願いしていたBGM盤上遊戯製作所様から大量の
段ボールが届きました。
ぴったりはまる化粧箱、抜きやすいチップなど、品質の
高さにはいつも驚かされます。この時が最もテンションが
上がりますね。
開封の儀を楽しんだ後はひたすらマシーンと化して箱詰め
作業ですが、「音楽を聞く時間」とすることで、なんとか
乗り切ることができました。
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▽手間<遊びやすさ
蓋が倒壊する対策として急遽、磁石を貼ることにしました。
200個分の貼り付け作業はなかなかに骨が折れましたが、
愛を持って最後まで完遂することができました。
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▽転機は突然訪れるもの
いつもお世話になっている長谷川登鯉さん主催の事前体験会にて
FOGSITEを体験していただいたことから注目が集まりました。
口コミの影響が大きく、予約も一気に伸びました。
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▽そして伝説へ...
おかげさまで過去一番の結果となりました。たくさんの反響を
いただいたので、その日のうちに再販を決めました。
ゲームマーケット終了から数日と経たないうちにプレイ報告も
上がり、とても嬉しかったのを覚えています。
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改めてこうして振り返ると、本当に多くの方に支えて
いただいていることを実感します。
いつも本当にありがとうございます。
ここまでご覧いただきありがとうございました!
ゲームマーケット2019秋は土曜日のみ「T17」での出展です。
一体型で試遊もできますので是非お立ち寄り下さい。