Y.Seminar

アナログゲーム製作サークルのY.Seminar(ワイゼミナール)です。
2020秋で新作『うっかりペンギン』を頒布予定です。
これまでオリジナルボードゲーム『トレコマ~TRADE×COMMERCE~』シリーズ、『バトルカンパニー~野望の列島~』、『○剣伝説』、『クリスタニアの宝物庫』を制作いたしました。

【19秋新作】クリスタニアの宝物庫制作レポ②
2019/11/5 0:37
ブログ

こんにちは。説明書の入稿作業がなかなか進まないY.Seminarです。

ゲムマ2019秋新作ボドゲ『クリスタニアの宝物庫』の
制作レポートの続編をお送りいたします。

前回の記事はこちら→【19秋新作】クリスタニアの宝物庫制作レポ①

そんなわけでとうとう宝石トークンの着色作業日がやってきました。

1.ミッション内容

Y.Seminarメンバー3人が某所のガレージに集合し、作業の準備をします。
作業の特性上、場所の選定はかなり重要でした。
公共の場は絶対NGですので、周りに迷惑のかからない屋外が
必須条件であることを考えると、我々が用意できる場所の中では
ここのガレージ(私有地)しかありませんでした。
もちろん周囲は田んぼなので通気性も良いですし近所迷惑の心配もありません。

まず今回のミッション内容を確認しておきましょう。
・透明な宝石トークンを3色(赤青黄)に染色する

たったこれだけですが、
染色しなければいけない宝石トークンは約18,000個あります。



目の前に広がる大量の透明アクリル素材を前に呆然とします。
(※違法薬物が検挙されている図ではありません。)

しかもスケジュールの都合上、わずか一日でこれら全ての宝石トークンを
染色しなければならないというまさしく地獄の作業が始まりました。

2.準備

我々が事前に用意したのは以下です。

・鍋(汚れてもいいもの)
・カセットコンロ
・ザル(平ザル、取っ手付きのテボのような深いザルなど)
・バケツ
・雑巾
・汚れてもいい服装
・軍手
・作業台と椅子
など

さらに我々は効率化を図る必要がありましたので、
リサイクルショップで「大きい家庭用鍋」「パスタ鍋(ザル付き)」「一斗缶」
を手に入れ、3つの鍋で3色同時進行で染色する作戦に出ました。
ちなみに青班、赤班、黄班とそれぞれ一人一色ずつ担当しました。

また、カセットコンロは都合により2つしか用意できなかったので
ガレージに置いてあったバーベキュー用グリルを使います。
肉を焼く以外で炭火を起こす羽目になるとは思いませんでした。



3.作業開始

さっそく鍋に染料と70℃前後のお湯を1:20の割合にして希釈液を作ります。
そこに透明な宝石トークンをひたひたになるまで投入してしばらく煮込むのですが、
染料パッケージ裏面のマニュアルに記載されている3-5分だと色が定着しませんでした。
結果的に今回のような3センチほどのアクリル素材だと25分弱漬け込むと
ベストな色味が出ることがわかりました。



温度を沸騰直前(ポコポコ小さな気泡が出てくるくらい)に維持し、
時々かきまぜて様子を見ながら煮込みます。

染色後、ザルで掬って揚げて、一度キレイな水に晒します。
そのあと天日干しで水分を取ります。



作業を羅列すると
・アクリル素材を鍋に投入
・温度調整と時々攪拌
・染色した宝石をザルですくい真水で洗う
・天日干し
・宝石を乾いたタオルで拭き水分を取る
・色別・形状別に仕分けてダンボールに詰める

これらの行動を全て一人で同時進行で行なっていく必要があります。

思った以上に忙しく、体力が必要な作業です。
作業中、我々は一体何をやっているのだろうか。
ふと我に返り、乾いた笑いが何度もこぼれました。

4.三つの鍋とアクシデント

作業が手馴れていくにつれ、三つの鍋の特性がわかってきました。

・普通の鍋
こちらは実家にあるような大きめのものを使用しています。
量もそれなりに入りますが、口が大きいためか、染料がどんどん気化して減っていきます。

・一斗缶
蓋が取り外しできるタイプを使用しています。
それなりの深さがあるので他の鍋よりも
1ロット当たり多くの量を投入できます。
注意点としては鍋底が薄いので火の温度が伝わりやすく
素材が溶けてしまう危険があることと、
口が四角のため、使用するザルの形に注意しないと
宝石が一度に取り出しにくくなります。

・パスタ鍋
内側に金属製のザルがあるので、水揚げはザバッとできますが、
小さいものしか買えなかったため一度に染色できる数が少なかったです。
それに後半はザルの取手の部分が宝石トークンの重みに耐えきれずに外れてしまい、
染料が大量にこぼれてしまうというアクシデントに見舞われました。
なぜパスタ鍋は宝石トークンの重さに対応してないのか!
我々は眼前の惨事から逃避し、天を仰ぎました。

そろそろ日が暮れようとしてました。



溜まっていく疲労と擦り減っていく心を引き換えに
次々と染色職人として覚醒していくメンバー。
ゾーンに入るとはこういうことでしょうか。

作業もキューブ型、クリスタル型と終わり、
最後のダイヤ型に着手したときに
今回最大のアクシデントが我々を襲います。

ダイヤ型だけなぜか染色スピードが早いのです。
通常20分以上かかるのに、ダイヤ型だけ20秒。
動揺が全体に広がります。
慌てて取り出すも既に色が濃すぎてしまい、
また表面が一部溶けて他の素材と接着してしまいました。

結果的に1ロット全て廃棄せざるを得ないことに。

原因としては憶測ですがダイヤ型のみポリスチレンで、
他のアクリルより染まりやすい素材のようです。
対策としては温度を60℃ほどに下げ10~20秒ほどで
アクリルと同等の色味になりました。



5.終了

他の方がやる場合のアドバイスとしては

大事なのは
・温度>時間>濃度
・素材によって適正値があるため、まずは少量で試してみるのが大切
・鍋底に直接素材が接すると溶ける原因になるので注意

ちなみに試作の時に常温の原液に一晩漬け込んでみましたが
まったく染まりませんでした。



そして長かった作業が全てが終わり、
風呂に入って身体の汚れを落とし、
遅めの夕食を迎えたのは夜の12時近くでした。


って、鍋はもういいよ! ( 完 )

 

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ここまでお読みいただきありがとうございます。
一体何を見せられているんだとお思いの方も多いかと
思われますが、これはボードゲームです!!!!

『クリスタニアの宝物庫』



当日の取り置き予約も受付中ですので
ご興味持っていただいた方はぜひ宜しくお願いいたします。