大塚健吾 @kengo6312
『サラウアバク』 『シノミリア』 『理想の納豆』 『行けたら行くよ!』 『ギリギリカレー』 を作りました。
- ボードゲーム《ブックメイカーズ》の作り方③【フレーバー】
- 2018/1/16 0:00
こんばんは。大塚健吾です。
制作話。前回の記事はこちらです。
http://gamemarket.jp/blog/book14/
今回は第3回で、前2回を読んでくださった方から
ありがたいことに次のコメントをいただきました!
「大塚さんを見直しました!意外と考えてたんですね!」
……ありがとうございました!
ただ、まぁ、あれですね。
「ボドゲ作り?別に考えたりとかはしないけどなぁ、アイデアが降ってくるんだよね!」
とか
「日常で感じた嬉しかったことや楽しかったこと、それがそのままボドゲになるのさ!」
やら
「君と話してるこの時間もコミュケーションゲームさ。そう、『恋愛』という名のね!」
みたいなキャラでいくことも可能だったわけですよ!
そんな計画はありませんが、とりあえず、その計画は頓挫です。
①テーマを考える
②テーマがどう面白いか考える
③何をすればテーマの要素を楽しめるか考える
というところまできたんだったかな。
制作期間約1年の内の2ヶ月と1週間が終わったんでした。
で、続き。
④テーマの魅力が伝わるフレーバーを考える
余談ですけど、コレ、あれですね、
③だけテーマから始まっていないのがとても気持ち悪いですね。
しれっと修正するかもしれません。
そんな感じでフレーバー。
まず、以前書いた様に言葉がややこしいのでこの記事ではどういう定義かを。
“テーマ”
→「この作品は◯◯だから面白い!」の◯◯の部分
“フレーバー”
→その作品の見た目やストーリーや設定にあたる部分
そんな感じでお願いします。
フレーバー。
『マリオ』なら配管工のオッサン(26歳前後)が亀の王様にさらわれた姫を助けに行く
『カタン』なら未開の島の開拓
『アグリコラ』なら農場経営
『ドミニオン』なら王国の発展
なんかそういうヤツです。
このフレーバーについてどう考えるかについてなんですが、
結論から言うと、大事な事が2点あると思っていて、僕は
【最もテーマと一致した物にする】
というのが良いんじゃない思っています。
(もう1つは後述します)
そもそもフレーバーとはゲームのどういう要素なのかって話ですが、
コレも大きく2点あると思っていて、
1.プレイヤーがゲームのプレイに集中しやすくなる為の要素
ゲームの世界観に入りやすくなる要素
って言うとなんかややこしいけど、そんな感じです。
コレが意外と大きくて、
ボードゲームは一般的に、ゲームを持っている人や詳しい人が
その初見のプレイヤーにルール説明をするってところから遊び始める事が多いです。
このルールを聞いて理解するっていうのは結構大変な事で、
フレーバーはその理解の助けになってくれます。
長い説明や細かいルールも
それらが全て、フレーバーで統一されたストーリーで語られるのなら
結構ちゃんと入ってきたりします。
また、デジタルゲームと違って絵や現状を表す設定文が少ないボードゲームだからこそ、
“今、プレイヤーである自分は設定的に何をしているのか”
というのを見失わない様にする為にも大事です。
(余談ですが、そのあたりにめっちゃ厳しい“フレーバー警察”の友人がいて、その方のお話も今度語ります)
……ただ、正直、フレーバーの本当に大事な要素は次です。
2.ゲームが話題になるかどうかを6~7割決める要素
コレね~、ホントね~。
や、っていうかね、僕らゲムマに出展した人の多分大半が思う事があって、
「結局外見なのかよ!もっとオレらの中身を見てくれよ!!」
という男の嘆き。
ここで言う中身というのはゲームのシステムやなんかの話ですね。
まぁ、冷静に考えてみれば仕方ない部分もあるんですよ。
自分自身、人に何かゲームの話をするときはまずフレーバーから入りますからね。
というか、システムだけだとあんま伝わらないし。
例えば、次のゲームのタイトルを当ててください!
複数ラウンド行う事も想定されるシンプルで奥が深いバッティングゲームで、使用するコンポーネントが最も少ないタイトルの一つ。人数を選ばすに、運要素が一切ない心理戦を楽しめる。プレイヤーは手持ちの3種の手役から1役を選びスタックする。この際どれを選んだかブラフの宣言をしても構わない。日本では最も競技人口の多いゲームであり、ある元5人組(6人での活動もある)の芸能グループの中で最も若い人物により、初手は全員が共通の1役を選ぶ事でタイミングを合わせるというルールが提案され、広く定着した。
答えわかったでしょうか?
……はい、そうです。『ジャンケン』ですよ。
話逸れましたが、
話題になる為にフレーバーが大事という話。
前者の要素についてはゲームを良くする為の作業なので抵抗ないですが、
後者の要素、話題になる為にごちゃごちゃやるというのはなんかちょっと抵抗あったりもします。
ただ、
売る為にって言うとなんかゲスい感じしますが、
ゲーム作ったときに
“このゲームは特にこういう人(性格だったり好みだったり)にやってもらいたい!”
というのはあって、(ターゲットとかって言うとまたあれですけど)
ちゃんとその人に興味を持ってもらえる為に頑張ろう!とは思えます。
そんな感じです。フレーバー。
という訳で『ブックメイカーズ』の話です。
とりあえず、なんだかんだで、こんな見た目に辿り着くわけですよ。
『ブックメイカーズ』
テーマは『少年漫画のトーナメント編を読んでる気持ち』
で、
フレーバーは『架空の少年漫画の最終章のトーナメント編予想、読者アンケートで原作者大塚を操る』
という物です。
で、コレを話すと驚かれるのですが、
フレーバー、架空の少年漫画ではない可能性もありました!
表現するべきは『少年漫画のトーナメント編を読んでる気持ち』で、
その為に適したフレーバーが他にあるのであれば絶対に少年漫画自体にこだわるという必要はないわけです。
また、少年漫画的キャラクターのイラストというのは
海外のボードゲームに親しまれてる方にとってはそれらと絵のテイストが異なる為
“カッコ悪い”と思われてしまうというリスクがあります。
では、どの様な案を考えたのか。
A案 料理漫画のバトルトーナメント
結局マンガ案。
こちらのメリットとしては
『理想の納豆』、『ギリギリカレー』といった食べ物のフレーバー
『行けたら行くよ!』の『まじめ系クズの日常』という漫画作品のフレーバー
それらの集大成として作ってるんだぜ感を伝えられるので僕のテンションが上がる!
という物があります。
B案 甲子園 母校を応援したいという思いがあるが、野球ファンとしての眼で優勝高校を予想
よく知りもしない甲子園案
こちらのメリットとしては
フィクションではなくノンフィクションを置くことで、
特定の人に対してはより強く感情移入させる事ができそう。
また、広く話題にもなりやすそうなフレーバーとも言えそう。
C案 国王陛下に忠誠を誓う騎士達のトーナメント。プレイヤーは彼らのパトロンであると同時に優勝者が誰かの賭けを行い……
なんとなくそれっぽい案
こちらのメリットとしては
イラストなどもリアルっぽい感じに描いてもらう事で、
非常に国産ゲームっぽくない雰囲気を漂わせ、
なんかこう、いろんな人を欺く事ができるかもしれません。
そんな感じにいろんな案を出しました。
そのどれもが魅力的で僕は悩みました。
期間で言うと3週間くらいは悩みました。
大事ですからねフレーバー。
で、そんな風に悩んだときには
自分の心の声に耳をすませる事にしています。
心の声はこう言っていました。
めんどくせぇ!!!
気に入られる為に見た目考えるとかそういうのはいいんだよ!!
もう知らないよ!!
少年漫画のトーナメント編の面白さを伝えるんだから少年漫画以外に何があるっていう話だよ!!
はい!決定!少年漫画を作ろうぜ!!
僕が一番面白いと思う物を作るんだよ!!
そんな過程を経てフレーバーは決まりました。
そして、タイトルが『ブックメイカーズ』に決まりました。
次にやったのは
自分を漫画原作者だけ本気で思い込む事です。
こちらコンポーネントの一つ『優勝予想コミックス』の1ページ目
そういうのを全力でやりきっています。
あ、後述すると言ったフレーバー作りで大事だと思ってるもう1つを言いますね。
【「コレ作ったヤツ絶対アホ!」と言われる事】
強いて、今作のフレーバーで誰に届けたいかって言うと、主に2つで、
・少年漫画愛のある(元)ジャンプ好き仲間
こっちは言わずもがな、だと思いますが、
より強く届けなければと思って作ったのがもう1つの方で。
・なんか知らねぇけど面白そうな事やってんじゃん?って思う人
そんな好奇心の強い方。
正直、そういう人がどれだけいるのか不安もありましたが、
幸い、僕らボードゲームファンはそもそも大体みんな好奇心が強いからボードゲームファンである事が多く、
いろんな方に支えていただけました!!ホントにありがとうございます!
やりきるとそういう方にも届く様です。
そんな感じです。フレーバー。
その他諸々のフレーバー見てくださる方、こちら公式サイトです。
http://bookmakers.sakura.ne.jp/
という訳で、回を重ねる毎に長くなりますが今回は以上です。
ようやく約1年の制作期間のうちの3ヶ月が経ちました。
次回はゲームバランスとかその辺の話をします。
1月23日(火)0時に更新します。
あと、そうだ!ゲムマ大阪出展します!
関西の方のお話を聞かせていただけるのを楽しみにしています!
「僕『喫茶安元』の構成作家ですよ!」
って言って伝わったら嬉しいですね。
続きはこちらです。
http://gamemarket.jp/blog/book17/