あらたま農園企画開発部

おいしいぶどうと楽しいゲームを作る会社です。 本業はぶどう農家ですが、代表社員二人でアナログゲームを制作しています。

2人対戦用同時ターン制カードゲーム「Five for the Money」のご紹介【2026秋新作】
2026/9/11 23:56
ブログ

こんにちは。あらたま農園企画開発部です。
今回は、Icarian Digitsを紹介した前回の記事に引き続き、2026秋に頒布する「Five for the Money」について詳しく紹介していきたいと思います。
我々あらたま農園企画開発部は10/18(日)の単日出展。ゲムマ2日目はぜひ我々のブースにお越しください!

Five for the Moneyのゲームページはこちら

ルールについて

Five for the Moneyは、2人対戦用の同時ターン制カードゲームです。
それぞれのカードには「強さ」と「プレイ時の効果」という概念があるため、トレーディングカードゲームやローカルルール有の大富豪をイメージしていただくと概要が掴みやすいかもしれません。
一方で、「2人のプレイヤーが同時にカードをプレイする」という特徴から、手の内の読み合いが勝利のためには非常に重要になります。
お互いの手がバッティングすること自体には特に大きな意味はありませんが、相手が何をしてくるかによって自分の取るべき手が変わるという点はいわゆる「バッティングゲーム」にも近いプレイ感かもしれません。

 

ゲーム開始

最初に内容物のカードを裏側の色に従って16枚ずつに分け、特殊カード1枚(「0」)以外の15枚をよく切って山札にします。
山札になるカードは両プレイヤーとも1-5の数字が各3色1枚ずつの内容です。
「0」のカードは「待札」と呼ばれるエリアに置いておきます。(場所的には山札の横ですが、詳細は後述します)
この山札から3枚の初期手札を引き、コイントスを行って当てた方が先にコイン(ルール上使用するトークンです)を持つプレイヤーとなってゲームを開始します。

ターンの流れ

双方のプレイヤーは毎ターン、

  • 手札から待札に出すカード
  • 待札から場札に出すカード
    の2つを決定し、この決定を両プレイヤーが同時に公開します。(※どちらかを、あるいはどちらも出さないという選択をすることもできます。)
    このゲームにはターンごとの勝利という概念がありますが、その際「場札」にあるカードの数値を比べてより大きい方(特殊効果により例外あり)がそのターンの勝者となるため、より直接ゲームに影響を与えるのは「待札から場札に出すカード」の方です。
    ただし、手札のカードを直接場札に出すことはできず、場に出るためには一度待札を経由する必要があります。(こちらも例外あり)
    そのため、基本的にはお互いに相手がどんなカードで勝負してくるかが見えた状態で自分の行動を決めることになるわけです。

ただし、手札から待札に出すカードも、単に一旦公開されるだけのカードではありません。
それぞれのカードに書かれた「効果」を発揮するのはこちらのカードです。
山札に入るカードの効果は全5種類(※同じ数字なら色が違ってもカード効果は同じ)。そのどれもが、大小はあれどそのターンの勝敗に影響を与えるカードになっています。

場札に出すカードと待札に出すカードのコンビネーションにより相手の選択を上回り、ターンの勝者を目指すのがこのゲームの戦い方の基本となります。

ターンの後処理

手を決めて効果を解決し、お互いの場札の数値を比べて勝敗が決まったなら、勝者のプレイヤーは自分の場札を「勝札」という場所に移動させます。敗者は場札を裏返して「捨札」に送ります。

ゲームの勝利条件は、この「勝札」に、同じ色のカード/連続する数字のカードを3枚揃えること。
カードの色は3色あります。勝利条件に勝札の総枚数は関係ないので、5回ターンの勝者となったプレイヤーが3回しか勝者になっていないプレイヤーに負けることもよくあります。

捨札は裏向きになりますが、お互いの勝札は常に公開されているので、「相手の勝利条件の進み具合」も相手の次の手を読む重要な材料になります。
例えば相手の勝札に4と5が、相手の場札に3があるなら、相手はその3をなんとかして勝札に送り込みたがっているはず。
その情報があれば、「自分の場札を考えると相手が3を勝札に送るためにやってきそうなことは……」と、より精度の高い予測ができるようになるでしょう。

場札からカードを移動させた後は手札の交換。
両プレイヤーはそれぞれ、手札を1枚だけ残して残りを裏向きで捨札に送り、その後山札から2枚のカードを引きます。
1ターンに2枚カードを手札から出すことはできないので、この時必ず1枚は手札を捨てることになります。(1枚も出さないことはできるので、2枚捨てることもあります。)
次のターン以降に使いたいカードが2枚あっても、どちらも残すことはできないというわけです。どちらがより役に立ちそうかを的確に見極めることが求められます。
もちろん、新しく引いてくる2枚の中により役に立つカードが入っていることもあります。次に引いてくるカードの内容を残り山札から大まかに推測してこれからのプランを立てるのも有効なテクニックになるでしょう。

コインの役割

ここまで、こともなげに「手札から待札に出したカードの効果を解決する」と書いてきましたが、カードを出すのは同時であっても、効果の解決を同時に行うわけにはいきません。カードの中には相手のカードに対して干渉するものもあるので、解決の順番次第でそのターンの勝敗が変わってしまうケースがあります。
その時用いるのが「コイン」です。効果の解決順序は常に、「コインを持っている方のプレイヤー」→「持っていない方のプレイヤー」と進めます。
また、両プレイヤーが場に出したカードが同じ数字であった場合にもコインを参照します。この場合も引き分けにはならず、コインを持っているプレイヤーがそのターンの勝者となります。
ゲーム中コインが移動するのは、相手からコインを得る効果を持つ「5」のカードが手札から出された時のみです。
カードによってはコインが自分にあるときと相手にある時で強さが変わるものもあります。一番大きい数字であるために場札として強力な「5」のカードですが、効果を発動させるタイミングにも気を配るとよりうまく使えるかもしれません。

プレイの勘所

「0」のカード

最初に特殊カードとして山札から除き、最初から待札に置いていた「0」のカード。
このカードはいつでも場札にすることができますが、そこから勝札や捨札に移動することはなく、一度場札にするとゲーム中二度と使えません。
代わりに場札としての効果は非常に強力で、全ての数字に無条件で勝てるというもの。(0同士がかち合った場合のみ例外で、この時はコインを持っている方が勝者になります。)
ゲーム中一度だけ使える最強のジョーカーのようなカードというわけです。ただし、それでターンの勝者になっても勝札にならないのでゲームの勝利条件には貢献できません。
そのためこのカードの役割は、相手が通したがっているカードに合わせて場に出し、問答無用でそのターンの戦略をカットしてしまうこと。
相手がどうしても勝札に送りたかったカードを捨札に送らせ、相手の勝利を遠ざけるためのカードです。
どこでこの「0」を切るかがプレイヤーとしての腕の見せ所になってきます。

各カードについての詳細

上画像の「カード図鑑」を見れば分かるように、このカードは基本的に、数字が小さいカードほど効果が直接的に強く、大きいカードほど効果が与える影響が軽微になるようにデザインされています。(0を除く。)
基本的には数字が大きいほど場札として強いので、場における強さと手札から出した時の強さが反比例するようになっているわけです。

「1」「2」は、「本来勝てない場札で勝利する」ためのカードです。
「1」は全カードでも最も直接的にそのターンの勝敗に大きな影響を与える、1ターン限定で強さを逆転する効果。自分の弱いカードで相手の強いカードに勝ててしまうということで、うまく決まった時のリターンは最も大きくなるでしょう。
「2」はこれに対してやや変則的な効果で、「相手の場札を勝札に送ることで場に自分のカードしかない状態を作り、相手不在での勝利を目指す」というもの。相手のカードも勝札に行くので、相手にも利益があります。
ただし、このゲームの勝利条件において重要なのは、勝札の枚数ではなく内容。相手の場札が勝利にあまり関係なく、自分の場札が勝利に直結するような場面でこの「2」の効果を通せれば、得られる実質的な利得は両プレイヤー間で全く異なったものになるでしょう。

「3」「4」は、相手との読み合いで有利に立てるカードです。
「3」は相手の戦略を見てから場札を出し直せるという効果。「同時にカードをプレイするから読み合いが重要」とここまで何度も言っていることからも、この「一方的な後出し」が多くの場面で活躍できる効果であることは伝わるのではないかと思います。
「4」は相手に見えないところからいきなり場札になる効果。これも「場札になるのは一度待札を経由してから」というゲームの前提を覆すタイプのカードです。より対応できる場面が広いのは「3」の方ですが、例えば相手が場にカードを用意できない1ターン目にいきなりプレイして高確率で勝札に送り込むなど、「4」にしかできないことも多くあります。

「5」は効果が与える影響は限定的ながら、場札として「4」より強い点が重要な個性です。
「4」は見えない場所からいつでも場に出てきうるカード。そのため、「1」から「3」のカードは場に出す時、仮に相手の場に脅威がなかったとしてもいきなり乗り越えられてしまうリスクを背負っていますが、「5」にはそれがありません。
また、相手が「4」を場に出すターンには構造上それ以外の補助が飛んでこない(手札からプレイされるのは「4」なので)ため、「5」を場に出してしまえば相手の「4」には必ず勝利できます。
そうした牽制能力と、単純に最も勝札に送り込みやすいカードであるという点から、多くの対戦で勝利条件を満たす際の軸となってくれるのが「5」のカードです。

読み合いの具体例

例えば、以下のようなケースを想定します。

  • 相手の待札に「3」と「1」
  • こちらの待札に「5」と「2」
  • 両者とも「0」をまだ使っていない
  • 相手の勝札には「4」がある

このようなケースで迎えたターン、相手は勝利条件を進めるために「3」で勝ちたいはずです。なので、自分が警戒しなくてはいけないのは相手が手札から「1」のカードを使ってくることでしょう。
考えられる中で最悪なのは相手の「3」と自分の「5」がかち合った上で相手が「1」を使ってくるケース。相手がゲームの勝利に一歩近づく上、自分は強力な「5」のカードを捨て札に送られてしまいます。

これを防ぐためにどんなカードを使えば最も勝率が高いかを順番に考えてみましょう。


まずは自分も「1」を使う場合。両プレイヤーが同時に「1」を出した時は強さの逆転が2回起こったものと処理し、結果的に通常通りの法則で勝敗が決まるため、相手の「1」に対するカウンターとしては機能します。
ただし、それはあくまで相手が本当に「1」を出してきた場合です。相手が思うようにカードを引けていなかったり、一旦様子を見てきたら、自分だけが「1」を出すことに。こうなると、せっかく自分が勝てたはずの盤面をひっくり返してしまうことになります。

こういう場面では「2」もあまり役に立ちません。「2」は自分相手両方の場札を勝札に送るような動きのカードになるので、自分が勝ちにいくときには非常に強力なオプションですが、相手の思惑を妨害する用途には向きません。

その点、このケースで最も有効なのは「3」でしょう。「せーの」のタイミングでは場札に出すカードを選ばず、「3」を手札から使えば、相手がどんなカードを出してきたかを見てから場札を選択できます。相手が手札から「1」を使ってきていたのであれば自分は「2」を場に出し、それ以外のケースであれば「5」を出せばいいというわけです。
もし相手が場にも「1」を出した上で手札からも「1」を出してきた場合には場札「2」では負けてしまいますが、その時は「0」を使うことで相手の勝利を阻止することも可能です。もちろん、勝ちを譲っても趨勢に大きな影響がないのであれば、もっと重要な場面で切るべく「0」を温存しておくのも理のある判断でしょう。

そのほか、ひとまず様子見的に「4」を出すことで少なくとも「5」を失ってしまうことを避けたり、2枚目の「5」を待札に出してしまうというのもけして悪い手ではありません。
もちろん、実際の対戦では手札に全てのカードがあるわけではありません。毎ターン3枚の手札の中からどのカードが一番有効なのかを考えてプレイすることが大切です。

余談

 

偉大なるリスペクト元

このゲームについて話す場合、必ず触れなくてはならないいにしえのFLASHゲーム作品が1つあります。
それはかつてhozoさんという方によって公開されていた、「カードコマンダー」という対戦型トレーディングカードゲームです。
確か、僕が中学生くらいの頃には既に存在していたはずなので、恐らく公開されたのは2008年くらいだったのではないでしょうか。そこから、2020年1月18日(この日付は忘れもしません)に至るまで10年以上多くのプレイヤーを楽しませてきた素晴らしいゲームでした。
今でこそデジタルカードゲームというジャンルはすっかり一般的になりましたが、このゲームはそんな言葉が生まれるずっと前からブラウザ上でネット対戦が出来るカードゲームとして存在していました。そしてこのゲームの最大の魅力はそうした革新性以上に、非常に洗練されたゲームシステムでした。

両プレイヤーが手札から待機所に出すカードを(自分の戦場にカードがない場合はさらに待機所から戦場に出すカードを)選択し、両者が決定したらその選択が同時に公開される「同時ターン制」というゲームシステムは、僕の知る限り当時存在したどのカードゲームにも似ていない、真に独創的なものでした。
そしてこのシステムが「相手の手を読む」ということの重要性を非常に高めており、そうした読みの精度や、その読みを活かせるような構築を組む能力が勝敗に直結することで、「ルールは簡単なのに、プレイスキルの差がちゃんと出る」というこのゲームの美点が形作られていました。

この「同時ターン制カードゲーム」というアイデアはカードコマンダー以降いくつかのフォロワーを生んでおり、かつて存在した「突破Xinobi」というタイトルや、「メソロギア」、そして現在もサービス継続中の「神託のメソロギア」というスマートフォンでプレイできるデジタルカードゲームに系譜が続いています。また、有志がカードコマンダークローンとして開発してSteamに公開中の『Color Summoners』というタイトルも存在しています。
(※「メソロギア」「神託のメソロギア」に関しては作者によりカードコマンダーの影響が明言されていますが、突破Xinobiに関してはかつて両ゲームのプレイヤーであった自分の勝手な感想に過ぎませんのでご注意ください。)

そして言うまでもなく、この「Five for the Money」も、この「同時ターン制カードゲーム」というジャンルのフォロワーとしてデザインしたゲームです。
このゲームとカードコマンダーとの差異としては、戦場で勝利したカードの扱い(カードコマンダーでは場に残ります)、ゲームの勝利条件(4点の初期ライフが戦場で敗北するたびに1ずつ減っていき、相手のライフを0にした方の勝利)、手札の扱い(多くのカードゲームと同じく、ターン開始時に1ドロー)、そしてそれぞれのカードの効果などがあります。
その他、「イニシアチブ(このゲームにおけるコイン)がターンごとの勝敗に応じて入れ替わる」「カードを使用するためにコストが必要」「決着をつけられなかった戦闘は引き分けになる」といった細かな違いはありますが、これらはどれも副次的なものといえるでしょう。

この「同時ターン制カードゲーム」という優れたアイデアを、最もミニマルに、それでいてこのシステムがもたらす読み合いの緊張感といった美点をできるだけ損なわずに机上で表現したい、と思って作ったのがこのゲームです。先程挙げた差異は、そうした目標の実現のために試行錯誤した結果自ずと生まれたものでした。

今回このゲームを頒布できる形にまで仕上げよう、となったのは外部的なきっかけ(Icarian Digitsの記事でも紹介した、スカウトジャンボリーです)でしたが、それよりも以前から「こういうものが作れないかなあ」という思いはずっとあり、プロトタイプのようなものはもう4-5年に渡って考え続けていました。
「ボードゲームを作って頒布しよう」という気持ちが特になかった頃からそんなことをしていたのは、ひとえにこのゲームシステムに惚れ込んでいたからです。
いわば、「カードコマンダー」へのラブレターを書き綴るような気持ちで少しずつ作ってきたのがこのゲームだと言えます。

……ゲームマーケットの公式サイトのブログに書く内容としては少し脱線が激しくなってしまったでしょうか。
とにもかくにも、そんなわけで、少なくとも熱い思いが乗っていることだけは確かなこの「Five for the Money」。
10/18(日)の単日参加にて頒布予定ですので、この記事を読んで気に入って頂けた方はぜひ我々「あらたま農園企画開発部」のブースへお越しください。イベント限定価格、1200円にて頒布いたします。

それから、万が一、この記事を読んだ方の中にかつてカードコマンダーのプレイヤーだった方がいらっしゃったら。そんな幸運に恵まれれば。
どうかぜひブースにお越しいただき、「あの頃の思い出話」をしに来てはくれませんか。
ニコ生で強いプレイヤーさんの配信があればこぞって集まったあの頃。色んな人がデッキを公開するブログと、そのブログをまとめるアンテナがあったあの頃。それまで青緑が主流だった青龍を、青赤で使ってあっという間に1850を超えるレートを叩き出した伝説のプレイヤーが現れたあの頃。
僕はファントムに擬態をかけて原住民を連打するデッキとか、煙竜とゾンビとドラゴンゾンビのシナジーを利用するデッキとかを使って1600-1700帯をうろついていたプレイヤーです。
どなたか。どなたか、いらっしゃいましたら……。

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