TANAX GAMES @bookstanax
アナログゲームの制作・販売をしてます。みんなが幸せな時間を過ごせるようなゲームづくりを目指してます。
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- 「CROSS WIND」製作ノート
- 皆さま、お久しぶりです。TANAXです。「CROSS WIND」制作ノートとして、久しぶりに長文を書きます。事前にルールを把握していただけると、この制作ノートをより楽しめると思います。 2026年1月、以前から温めていた幾つかのゲームのアイデアがあったのですが「CROSS WIND」はそのうちの1つでした。トリックテイキングは数多くのゲームで採用されている人気のゲームメカニクスです。だからこそオリジナリティを出すのがとても難しい。ですのでゲームメカニクスを自分が考える最小サイズまで分解して再構成しなければなりません。 トリックテイキングでは、カード運だけで勝敗が決まらないように、ビッド形式を使うゲームも多いのですが、私はビッド形式を外したかった。その場合、なんらかの仕組みで数字の大小による優劣が切り替わるアイデアが生まれますが、これはゲームの見通しを悪くしますし、プレイ中に現在の優劣を何度も確認する必要が出てきます。ですから数字の大小による優劣も変えることなく、大きい数字が強いという完成形を先に決めました。果たしてこのゴールに辿り着けるのか。 「スナイプ」というアイデア ビッド形式を採用せず、数字の優劣も変更しないとすると、カード運に左右されるゲームになってしまい、戦略の多様性が無くなります。強いカードが来たら、優先して使ってトリックを取り続ければいいからです。そこで強いカードが狙われる仕組み「スナイプ」を思いつきました。出された切り札のカードに対して、絶対に勝てるカードが1枚だけ存在する。カードが配られたばかりの選択肢が沢山ある状況では、強い切り札は逆に狙われやすくなりますし、強いカードをゲーム後半に使いたくなる理由になると思ったのです。 新年早々に、ゲーム会でテストプレイすると全くダメでした。スナイプ条件が厳しすぎてほとんど出なかったのです。理由の1つとして、プレイ人数によるカードの制限が適切ではなく、カード枚数が多すぎました。スナイプ条件を満たすカードが、プレイ人数によって除外されるカードに入ってしまうと、当然スナイプは発生しません。カード枚数を調整することでわずかに改善しました。 それからスナイプがもっと発生するようなアイデアをいくつか思いつきましたが、全て不採用にしました。ルールが複雑だと感じたからです。結局、条件が厳しいスナイプに対して、得点を上げるという方法でバランスを取りました。本当はもう少し「スナイプ」が発生するようにしたかった。。。 「ホワイトカード」というアイデア ホワイトカードはゲーム戦略に多様性を生む素晴らしいアイデアだと思って気に入っています。トリックテイキングでは通常、色でスートが分かれていますが、これはスートごとに数字が同じため、必要不可欠な要素です。そこにスートの優劣を決めるリードカラーかどうか、切り札かどうかなどの条件があります。もしも数字に小数点を使い、ゲーム中に唯一の数字として扱うことができるなら、カラーが変化するカードを作り出すことができると思いました。 意図的に変わる条件と規則的に変わる条件 切り札となるスートは、意図的に変えた方が戦略性が増します。それにはスートを変える権利を、プレイヤーにどう付与するのかが重要です。一方で規則的に変わる条件は、ゲームの見通しが悪くならないので、ゲームプレイに計画性が生まれます。 そこで、意図的に変わる条件として「ウインドトラック(切り札)」を作り、規則的に変わる条件として「スコープトラック(特典)」を作りました。「スコープトラック」では、スートを変える権利もしくは得点アップが狙えます。プレイヤーがスコープトラックを狙うことで、強いカードを後半に残す戦略も生まれるので、よりゲームが面白くなったと思います。こうしてゲームのルールが出来ていきました。 ゲームのルールの完成からアプリ制作 ゲームルールがほぼ完成したのは2026年3月末から4月頃です。私は作る過程を楽しむべく、毎回、何か新しいことに挑戦したいと思っているのですが、GoogleのNotebookLMを使ってみて「もしかしたらアプリゲームを作れるかも」と思いました。参照するソースを限定することができるからです。ソースコードをファイルごとに読み込ませて、変更したら再度アップして更新する。もちろん手間はかかります。 このやり方で進めた背景には、自分で細かい部分まで作り込みをしたいという意図がありました。実際、AIにはUnityのインスペクターで調整できる項目を作ってもらいつつ、プログラミング以外のUnityの操作や調整は全て自分で行いました。プログラミング部分はCursorを使って作っていたので、NotebookLMに相談して方針を決めてからCursorにプロンプトを入力するという2段階で進めました。 AIでの2段階作業は良い面も悪い面もありました。良い面は、自分がある程度納得するまで学習してからUnityに移れることと、Cursorのトークンを節約できることです。悪い面は、NotebookLMのメモリが少ないため、すぐに以前の作業を忘れてしまったり、私が最新のコードをアップし忘れたことで、NotebookLMが混乱して矛盾するようなことを言ったりしたことです。今振り返ると悪い面が大きかったので、もしも次回、新たにアプリを作るとしたら違う方法を取りますね。 こうしてアプリゲームは4月後半から作り始めて、通常ゲームだけなら6月後半にはほぼ完成していました。この頃、土日は朝から晩まで夢中になって作っていました。NotebookLMにイライラしながらも、凄く楽しんでいたと思います。 アプリ限定の「バウンティミッション」 印刷版のゲームには得点トークンの枚数制限がありますが、アプリなら枚数制限はありません。そこで持ち点を賭けて得点を増やす「バウンティミッション」を思いつきました。このギャンブル要素が、リリースの障害になるとも知らず、7月はこのモードを作り込んでいましたね。 賭けの要素が入ると、CPUの判断や行動に慎重さや大胆さ、ブラフなどが表れ、それだけでキャラクターの個性を感じられるのが面白いです。ですのでこのゲームモードを削除することになったのはとても残念です。 これからAIでボードゲームアプリを作りたい方もいらっしゃると思うので、念のため記載しておきます。今回のAppleの審査では、「バウンティミッション」の賭け要素に関連して、組織アカウントでの申請について確認が必要になりました。 私は、この記事を書いている2026年10月11日現在(ゲームマーケット2026秋の一週間前)、慌てて「バウンティミッション」を削除して、再申請を出しました。ゲームマーケットにアプリが間に合うかどうかは審査次第で、分かりません。 その後、バウンティミッションを削除したバージョンが無事に審査を通過し、ゲームマーケット前にリリースすることができました。 インディーゲーム活動について 来週はいよいよゲームマーケットです。「CROSS WIND」を作り始めて10ヶ月。時間は飛ぶように過ぎてしまいましたが、やはり作って良かったし楽しかった。私は何度もボードゲーム作りで挫折しているのですが、もう作らないと思っても、しばらくするとまた作りたくなってしまうのは不思議です。 製作数を少なくすることで、負担はだいぶ少なくなりましたが、毎回、赤字でも黒字でもないくらいギリギリなのに、膨大な時間をかけてなぜボードゲームを作るのか。私の場合、月並みですが、このゲームを自分が欲しいからです。今回、アプリゲームまで作ってみて特にそう思いました。 それではゲームマーケット2026秋を楽しみましょう! 「CROSSWIND」のiPhone向けアプリをリリースしました! トリックテイキングゲーム「CROSSWIND」をiPhoneでも遊べます。ゲーム本編のUIは英語ですが、ルール説明やチュートリアルは日本語表示に切り替えることができます。ゲームマーケットで気になった方も、ぜひ遊んでみてください!App Store:https://apps.apple.com/jp/app/crosswind-trick-taking/id6804375010
- 2026/10/11 14:41
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