反社会人サークル

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【この過労死がすごい】副読マニュアル「STOP!過労死~働く自分を大切に~」
2016/11/25 13:02
ブログ

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はじめに
『この過労死がすごい』をプレイいただくにあたって、題材となっている長時間労働や過労死に関する理解を深めていただくために、本冊子を制作しました。ゲーム内では面白おかしく取り上げている過労死ですが、現実では笑いごとではありません。ここでは、法律上の正しい定義から、困ったときの連絡先までご紹介しています。ロウドウ者、ロウドウ経験者、ロウドウ未経験者あらゆる方に有用な情報になっています。正しいロウドウ知識を身に着けて、現代ロウドウ社会をサヴァイヴしていきましょう。
本作が長時間労働や過労死についてあらためて考えるきっかけとなれば嬉しいです。このゲームが提唱するように、業務外稼働を含めた稼働時間を自己管理し、危ないと思ったときにはきちんとコントロールできる、不本意な過労死のない世界を追い求めていきましょう。

過労死とは?
長時間労働や、仕事上の強いストレスなどが原因で心や身体の健康を損なってしまい、脳や心臓の病気(脳梗塞、脳出血、心筋梗塞、心停止など)による死亡や、うつ病などの精神障害にかかって自殺してしまうことを、過労死・過労自殺といいます。ポイントは「仕事が原因で生じた」点です。
次項で詳述しますが、過労死と長時間労働の関係は切り離せません。そもそも労働時間は労働基準法で上限設定されており、原則として1 日8 時間、1週40 時間を超えてはならないとしています(=法定労働時間)。しかしながら、会社と従業員の間で「36 協定(さぶろくきょうてい)」を結び労働基準監督署に届けることで、法定労働時間を超えた労働(時間外労働)を正式な手続きの中で行うことができます。ただし、そこにも(法的拘束力はないものの)上限目安はあり、厚生労働省は「時間外労働の限度に関する基準」として週15 時間、月45 時間を規定しています。

過労死基準
過労死かどうかのひとつの基準である、労基署による労災認定基準として「脳・心臓疾患の労災認定基準」および「心理的負荷による精神障害の労災認定基準」があります。具体的な内容は、労基署や労働局においてあるパンフレットや厚生労働省のホームページなどで入手できますが、概要は以下のようになります。

①過労死基準(1 ヶ月100 時間、6 ヶ月平均80 時間)
②直前の過重な仕事や異常な出来事
③仕事が原因で罹患した精神障害
※診断書や通院歴は不要
④心理的負荷の原因となる出来事(長時間労働自体もストレスのひとつ)

いずれにおいても最大のポイントは「労働時間」になります。これに労働環境や精神的ストレスが加味されて判断されます。

ゲームと現実の違い
・本来、残業は自発的にするものではなく、会社の命令で行う「業務」になります。会社には社員の残業を管理する義務があります。時間内に終わらせられない量の業務を命じること自体が管理義務違反です。
・サービス残業(不払い労働)は違法です。上記の定義から「させる方」が違法ですが、現実には隠れて「せざるを得ない方」も少なくありません。この場合も会社が違法であることを認識しましょう。
・ノー残業デーはノー残業代デーではありません。残業をするなら、残業代はもらってください。残業代をもらえないなら、残業はしないでください。
・なにが業務で、なにが業務でないかを考えましょう。それが業務であるならば、しっかりと残業代をもらいましょう。業務命令ではない指示やお願いは、当然断ることができます。中には、ちゃんちゃらおかしいものもあります。本当に断れないのか(自分の意思でやるのか)、ゼロベースで考えてみてください。
・生産性が低いから、タスクが多いからということを理由にした長時間労働は悪のスパイラルの入口です。会社はそれらの事情を考慮したうえで、業務コントロールをする義務があります。
・残業代がもらえるからといって、長時間労働が良いわけではありません。自己で稼働時間を意識し、過労死基準のような第三者基準と自分自身の心身に相談し、適切なコントロールが可能な状態を維持しましょう。
・危ないと思ったときには、有給休暇、休職、退職といった手段があります。それらは労働者に与えられた権利です。行使できることをお忘れなきよう。
・自分ひとりで解決できないときは、誰かに助けてもらうこともできます。有給休暇を取得できない、退職させてもらえないときには、弁護士に助けてもらうこともできます。夜間の電話連絡先やインターネット経由での相談もできる場所もあります。

困ったときには
いろいろきれいごとを書いてきましたが、実際には実現が難しいということも少なくないでしょう。外部環境(会社、上司、制度)を変えるのは難しいです。それならば自己の意識を改革し、せめて稼働時間(会社関連の非業務も含む)を数値という形で見える化することが、ひとつのきっかけになるはずです(なお、自分でつけた退社時間などのメモも裁判で証拠に使えます)。そして、実際に危ないと思った場合、有給休暇や休職、退職といった制度を使って自己防衛することになります。もうひとつ気をつけていただきたいのが、過労死のような問題は一部のブラック企業だけのものではありません。それがあなたの身に降りかかることを、あるいはすでに降りかかっていることをお忘れなきよう、ご注意ください。
それでは、良きロウドウ生活を!

相談先
03-3379-5211
(ブラック企業被害対策弁護団)
これは一例です。ほかにも検索すると相談先はいろいろ出てきます。まずは自社の労働組合に相談することもおすすめです。

参考文献
働く人のためのブラック企業被害対策Q&A
知っておきたい66 の法律知識
(ブラック企業被害対策弁護団・弁護士会館ブックセンター出版部LABO)

監修
弁護士 田村優介
(城北法律事務所、ブラック企業被害対策弁護団 副事務局長)

企画・制作:反社会人サークル