・プレイ人数:3〜6人
・プレイ時間:約30分
・対象年齢:13歳以上
・ゲームマーケット2019秋(11月23日-24日)【F01-02】スペースにて発売。
※カラメルカラムは両日出展します。
・イベント会場特別価格:2,000円(税込)
※イベント後、Amazon等で順次販売を開始します。その際は2,591円(税込)になる予定です。
・取り置き予約受付フォームはこちら
その他、私のTwitterアカウント及びカラメルカラムの公式アカウントから随時情報を告知します。
神保町にあるゲーム会社です。アナログ・デジタル問わず、ゲームを作っています。
第一回では『ミューレンソウ』というゲームの概要、そして第二回では『ミューレンソウ』という概念がいかにして生まれたのかについて書きましたが、今回は「非実在ジャケットアート」について書きます。
あらためて説明しておくと、『ミューレンソウ』には83枚の「非実在楽曲カード」が収納されており、このカードに書かれているアーティスト名や楽曲名はすべて架空のものです。これを83種類(実は途中で枚数の仕様を変更したので考えた数はもっと多い)考えるのは中々ボーンがクラッシュする作業だったのですが、その件についてはまた余裕があれば別の文章として書こうと思います。……いや待て、ちょっとだけ書いておこうかな。曲名はまだしも、アーティスト名は実在するとその実在の方にご迷惑おかけするじゃないですか。場合によっちゃ訴えられて私が法廷で「ごめ゛ん゛な゛さ゛ぁぁぁぁい゛!!!」とか叫んで鼻水まみれになるじゃないですか。それは避けたいわけですよ。だって一応ほら、俺36歳だし。なので思いついたアーティスト名は基本すべて実在していないかググりました。「アーティスト名 バンド」とかでググりました。しかしですね、まぁー引っかかるわ引っかかるわ!!日本語のアーティスト名は割と楽なんですよ。だいたい予想できる。「あ、これは実在するなたぶん。福岡あたりに」みたいに分かるわけ。これがアルファベットのバンド名になるとまぁー出るわ出るわ!!今回私調べてみて分かったんですがね、有名どころの神話系固有名詞(神様の名前等)はほぼすべてバンド実在してますよ。世界のどこかに。アメリカのド田舎とかに。さすがにこのバンド名はダサすぎて誰もつけんやろ、みたいのも存在するんですよ。これはインターネットの弊害か。アメリカのド田舎で高校のクラスメイト相手に演奏してるようなバンドもホームページやらTwitterアカウントやら持ってますからね。引っかかってしまうんですよ!!これを回避しまくって83種類のアーティスト名を考え出すのがいかに大変だったかは、今度私と飲む機会があったら4時間くらい愚痴るのでよろしくおねがいします。
余談が長くなりすぎたので一句はさみます。
"その名前 売れたら絶対 変えるやろ"
(タコ群は本文に特に関係ありません)
今回の本題はこのカード群に印刷されている「非実在ジャケットアート」です。
この文章を読んでいる聡明でハイカルチャーな諸君であれば「ジャケ買い」の一つや二つ嗜んでいることかと存じますが、皆様ジャケ買いをする時どんなことを考えているでしょうか。おそらくその時脳内で起きている現象を端的に表すならば「視覚的情報から聴覚的情報を引き出そうとしている」のです。首からきらびやかなネックレスをぶらさげたファンキーガッツメンがこちらを睨みつけているジャケットならば、きっとあなたの脳内ではDJがブレイクビーツを流しはじめ、はたまたいい感じの草原で民族衣装ライクな服装に身を包んだロン毛の男達が身を寄せ合っているジャケットならば脳内でファズかけすぎのサイケデリックなギターが鳴り始め、おそろいのカラフル衣装でポーズをキメる年端も行かぬ女子3人がフィーチャーされたジャケットならば脳内でテクノポップなサウンドが踊りはじめるでしょう。このように、実は私達は「ジャケ買い」をしているといいながらも、実際はジャケットアートから連想した「架空の音楽」を頭の中で鳴らすことによってそれを選別し、購入可否を決めているのです。視覚的に購入判断していると思いきや、実は聴覚的に購入判断をしてるわけですね。ははーん興味深い。しかしながら、この時に脳内で流れる音楽というのは、当然ながら人によって異なります。(第一回でも似たような話を書きましたが)例えばこの世界には「パロディジャケット」というものが存在します。ビートルズの『アビーロード』ってありますよね。あのジャケットのパロディジャケットがこの世に何枚存在するかご存知でしょうか。いや、私も何枚あるかは知りませんけど、たぶん、モスバーガーの店舗数くらいはあるんじゃないかな(適当)。CD屋でアビーロードのジャケットを手にとった時、ビートルズを知っている人ならば「なんらかのビートルズ性」を連想の要素として入れてしまうでしょう。しかしビートルズのアビーロードを見たことのない人がパロディジャケットを先に手に取ってしまった場合、その人の脳内ではビートルズ要素が排除された連想が生まれるわけです。これは極端な例ですが、こうした人それぞれが持つ千差万別の「音楽体験」によって、ミューレンソウはズレを生みます。そしてこれが『ミューレンソウ』の面白さの根源なのであります。
少し試してみましょう。このジャケットを見たあなたの脳内ではどんな音楽が鳴りましたか?
…はい、では隣にいる人に同じ画像を見せてどんな音楽が鳴ったか訊いてみてください。何が共通していて何が違ったでしょうかね。
さて、今回私は『ミューレンソウ』のカード用にジャケットアートワークを約120枚ほどこさえました(採用されたのはそのうち約40枚ですが)。私は絵も描きますし、写真も無駄に撮りためてきたので、それをphotoshopでいじくり倒し、それらしい文字列を配置し、大量にひねりだしました。思えば8年前「nstagramの写真って正方形でCDジャケットみたい!俺もやりたい!」という理由だけでiPhoneを買った私です。ジャケットアートを作るのはとても楽しい作業でした。…最初は。最初の10枚くらいで早くもネタ切れになりました。世の中にはこんなに多種多様なCDジャケットが溢れているのになぜ僕はこんなに幅が狭いんだよ!と泣きたくなりました。そしてデザイン的な問題もさることながら、「質感」がめちゃくちゃ難しい。最近のストリーミング限定やDL限定の楽曲などはそもそも画像データとしてしかジャケットが存在しないものも多いので、「最近っぽいジャケット」はまだなんとかなるのですが、問題は「音楽データ以前の時代っぽさ」です。現在液晶画面で見ている数十年前のジャケット、あれはどこかの誰かが上手いことジャケットを撮影した画像が出回った結果表示されているわけで、言ってみれば「印刷物の写真」なんですよね。この質感が無いと、どうしても60年代や70年代のロックジャケットらしさは出ない。これはどうしたもんか、と試行錯誤を重ねた結果、私は敢えてノイズを少しだけ入れるという手法を編み出しました。具体的にはphotoshopでメゾディント加工をかけたレイヤーを薄く重ねることで、質感を再現したのです。これ見てもそこまで分からないかもしれませんが…ひとつ例を。
どうでしょうか。びみょーーーーーーーーーーーーーーにではありますが古い感じになってませんかね。(正直自分でもよく見ないとわからん)
こういう小賢しい細工を積み上げて、83枚のうち約40枚のジャケットが決定しました。『ミューレンソウ』を買った皆様の脳内で多種多様な音楽が鳴り始めることを切に願っております。
では残りの約40枚はどうしたんじゃい!!!という話ですがそれは次回書きます。ここで唐突に次回と次々回の更新予告だ!!
【次回更新】ドキっ!シラカワがリスペクトするアーティスト様方がジャケットとして作品を提供してくれたよ!の巻
【次々回更新】使える人物写真が俺しかいねぇ!!そうだ!AIを使おう!の巻
ということで今回はこんな感じです。
■『ミューレンソウ』ゲーム情報