Sui Works

Sui Worksはボードゲームの出版およびボードゲーム作りの制作支援を行うデザインスタジオです。 2021年から活動をスタートし、2023年から本格的にボードゲーム出版事業を展開しています。 私たちは「遊びながら自由にモノづくりができる世界」を目指し、日々積極的に活動しています。 ボードゲームを通じて、クリエイティブなアイデアや楽しさを広め、ユーザーに新しい体験を提供することに情熱を傾けています。 ◆新作『Astro Out アストロアウト』『Under Delvers アンダーデルヴァーズ』 ◆今まで『ESOTERIC エソテリック』『RATORO ラトーロ』『Baladerie バラドリー』『EAUCHEMIN オーシェミン』『EUKAO ウカオの丘』『Desolito デソリト』 ◆製作協力『SWEET DOG HOTEL スイートドッグホテル』『ELAA ROTU エラロト』

『Under Delvers アンダーデルヴァーズ』ゲームデザイナーズノート
2026/10/10 21:34
ブログ

こんにちは
Sui Worksです。

 

本日は、『Under Delvers アンダーデルヴァーズ』のゲームデザインを担当した符亀さんから
ゲームデザイナーズノートを寄稿いただきました!

ぜひお読みくださいませ!


どうも皆様、「RATORO ラトーロ」から早3年、再びSui Works様のおこぼれをあずかりに参りました。符亀と申します。

Sui Works代表のサニィさんより、今回の新作「Under Delvers アンダーデルヴァーズ」について9月中くらいまでにデザイナーズノートを書くよう依頼されまして、数字が読めていなかったので8月末にこの記事を書いております。

本作は、「二重エンジンビルド」をテーマとし、試行錯誤の結果Sui Worksとしても符亀としても初の「協力ゲーム」(※) となった作品です。
この記事では、「Under Delvers アンダーデルヴァーズ」のシステム面についてご説明したいと思います。

※ 正確には符亀初の協力ゲームは無償配布した「Yaezaki」ですが、オマケでないゲームとしては本作が初です。

 

ゲーム概要

まずは前提として、ゲームの概要を簡単にご説明します。

「Under Delvers アンダーデルヴァーズ」は、道を切り開きながら目的の宝石を集めミッションを達成する、2―4人用の協力ゲームです。
手番のプレイヤーは、タイルを置いて道を作りつつ、宝石を変換したり増やしたりしながら進みます。

指定の宝石を集めて補給所マスまで辿り着ければ、ミッションが達成できます。
ミッションをクリアしきれず、期限切れとなるミッションが出てしまったら、プレイヤーの敗北です。最後までミッションを期限切れさせずに乗り切れれば、プレイヤーの勝利です。

(※詳しいルールは以下もご覧ください)

https://gamemarket.jp/game/189426

 

エンジンとルートの構築

本作では、タイル間の移動により宝石を生むため、タイルが宝石変換や産出のエンジンになっています。

また、本作ではタイルが無いマスには進めず、かつ各補給所マスでは1つのミッションしかクリアできません。
ミッションはどんどん追加されるので、ゲームに勝利するには、複数の補給所を繋ぐルートの構築が必須です。

もちろん、各補給所までに、ミッションに宝石を集め切る必要もあります。

うーん、結構ムズカシそうなゲームですね。

刻々と変わりゆくミッションに対して、1回置いたら動かせないタイルの配置だけで対応するのは、難しすぎると思いませんか?

しかも、本作では変換できないタイルは通れず、例えば赤い宝石がない時は「赤い宝石を青い宝石に変える」タイルは通れないそうです。

限られたタイルをやりくりして、補給所マスまでの道を伸ばしながらミッションまでクリアするのは、難しすぎると思いませんか?
私もそう思います。なので、もう1つの「エンジン」をご用意いたしました。

 

「二重」エンジンビルド

道のタイルである「ルートタイル」をよく見ると、右側に不自然な余白がありますね?
この余白は、「発展タイル」という小さなタイルを置き、ルートタイルを強化するための場所です。

このように発展タイルを置くと、「赤い宝石を青い宝石に変える」タイルが「赤い宝石を赤と青の宝石に変える」、つまり「青い宝石を増やす」タイルに変化します。

この発展タイルにより、ミッションに必要な宝石を後付けで確保したり、必要な宝石がなく通れなかったルートを通行可能にしたりできます。

このように、本作は「タイルを繋げて宝石変換のルートを作る」のと「タイルを強化してより多くの宝石を生む」のとで、二重のエンジンビルドになっています。
同じルートがどんどん強化され、通るたびに出力が強くなっていく、独特のプレイ感を味わっていただけると幸いです。

ちなみに、いつから「二重エンジンビルド」と言っていたのか調べたら、2024年8月に作ったフォルダが出てきました。2年前!?
ちなみに、この原案の原案の原案の原案なゲームの企画書は2023年7月に送っていました。3年前!!??


協力ゲーム化

このように一風変わったシステムが作れたのですが、2024年8月当時には以下のような問題がありました。

  • ルート構築とミッションの解決とを同時にこなさないといけないため、難易度が高い
  • その難易度のせいで、長考されやすくダウンタイムが長い
  • 他の人が育てたルートにタダ乗りするのが強く、後手が有利
  • 序盤と終盤とでルートの強さや長さが違うため、手番順をラウンド間で変えても体験格差が大きい
  • 育っているルートに継ぎ足ししていくプレイになりがちで、実質的なプレイング幅が狭い

この問題の解決法を1年議論していたのですが、2025年の9月に革命が起きます。

そう、本作が協力ゲームになったのです。

協力ゲームになったことで、

  • 難易度の高さは、乗り越えるべき壁としての面白さに
  • ダウンタイムは、全員で知恵を出し合って解決するためゼロに
  • 育てたルートへのタダ乗りは、協力プレイとして適切な動きに
  • 体験格差は、全員が同じ盤面に同時に取り組むので均一に

と、見事に問題が消滅しました。

あとは、バランスやら諸々のシステムを調整して、2026年の6月に最後のテストプレイを終えて無事に完成いたしました。
結局9ヶ月かかってんじゃねえか。

 

リミットシステム

おっと、勘の良い方は気づいているかもしれませんが、協力ゲーム化だけでは解消できなかった問題が1つ残っています。

それが、「育っているルートに継ぎ足ししていくプレイになりがちで、実質的なプレイング幅が狭い」問題です。
協力ゲームになったので、これを仕様と割り切り、同じルートを通りまくってインフレを楽しむ方向に調整するのも一手ではありました。

ですが、プレイヤーの皆様には、まだ見ぬルートをひらめく気持ちよさを是非とも味わっていただきたい。
そして生まれたのが、リミットシステムです。

補給所マスをよく見ていただくと、3色の扉が描かれています。
そして、その扉を通ると、その色のリミットトラックが1つ進みます。上限に達し、進ませることができない場合は、その扉は通れません。
つまり、同じルートばかり通っていると、すぐに上限に達して移動できなくなります。

この上限を決める制限コマは、各プレーヤーに配られる個人ミッションをクリアすると進められます。
時には宝石集めよりも個人のミッションを優先しないと、次の人が動けなくなることもあるでしょう。

全体のミッションをクリアするか、自分にしかクリアできない個人ミッションを優先するか、協力ゲームらしい駆け引きを楽しんでください。

 

レベル

本作には、2―3人プレイでは7個、4人プレイでは6個のレベルを用意しています。
それぞれ、ミッションの出方やリミットの厳しさなどが異なります。

最高難易度は、符亀らしく「とても難しい」に仕上げております。ぜひ挑戦してみてください。制作者はクリアしているので大丈夫。たぶん。
逆に、低難易度は、単なる舐めプモードにならないよう面白さの本質だけを残してマイルドに仕上げました。コワクナイヨ。タノシンデネ。

そんなわけで、以上「Under Delvers アンダーデルヴァーズ」のご紹介でした。

長期間の試行錯誤を重ねましたが、最終的にはSui Worksらしいパズル要素と符亀らしい多層構造のシステムを兼ね備えた一品にできたと思います。

そして両者の得意とする、やることは単純だが骨太なゲームに仕上がったと感じています。

低難易度でワイワイ遊ぶもよし、高難易度で知恵を出し合うもよし、ぜひお好みの遊び方で楽しんでください。


最高難易度をクリアしたら、SNSでシェアしてくださいね。悔しがりにいきます。