按理具庵

「あんりぐあん」 と読みます。駆け出しの発明家が勢いで一人起業してしまった会社です。
陰陽五行プレイングカードFESCA(フェスカ)をトランプの再発明として創作し、Amazonやイエローサブマリン等にて販売中です。
しなり折りカード立てが第一発明品で、これを応用した紙製ミープルやチェス・将棋駒に展開中です。

FESCA(フェスカ)で花札系ゲームを考える
2020/1/21 16:02
ブログ

陰陽五行プレイングカードFESCA(フェスカ)の創作サンプルゲームとして、花札系の花合わせを基にしたゲームを創りましたので公開します。







点数計算の例





PDFファイル
FESCA_SOAWASERev11
FESCA_SOAWASE_PointSample

解説:
FESCAをご存知ない人は、先ずこれを読んで下さい。
FESCA(フェスカ)をトランプと比較してみた。
FESCA(フェスカ)創作の階段

タイトル:素合わせ
創作レベル:★★★(2.8)
詳細説明:
■レベル0要素(基ゲームと同じまたは類似)
・基本ゲームシステム
手札から1枚出し山札を1枚めくり、それぞれ場札とランク(数、花柄)一致していたらそのペアを取得する基本システムは同じです。花合わせを基(ベース)ゲームとして創作しているので当然ではあります。
・得点システム
20点,10点,5点,0点の札の素点の構成とその存在比率がほぼ同じです。素点は5点を単位に10,20と倍々になる実質的な2進数体系です。一般的には高い得点の札ほど枚数を少なくするのですが、花札は5点の短冊(タン)と10点の種(タネ)がほぼ同数という特徴があります。素合わせでは、これらを主・副スートに対応付けて踏襲しています。ちなみに花札では、20点が5枚,10点が9枚,5点が10枚,0点が24枚の構成です。花札では種,短,カスが変則スートの構成なので、五行の2つを10点と5点に、残り3つをカスの0点に、陰陽札を20点に対応させました。陰陽札はそのままだと12枚で多すぎるので、陰陽の場の状態に応じて陰札か陽札の片方が20点となるようにして高得点札の枚数を調整しています。

■創作レベル1要素(FESCAの特徴を追加)
・4スート(2ペア)→6スート(3ペア)
花札とFESCAの最も大きな違いです。
・多人数対応
花合わせは3人制のみですが、素合わせではFESCAの柔軟なカード編成(スケーラビリティ)を活かして3~6人で遊べるようにします。少人数では56枚使用を規定ルールとしていますが78枚を使用しても構いません。
・陰陽場の設定(場の変化)
20点札が陰札か陽札か判らない状態から始まる悩ましさがあり、最後まで逆転の可能性があって面白くなると考えました。ただし単純に太極札が出たら切り替わるのでは、最終的に必ず初期状態から切り替わることが確実で、それでは意味を成さないため太極札が「山札からめくりで出る」ことを条件としました。
・空無札と太極札の扱い
通常はランク一致で合わせますが、空無札を0ランクとせずにランクワイルドとして扱う「スート合わせ」の変則合わせとしています。空無札を同じスートで合わせると6枚3ペアの関係が崩れてゲームの最後に何枚か残ってしまうことになります。これを解決するため太極札の「残り合わせ」の仕組みを考えました。
・役組の対応
花札の赤タン,青タン役は同スート3連番の役である「三連」に対応付けました。特定の短冊札の組み合わせ役を、広く一般化して全てのスートの任意のランク連番でも有効にしたことで、不要なカス札も選んで取る必要性が生じ、ゲームの戦略思考性を高めています。他人の連役を妨害する選択も時には必要となるでしょう。
「藤シマ」「桐シマ」などの同ランク(花柄)4枚集める役は「六合」役に対応させています。花合わせでは特定のランクしか役にならなくて、覚えるのが大変なのですが、素合わせは全てのランクに拡張して単純で判り易くしています。2ペア集めから3ペア集めとなり、役作りが難しくなっている分だけ役点を調整する必要があるかもしれません。

■創作レベル2要素(独自ルールの追加)
・得点スート決め方
トランプの切り札宣言にも似ていますが、親が1枚を手札から晒す独自の方式を採用しました。ただし「公開手札として最後に使用する」という制約(縛り)により、自由に得点スートを決められる親の優位性を減少させています。手札1枚公開によるランク上げ巡回競り方式も検討しましたが、単純ルールが売りなのにあえて複雑化させるメリットがないので止めました。トリックテイキング系には使えそうです。
・役組の宣言成立と役点の独立計算方式
花合わせでは役点は加点方式であり、役組が完成していれば自動的に素点とは別に役点がボーナス点として加えられます。偶然に揃う役ではなく、積極的に狙って役を作ることでゲーム性を高めるため、素合わせでは宣言と独立(分離)計算方式を採用しました。役は揃った時点で宣言しないと役と認められません。駆け引きが重要になります。
・スート集め系の役
FESCAポーカーからの流用でフラッシュ役「五粋」(1色揃えで5枚)とミクセル役「五散」(各色1枚ずつの5枚)を適用しました。花合わせに対応する役が無い独自の役です。ただし花札の「こいこい」の種(タネ)や短(タン)を5枚以上集めると点になるルールが類似しています。
・連役の一般化と拡張
花合わせの赤タン,青タンに相当するのが三連(←レベル1)ですが、素合わせでは特定のスートやランクに限定せずに全ての札に適用することで役の作り易さを求めました。さらに四連、五連と拡張(←レベル2)することで得点が大きく伸びる構造とし一発逆転の可能性も高めています。作るのは難しいですが連役を上手く作ることが勝利へのカギとなっています。
・空無札のマイナス点化
空無札はスート合わせなのでランク合わせより容易に取れる構造となっています。当初は5点×同スート枚数とするプラス点のルール設定でしたが、手札に空無札が2枚もあれば高い確率で勝利できてしまい運ゲー要素が強すぎました。また場札の枚数が常に少なくなる傾向があるのも問題でした。取りたくないスートがあれば場札が増えて選択肢が広がりゲーム性が高まると期待して、マイナス点化を検討することにしたのです。単純で簡単なゲームを目指していたのでマイナス計算の複雑さは敬遠していたのですが、そもそもゲームは楽しくなければ意味がありません。楽しさは単純さに優先しますのでRev1.1として採用となりました。
・役流し
花合わせの「雨シマ」の役流しに対応(←レベル1)していますが、空無札の集め枚数で無効とする役を3段階に切り替わる仕組み(←レベル2)にして戦略性を高めました。
・平場
親の手札が(確率的には極めて低いが)全て陰陽札だと得点スートが決められない、というルール上の欠陥を見つけてしまい、その対策として考えました。実は空無札のマイナス点化はこれが元になっています。

■創作レベル3(質的変容)か否か?
多くの独自性あるルールを積み重ねることで、総体としてゲームが元のゲームと全く異なるモノになることがあると考えています。個人的な主観での評価ではありますが、花合わせは、運7,論理2,心理1で賭博性が強いものでしたが、素合わせは麻雀に近く、運3,論理5,心理2で競技(ゲーム)性が高まったのではないでしょうか。すなわち高得点札を集めるだけの単純で簡単なゲームから、連役をどう作るか空無札をどう押し付け合うかなど考える要素が増えて、「単純ルールだが奥深い」ゲームに変容していると考えるのです。ちなみに心理2は太極札を誰が持っているか推理する要素です。特に手札の枚数が多い78枚の3,4人制が選択肢が多い分だけより競技性が強いと思います。
創作レベル3までは届かないかもしれないのでレベル2.8としています。四捨五入して★は3つです。




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FESCAは、Amazon, イエローサブマリン,ボドゲーマの通販でご購入いただけます。
昨年10月の価格改定で、よりお求めやすい価格になっています。




変更履歴
2020.01.23 PDFファイルの添付を忘れてました。追加しました。
2020.01.23 修飾が変で判り難い文を修正します。「独自の親が1枚を手札から晒す方式を」→「親が1枚を手札から晒す独自の方式を」
2020.01.24 「ボドゲ―マーの通販で」→「ボドゲーマの通販で」
2020.01.24 「てにをは」の修正です。
単純で簡単なゲームを目指していたのでマイナス計算の複雑さを敬遠していたのですが、そもそもゲームが楽しくなければ意味がありません。

単純で簡単なゲームを目指していたのでマイナス計算の複雑さ敬遠していたのですが、そもそもゲーム楽しくなければ意味がありません。
2020.01.24 「役組の対応」の項に、以下の文を追加しました。
「藤シマ」「桐シマ」などの同ランク(花柄)4枚集める役は「六合」役に対応させています。花合わせでは特定のランクしか役にならなくて、覚えるのが大変なのですが、素合わせは全てのランクに拡張して単純で判り易くしています。2ペア集めから3ペア集めとなり、役作りが難しくなっている分だけ役点を調整する必要があるかもしれません。