アクサン・シルコンフレックス

中学時代からの幼なじみ2名でスタートした創作団体。プロジェクトごとにチームを組む形式で活動し、結成から3年のうちに制作したゲームは10作品に迫る。和をテーマにした本格派ゲーム(「詠天記」「大江戸地引網」「つらつら椿」等)からパーティ向けのバカゲー(「フサフサクセス」「オモゾンクライム」等)まで守備範囲は幅広い。 2023年春のゲムマからいわゆるマダミス、マーダーミステリーのジャンルに挑戦。

【さうすぽおう 制作秘話】〜左利きの悲哀を笑いに〜
2019/5/19 18:00
ブログ

 

 

はじめまして。
左利きをテーマにしたカードゲーム「さうすぽおう」ゲームデザイン担当のこやしゅん(左利き)です。
今回はさうすぽおうの制作にまつわる裏話を紹介しようと思います。

(さうすぽおうのゲーム情報はこちらから!)

 

 

突然ですがあなたは、身の回りの左利きを何人挙げられるでしょうか?
平均ではおよそ、10人に1人が左利きと言われています。
すぐに何人か思い浮かんだ方は、左利きの王さうすぽおうの素質があるかもしれませんね。

それでは、あなたはその人達が左利きであると、どのようにして知ったでしょうか?
大抵の場合は、箸やペンを持つ手や腕時計をつけている腕が、周りとは違っていることから気づいたのではないでしょうか。
このような自他共に感じる違和感は、左利きを構成する重要なアイデンティティの一つと言えます。

 

多くの左利きにとってこの違和感は、不便や疎外感といった悲哀に繋がっています。
左利きは、不便であっても仕方のないことだからとスープバーのおたまを慣れない右手で持ち、疎外感を覚えたとしても「お箸を持つ方が右」という説明を受け入れるしかないのです。



こうした左利き達の人知れぬ悲哀は、左利き用道具やユニバーサルデザインの普及などによって多少軽減することはできます。
ですが右利きが人口の9割を占める以上、根本的に解消することはできません。
左利きはこの悲哀を、死ぬまで味わい続けることでしょう。
いや、もし天国や地獄も右利きファーストな世界だったら、永遠に逃れられないかもしれません。

 

そんな左利きの悲哀を消し去ることができないのなら、その悲哀に「カードゲームとして楽しめる」という価値を付けて、ポジティブに向き合えるようになりたい。
さうすぽおうは、そうした想いのもと制作されました。

 

「飲食店で座る位置」といった日常的に遭遇するものから、「竹とんぼを初めて回した時に逆回転させて急降下してしまった」といったような、左利き自身も忘れているであろう一度きりの些細な悲哀も、まんべんなく集めてカード化しました。

 

[caption id="attachment_134466" align="alignleft" width="181"] ▲筆者お気に入りの1枚。当時は手元に影ができるのは当たり前のことだと思っていましたが、実は左利きならではのエピソードなんですよね[/caption]

 

また、ただの「左利きあるある」をまとめるだけでは味気ないので、「歴史上の左利きは、こんなことに頭を抱えていたかもしれない」「フィクションの世界で左利きは、こんな経験をするかもしれない」といった、空想のトンデモな左利きエピソードもいくつか混ぜてみました。左利きの侍や宇宙飛行士、更にはデ●ノートを手にした左利きなど、現実離れした左利きの悲哀もお楽しみいただければ幸いです。

 

[caption id="attachment_134471" align="alignleft" width="181"] ▲映画やドラマでよく見る爆弾解除のシーンも、左利きがやるとこんなことになるかも…?[/caption]

 

これまでのテストプレイでは、左利きからは「これわかる!」と共感の嵐が、右利きからは「これ知らなかった!」と発見の嵐が吹き荒れております。 己の悲哀を笑いに変えたい左利きも、左利きの隠れた生態を知りたい右利きも、ぜひ遊んでみてください!