マッチダンディズム

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第3話:本能寺編 ~オダノブなんだっけ?~
2019/11/3 12:00
ブログ

 

※ 注意 ※

インタビューの中で、家臣はうっかり
一か所だけ、外国語を喋ってしまっていたという。
もし見つけても見なかった事に、特にオダノブ様には
くれぐれもご内密にあられたい。



「私はね、我慢できなかったんですよ。
いくらオダノブ様でも、あれは許されてはいけない。
そう強く感じたんです」

家臣が語る言葉には、不思議な重みがあった。


▲インタビューに応じてくれた家臣さん
 

「急に家臣を集めたかと思ったらね。始まるんですよ。
『わしが忘れたアレ、なんだっけ?』ってね。
あぁ、いえ、私も家臣のはしくれ、オダノブ様の
そういう催し事に参加するのは当たり前の事です。
諦めたら、そこで試合終了ですから」

家臣の顔はプロとしての誇りに満ち溢れていた。
聞けば、オダノブ様が忘れてしまった「アレ」が何かを
当てられるまで帰れない、という過酷な仕事らしい。

「でもね」

誇らしげだった家臣の顔が、急に曇った。

「あの日の、オダノブ様の【逆鱗】。あれは、
本当に酷かったんです。あの世で私たち家臣衆に
詫び続けても、なお足りないくらいに」

そう、【逆鱗】だ。
オダノブ様には何回か質問をする事が許されている。
忘れてしまった「アレ」のヒントを貰えるのだ。
しかし、会話の中でうっかり【逆鱗】と呼ばれる
タブーを口にしてしまうと、即座にオダノブ様は
おキレあそばれるらしい。

説明書イラスト7
※画像はイメージです

 

「私もね。オダノブ様の理不尽を、正直なところ、
どこか楽しみにしているところはあったんです。
でも、理不尽はもっと、自由で、豊かで、こう、
救われてなきゃあダメだと思うんです」

だいぶギリギリの発言だと思った。
止めようかと思ったが、まだセーフだと思った。
黙って続きを促した。

「オダノブ様が『今なんと申した?』と仰った時、
私の心にあったのは、ただただ驚きでした。
次にやってきたのは、悲しみに近い使命感です。
必ず、この 邪智暴虐 ( じゃちぼうぎゃく ) の
オダノブ様を除かねばならぬと——」

Q) そこで、【本能寺】ですか

流石にマズイと思ったので、口を挟んで止めた。
まだ似ているだけなら許されるかもしれないが、
これはダメだ。

「はい。迷いはありませんでした」


▲A-RPGシステム【本能寺】の資料

【本能寺】とは、オダノブ様の攻勢防壁であるRPG
(Rifujin Punishment -GEKIRIN-)に対して、
唯一のカウンターとなる、強力な武器の通称である。
正式名称はA-RPG(Anti - Rifujin Punishment -GEKIRIN-)
で、オダノブ様の逆鱗が発動した時のみ、使用可能。
ただし——

Q)確か、全員の承認がないと、失敗に終わるという

「そうです。一人の否決で、不発に終わります。
誰もが理不尽に対して、抗議しなければいけない」


▲【本能寺】失敗

 

Q) もし、失敗していたら?

「ゲームはその後もまだまだ続く。それだけです。
それはよくないと、皆が思ったのでしょう」

Q) 【本能寺】が成功した事で、何か変わりましたか?

「いいえ、何も。何も得るものはありません。
ですが、皆、とてもスッキリした顔でした。
それが見れただけでも、十分に意味はありましたね」

 
インタビューの後、家臣から1つのデータを受け取った。
今回、オダノブ様がどのように本能寺の目に遭ったか、
その一部始終が収録されているという。

私は迷った末、その動画にいくらかの編集を加え、
世に公開する事にした。
 


この動画が、世のオダノブ様にとっての抑止力となる事を
願うばかりである。

家臣K

 

 

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