BrainBrainGames

新作は「LOOP (ループ)」。

代表作
「OPEN」(MandooGames/SunnyBird) ゴールデンボックス2022ゲームデザイン賞
「HEY YO」(OinkGames) innoSPIEL2022受賞
「トリックと怪人」(OinkGames) ゲームマーケット大賞2018優秀賞
from 長崎。

「トリックと怪人」の推理について
2017/11/23 18:28
ブログ

推理系のゲームというと、「クルード」に代表されるような最初にカードを何枚か抜いて、その抜いたカードを消去法で当てるタイプのものが多いですが、この「トリックと怪人」は4枚のカードの中で1番数字が大きいカードはどれかを当てるという推理ゲームです。



4人のプレイヤーが1枚ずつ伏せてカードを出しますが、その時裏面の色(スート)が描かれた部分にトークンを置くことで、そのカードが何色か(スートは何か)まではわかるようになっています。これが推理のヒントとなります。


4人がそれぞれが出したカードの色(スート)がわかる。これを元にどのカードが犯人となるかを当てる。

色だけで何がわかる?と思われるかもしれませんが、


  • カードは各色3枚ずつなので、3分の1まで絞られる

  • 自分が出したカードはわかっている

  • 自分の出してない方のカードもわかっている

  • カードは全体で10枚しかない


ということで、組み合わせるとけっこうな情報量となります。
また相手がカードを出す時の様子、推理する時の様子などもヒントになるでしょう。


青は数値が高い、赤は青を除外、黄色は逆転といった特徴のあるカード10枚の組合せを考え可能性を絞り込んでいきます

さらに相手の思考を考慮することも重要です。
たとえば、有名な問題で次のようなものがあります。






赤の帽子が3つと青の帽子が2つある。これらを3人の囚人にかぶせ、それぞれが自分の帽子の色は見えないが他人の帽子は見えるという状態で部屋に入れる。会話はできない。囚人たちは自分の帽子の色を当てられれば部屋から出られる。ただし間違ったら死刑。という条件の元、3人に赤い帽子をかぶせた。するとしばらくは互いに沈黙していたが、やがて一人が正解し、最終的には全員が正解して部屋から出ることができた。3人はどうやって自分の帽子の色が赤だとわかったか?

という問題。答えは以下。






まず、もし3人が青2赤1という組み合わせだったとしたら、
青2を見た人は自分が赤だとすぐにわかるので一瞬で正解を言って部屋から出る。
よってすぐにわかった人がいなかったことから青2赤1という組み合わせではない
(もっともそれは自分の目の前に赤が2つ見える時点でありえないが)。
次にもし青1赤2という組み合わせだったとしたら、
自分はいま赤2を見ているので、自分の帽子は青だということになる。
その場合、他の二人は二人とも赤1青1という状況を見ていることになる。
その二人の立場になって考えた時
「もし私が青なら、あいつは青2赤1という状況を見ていることになる。
青2だったら即座に答えがわかるはずなのでつまり私は青ではない。よって私は赤だ。」
とわかることになる。しかし互いに顔を見合わせすぐに答えがでないところを見ると、
青1赤2ではない。つまり正解は赤3で、自分の帽子は赤であると気付く。

…といった考え方を応用できないか考えてみるといいでしょう。



…なんて話をするとかえって難しいゲームに思えてしまうかもしれませんが、
このゲームにはブラフ要素があるのでけっこうな揺らぎが生まれ、
それがオモシロポイントとなっています。

おしゃべりサニバ 第48回」でも詳しく取り上げて頂いてますのでよかったらお聴きください(39分頃~)。