ゆるあーと

2015年から仙台で活動してます。2019秋は新作「すべてが登米になる」を頒布します。過去にハニーフェスタ、ハンザの女王、最上川、2FDM、狼と七日間などを作りました。

【ハニーフェスタ】制作ふりかえり
2019/6/16 14:57
ブログ

■コンセプトはダジャレから

「タイル配置」のゲームが作りたい!
という想いで新作を考えていました

まずはタイル配置ゲームの要素を分解し
それらを分類してみました

簡単にまとめたのがこちらの記事です
http://yutaka-88.hatenablog.com/entry/2018/12/17/bgdac



六角のマス目が蜂の巣にみえたので
テーマを蜂にしてみました

そしてすぐ「蜂で8をつくるゲーム」
というダジャレを思いつき
このくだらないコンセプトで完成まで突き進みました

難産でした
理由は次の通りです




■そのこだわりは面白さを生むか?

過去作では核となるシステム(もしくはその部品となるメカニクス)を思いつき
それ単体が生む面白さを確かめてから本格的な制作に進んでいました

今回核となったのはダジャレであり、
当然ここにシステム的面白さはありません

(ことばあそび的にも危ういですね)



一方で「8をつくる」というルールの縛りはあり
その縛りを活かして面白さを生む仕組みを別につくる…
という暗中模索のゲーム制作となりました



■プロトタイプ:ソロパズル「オクトス」





タイルの配置目標は「8をつくる」と決まっていたため

・配置方法
・勝利条件(得点)

を検討し、プロトタイプ「オクトス」ができました

タイルを上手く置くと(オクト=8)蜂の巣(ス)ができる…
というイメージです



以下の要素はハニーフェスタにも採用されました

 ・タイルには数字と色がある
 ・タイル⇒ 駒のまわりに配置 or すてて駒移動の2択
 ・同じ色で合計8のかたまりをつくる



ハニーフェスタと大きく異なるのは以下の点です

 ・インタラクションゼロの完全ソロゲーム
 ・タイルは複数枚まとめて渡されて一気に使いきる
 ・得点計算



次はどのようにディベロップしたかお話します




■ディベロップ環境

近所にはボードゲーマーはおろか
人間があまりいませんでした

そこでオンラインサービスを利用して
全国のボードゲーム仲間に遊んでもらいました

使用したのはBGEngine とTabletop Simulator です


■BGEngine
SNSアカウントさえあれば
無料で利用できるブラウザサービスです

https://bgengine.net/

前作のテストから利用しており
非常に助かっております

開発者のJ.C.Createsさんに深く御礼申し上げます






■Tabletop Simulator
SteamというPCゲームストア的なところで購入できる
シミュレーターソフトです

https://store.steampowered.com/app/286160/Tabletop_Simulator/







■ディベロップ過程

ハニーフェスタがどんなゲームか知ってる前提で話します

1)初期配置をつくる
2)展開に緩急をつける
3)移動方法の簡略化
4)タイル構成の調整
5)得点方法
6)インタラクションをつける
7)進行単位を小さくする



1)初期配置をつくる

マップになにもない状態で
1からタイルを置いていく場合
スタート時はまったく指針がありません

そこで、ゲーム開始時から
何枚かのタイルを初期配置しておくことで
方針を立てやすくしました

初期配置によってプレイ時間も短縮されました




2)展開に緩急をつける

ゲームを通して30~40枚くらいのタイルをつかう想定でした
1枚つかうのに1分かかっても40分で終わる見込みがたちます

1ラウンド=5枚のタイルを一度につかい
×8ラウンドの構成としました

まず、8ラウンドというのが冗長ですし
前半と後半でプレイ感は違えど
1ラウンドごとの変化はあまり感じられません

ここでは5ラウンド制とし、
一度につかうタイルの枚数を

4枚→5枚→6枚→7枚→8枚
として、後半ほど多くしました


ソロプレイならこの方式でもよかったんですが…

結果としてマルチプレイゲームに調整した結果、
一度につかう枚数が多いほどダウンタイムが発生しやすく、
この5ラウンド制は採用されませんでした(後述します)



3)移動方法の簡略化

プロトタイプでは、駒を移動させるとき
2つの制限がありました

1. 周囲に何もないマスに入ることができない
2. 捨てた数字分ぴったりしか移動できない


という制限です

1. はこのゲームのオリジナリティだと思っていたんですが…
ゲームの後半でこの制限があまり機能していないことに気づき
なくしました

2. は面白さに寄与しているか怪しかったことと
タイル配置制限がとても厳しいゲームのため
駒の移動まで制限する必要はないな
と判断し、なくしました

ルールの記述も減り、スッキリしました



4)タイル枚数の調整

最初は1x4枚、2x3枚、3x3枚、4x2枚という構成でした

この構成では4の価値が圧倒的に高く、
8をつくる組合せ的にも4は配置して
1は使いづらいから移動に使えばいいや…

とプレイヤーの思考が安直になりがちでした

そこで、テスト参加者yupikaさんのアイディアを拝借し
4のうち1枚を5にしました

これにより4の相対的価値がやや下がりました

さらに5をつかう組合せが増えたことや、
駒を移動できる距離が伸びたため
配置の方針にプレイヤーごとの色がでるようになりました



また、全体のタイル枚数を減らし、
ゲームを通してすべてのタイルが使用できるようにしました

1枚のタイルが出るか出ないかで
結果が大きく変わるゲームだったため、
運の要素を減らす調整をしました



5)得点方法

合計8となるグループの数
    ×
同じ数字を3枚以上つなげたグループの数

が得点でした

この得点方式では得点差がつくようにみえて
実際には同点になりやすく、得点のパターンも安直すぎました

そこで、合計8となるグループのタイルを裏返し、
裏返した枚数も得点とすることにしました

これにより、5-3の組合せよりも
4-2-1-1などつくるのが難しい組合せに優位性がでるようになりました



しかし、計算が複雑になりました
これを避けるため、

「青タイルを4枚以上裏返そう」
「合計で15枚以上裏返そう」

といった、条件達成型の得点方式を採用することにしました

この方式なら他のプレイヤーの得点状況も把握しやすく、
マルチプレイで遊んだ際の面白さにつながるかもしれない
という想いもありました



6)インタラクションをつける

完全ソロゲームとして作りはじめた本作ですが
テスト参加者の方に「みんなで盤面を並べて比べて見たい」
という意見をいただき、4人プレイまで対応を検討しました

マルチプレイならインタラクションをつくるべきか?
ここは最後まで悩んだところでした

テイクイットイージーやナンバーナインのように
インタラクションゼロで得点のみを競うゲームもあります

検討した結果、ひとり用ルールとマルチ用ルールをつくることにしました
これなら、好みに合わせてインタラクションの有無を選ぶことができます



インタラクションとして、手軽に採用できる
「早どり」を条件達成に導入しました

これには問題がありました
タイルを1度に何枚もつかうゲーム進行では
誰が先に条件達成したのかが曖昧になってしまいます

そこで、ゲーム進行の単位を小さくすることにしました



7)進行単位を小さくする

ラウンドの概念をなくし、
タイルを1枚ずつ同時配置していく進行形式にしました

ゲームに緩急をつけるためにラウンド制にしましたが、
タイルが1枚ずつ発表される形式ならば
ビンゴのようにワクワクが持続します

また、ダウンタイム削減にもつながりました



タイル1枚ずつでは盤面の差がつきづらそうだなと感じ、
配置できるタイルを2択にしました

どちらのタイルをつかうか?
配置と移動どちらにつかうか?
という構造は、前作ハンザの女王にも通じるところがあります

きっと2択が好みなんだと思います



タイルが1枚ずつしか見えないならば
駒をどこへ移動させて良いかの見当がつきません

そこで、次の手、次の次の手まで、
ぷよぷよのように先のタイルが見えるようにしました



■今後の予定

・たくさんの人に助けられてなんとか頒布できた話
・プレイのコツ
・簡易ルール

なんかを書く予定です

最近はさんさ踊りの練習で体力を奪われがちなので
時間がかかると思います

どうぞよろしくお願いします



ちなみに次回作は牧場経営ゲームを予定しています
お楽しみに!

そしていまさらですが…
ハニーフェスタを手にとってくれた方!
ありがとうございます!

いっぱい遊んでくださいね

それではまたどこかでお会いしましょう


ゆたか




ハニフェス感想まとめ
https://togetter.com/li/1361606